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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
九章 Holy terror~そして憎悪は紺碧の空に~
247/261

廻る支配と鎌と散弾と、そして …3

――――――――――――――――――――――――――――――RIN side


「ッあ――」

 折られた左腕が痛む。神経を通じて激痛が脳を揺さぶった。

 今私は大鎌を“クエレブレ”の喉に突き刺したまま、力尽きた“クエレブレ”の遺骸の落下に従って空中を落下し始めていた。

(それにしても……)

 本当に響輝さんは仕方のない人だ。私が時間を取りつつこの空蛇を相手にしていたというのに、その間ずっと私の戦いを見ているとは。

(心配……してくれていたんですか)

 効率に反するとはいえ、響輝さんの取ってくれた行動に胸が少し暖かくなった。それと同時に、そんなことで心情が左右される自分に少し哀しくなる。

 自分でも分かっているのだ。この心に抱く、私の響輝さんに対する感情が何なのか。そして、響輝さんの心が“鍵”から離れることはないということも。


 “クエレブレ”の遺骸が落ちて行く。おそらくこのまま遺骸は地面に激突してしまうだろう。

 腕が折れたことでこちらの耐久力も大幅に減少している。激突のダメージは耐えられないか……。

 だが、そう考えた次の瞬間、思いがけないことが起きた。

「ッ!?」

 鎌の刃を通じて感じていた確かな“貫いた”という感触が消えたのだ。思わず下を向く。

 見ると、自分の下で落下していたはずの“クエレブレ”の遺骸が、少しずつ黒い霧となって消えて行くのが視界に入った。

(これなら……!)

 “恐鬼”は人にその存在が極力知られないために、死んだ後に黒い霧となって空気中に霧散していく特性がある。普通ならもう少し時間がかかるはずだが、今この現象が起こるのなら……。

「まだ手は……あります!」

 動かない片手を意識しつつ空中で姿勢を整える。

 下を見ると地面はすぐそこだった。広場に立っているのは、浅滅と……。

(“支配者”……ッ!)

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