それでも少年は冷酷で …1
――――――――――――――――――――――side HIBIKI
二重の意味で終わった。
……何がって?
言わずもがな。……そう、テストである。
『やはり、一夜漬けにも限界があったか。最終日の前日には途中で気絶していたからな』
「起こせよ……」
見てたのかよ。俺はてっきり休眠してたのかと思っていたぞ。
『……まあ、そんなに平均を下回っていたわけではないのだろう? 進学校のテスト相手によくやったではないか。現代文とかで平均よりもマイナスな点をほとんど返していたではないか』
そのすぐ後に英語で死んださ。あの時、俺はちやほやの法則の本質を悟ったね。
『……それはお前が悪い』
「お前止めなかったよな。サポーターの癖に止めなかったよな」
そのせいで俺は大怪我したんだぞ。精神的に。点数的に。
『そのサポーターが不良品だったのだ』
「お前がな」
自室を出て、階下へと足を進める。
誰もいないリビング。誰もいないキッチン。
母は仕事が長続きしているらしく、まだ戻っていない。
親父は会社で泊まり込み中さ。単身赴任とも言うがな。
ピン……ポーンとチャイムが鳴る。
無視して弁当(冷凍食品と白飯)を鞄に放り込む。
玄関へ行き、靴をはく。
そして、ドアを開けると、五日ぶりに見る顔があった。
「おはよう、響輝君!」
戌海琴音である。