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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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そして少女は明日を恨む …4

 そう感じて、絶望を感じて瞬間、張り詰めた糸が切れたかのように、自分の体が床に崩れ落ちた。


「逃げなきゃ……」

 今更過ぎた。しかし、ここで殺されるわけにはいかない。

 幸い足は動くようになった。


 ゆっくりと後ずさり、破壊された扉が近くなったところで立ち上がり、きびすを返して店から飛び出そうとした。


 しかし。

 

 その足は再びすくんだように動かなくなった。



 コンビニの出入り口、外側にも散らばっているガラスの破片の上に黒い影があった。

 すぐにそれが黒衣であるとわかった。賢者が着るような身の丈ほどもあるローブである。

 それに身を包んでいるのは、背の高い男だった。


 彫りの深い顔に、落ち窪んだ眼窩、西洋系の血が入っているらしく、ローブの隙間から見える髪の色は、色の薄い金色だった。

 男は店内をゆっくり見回すと、再び私の方を向く。

 


 男の頬にゆっくりしわが刻まれる。

 ……笑っている。そう気付いた。


「やあ、同胞。気分は如何かな……?」

 妙にエコーを伴った声が響く。

「私は、ずっとお前を捜していたのだぞ。……こんなところにいたのか」



 いつの間にか男が目前に迫ってきていた。顔に奇妙な笑みを張り付けて。

 何歩か後ずさると、後ろに扉があった。店の奥に続く扉ではない。

『このトイレは従業員も利用します。清潔に利用してください』と張り紙が貼ってある。

 

 急いでノブを回し、兎が巣穴に飛び込むかのような早さで中に入り、鍵を閉めた。

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