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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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そして少女は明日を恨む …3

 “蛇”はゆっくりを頭を進める。


「……が、……やめっ……」

 抵抗をしようにも身体を組み敷かれていては何もできない。

 大柴君の身体はゆっくりと“蛇”の口にのまれていく。



 唐突に、“蛇”がその二本の大牙を大柴君の両肩に突き立てた。

 ぐさり、と牙が筋を引き裂き、肉を破り、恐らく胸部の中にまで達しているであろうことが見て取れる。


 その衝撃に大柴君の腕は一瞬びくっと震え、抵抗を止め、力尽きたかのようにだらりと垂れる。



 “蛇”が牙を抜く。鮮血が辺りに飛び散った。


「う゛っ……、がはぁ……」

 まだ意識があるであろう大柴君が苦痛に声を上げる。

 “蛇”は頭を進め、すでに大柴君の身体の半分近くを飲み込んでいる。

 ごとん、と音を立て、右手から拳銃が落ちる。

 そして、そこで“蛇”は動きを止めた。


 

「……嫌だ、……もうやめて、殺さない……で」

 もうすすり泣くことしかできない。

 自分の恐怖に反して、身体はちっとも動いてくれない。

 逃げられない、眼を離せない、停められない。心臓が早鐘を打つ。

 私はただ、目の前で繰り広げられる惨劇を見ていることしかできない。


 しばらく動きを止めていた“蛇”がその胴体を縮めていく。

 そして、じゅるるる、ともう二度と聞きたくない程気持ち悪い音を立て、半分飲み込んでいる大柴君のの身体を吸い上げた。

「…………」

 ……感情を、吸われているのだ。

 恐怖、死への畏れ。

 もう大柴君は、糸の切れた操り人形のようにだらりと転がったままになっていた。

 “蛇”は満足したように、その巨躯を大柴君の身体から退け、彼の体を飲み込んでいく。

 

 ……もう、助からない……。

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