廻る支配と鎌と散弾と、そして …7
前回の投稿からずいぶん期間が空いてしまいました。
これからはそこそこの頻度で更新できると思います。
「立て、大鎌!」
振り向かずに浅滅が叫び、再び一歩で距離を詰め、起き上がろうとした“支配者”の頭部を掴んだ。
そのまま持ち上げ、片膝で“支配者”の身体を蹴りあげる。
「っ……」
右腕を地面について立ち上がる。左腕は肘の途中が紫の様な赤の様な、痛々しい色に腫れていた。
……眼も向けたくない。痛みすら感じない左腕を無造作に垂らしつつ、足元の鎌を右腕で拾い上げた。
どうして身体が動くのかも、もう分からない。心が深刻なダメージを受けてしまっているのだ。
「緑……」
なぜ“支配者”が緑の声を私に聞かせられるのか。
理由は簡単だ。今も高峰緑は“鍵”として“支配者”の中に取り込まれているから。“鍵”の宿主が死ぬと“鍵”の能力も消失する。それはつまり、“鍵”というものが宿主の心か身体に依存しているということだ。
そして、“支配者”が“鍵”を奪った後に残されたのは、命を失った緑の身体だけだった。
つまり、いわゆる魂や心と呼称されるものを奪われた状態なのだ。
「予想はしていたけれど……」
これでますます戦いにくくなってしまった。いや、むしろもう私には手出しが出来ないと言っても過言ではない。
浅滅はたたみかけるつもりらしい。蹴りあげた“支配者”を追撃し、反撃の間を与えない。
「ぐっ……」
「はあああッ!」
蹴り、拳、接近しての連撃。痛々しい音が響く。
「響輝さん……」
上空を見上げるも、大観覧車の頂上は見えない。うまく戌海琴音と接触できていればいいのだが……。
「これでッ……終わりだ!!」
地面に叩きつけられた“支配者”の頭部に向かって、浅滅が拳を振り下ろした。
「――まだまだ青いな、人間風情が!」
「なッ!?」
浅滅の右手を掴んだ“支配者”がにやりと笑うと同時に、周囲の地面が隆起し、浅滅と“支配者”を囲むように四つの“光球”が周囲を囲んだ。
「不味いッ……」
浅滅は“支配者”にのしかかっているうえに、手を掴まれているのだ。“光球”を避けることは出来ない。
ここで私が動かなければ……!