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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
二章 Encounter with~そして終わりは訪れる~
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けれど所詮は人の内 …3

 出入り口のドアが開け放たれ、ガラスは粉々に砕かれている。

「……なんだ、これ……」

 大柴君も、何が起こったのか解らないという風に、その場に立ち尽くしていた。

 


 寒い。

 身体が震えていることに気付いた。破壊されたドアから生ぬるい夜風が流れ込むが、店内の冷気に押し戻される。

 

 錆びた鉄を思わせる臭いが鼻をついた。

 ……血の臭い。


 ぴちゃ、ぴちゃ……。

 店内の奥の方から物音が聞こえてきた。何かをなめているかのような音。

 


 身体が言うことをきかない。

 足元を見下ろすと、地面をこすったような血の跡が奥に続いている。

 

 数メートル奥の棚。こちらからは死角になっている、その奥の棚から、音は聞こえていた。


 大柴君が血の跡を追って歩き出す。

「行っちゃだめだよ!」

 私の声が聞こえていないかのように、朦朧としたような目で大柴君は歩いていく。

 何が待っているかなんてわからない。でも、絶対良い事じゃないに決まっている。

 それでも見ずにはいられない。


 これ以上この街の狂気に触れたら、もう理性を保っていられないのに……。

 

 私は大柴君について歩いた。足運びが重い。

 

 大柴君が棚の向こうの方を向く。

 彼の肩がびくっと震えた。

 おそるおそる大柴君の横から前を覗く。


 視界に入ったのは、紅い海。

 血の……海だ。

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