けれど所詮は人の内 …2
通学路の途中にあるから気付いていた。
ウィンドウ越しに見えた、鎖に絡まれた猟銃。それぞれが威圧感を放っていた。
そこで、ようやく大柴君が考えていることに気付いた。
「まさか……銃を?」
「ああ。お前にも手伝ってもらう。武器があれば戦うこともできる。散弾銃、ライフル、銃弾。それでここに立てこもるんだ」
「本気……?」
「サバイバルアクションの映画では、主人公は大抵立てこもって敵をやり過ごしてる」
大柴君は真顔で言った。
……みんな、参ってるんだな。
そう思ったが、こんなじわじわ浸み渡る狂気の中で平常心が保てるのは稀有だろう。
私だって、精神力には自信があるけど、一人じゃどうにもならない。
「奴ら……はどれだけ居るのかな……?」
「奴らは標的の一番トラウマにしているものに姿を変える。言ってしまえば、この街に住んでいる人の数だけ奴らは存在する……と思う」
この街の人の数だけ……。
「それに、標的を殺しても、奴らは消えないらしい。その姿を変えて、他の人間も襲う」
大柴君は立ち上がった。
「今は、奴らは夜にしか活動していない。闇の中に潜み、好機を待つ。でも、そのうち、昼間から白昼堂々と歩き始めるぞ」
そう言った時、店の方からガラスの割れる音がした。
続いて、低い、男の悲鳴。
「兄さん……!?」
大柴君が銃を手に掴み、店の方向に向かって駆け出した。
私も続く。
店内に駆け込み、辺りを見回す。
弁当のコーナー、お菓子のコーナー……。
レジのカウンターの方を見たその瞬間、身体が竦みあがるのを感じた。