エピソード21 虐殺
マガラハ山脈ミッカ山の山頂は平坦になるように整地が施されていて、いろいろな建物が建っていた。どうやらそれらのほとんどが魔王軍の戦力である魔族や魔物を製造するための設備らしく、魔法的な要因で構築された人工子宮がいくつか収められていた。
そして、ぼこぼこと生まれた魔族は次々に身体に魔法を刻まれる。どうやら管理のしやすいように「この魔法ならこいつら」「あの魔法はあいつら」というように、魔族のデザインごとに刻む魔法を分けているらしい。
そして、訓練室に入る。
訓練室では対勇者を想定した戦闘訓練を行うことが可能で、魔族たちは此処でより強くなるための特訓を行わされる。その特訓に耐えられないものが現れ、時折倒れ死んでしまう魔族もいるらしいが、その死体はドロドロにとけて排水溝を流れて山の外に捨てられる。
レイルはその建物をとことんまで潰した。
魔族がワラワラと現れる。その数およそ……数えたところでキリがない。どうせ増えてしまうのだから、数えなくても構わない。
クレエルはその魔族たちを相手取るつもりだった。
しかし、いくら倒しても増え続ける。二人だけでこの数を相手取るのはやはり難しいのかと思われたが、レイルが〈白の勇者力〉の急加速で五百体程の魔族を一斉に蹴散らしたのを見るに、力で押せばそれなりに減ることがわかった。だから、普段行っている魔法の操作を捨て、莫大な魔力を乗せたパワー色部に持ち込んだ。
対勇者を想定した戦闘訓練を行っていると言っても、所詮は仮想の訓練でしかないから、本当に戦うとなると、自分の中に常識が出来上がった状態だと弱くなってしまうのだろう。魔族たちはなすすべもなく一方的に虐殺されていく。その様子は世界で放送されている。
脚部にエネルギーを溜め、空中に跳び上がると、〈赤の勇者力〉に装甲を変え、着地と同時に熱波を発する技で魔族を大量に潰し切る。
すぐさま〈緑の勇者力〉に変え、剣を抜くと高速でエネルギーを溜め膨らして最大規模の斬撃を飛ばした。魔族だけを斬る斬撃。
瞳は黒いままだった。
「勇者くん……遺跡の中に!」
「わかってる」
行かせないとばかりに魔族が押し寄せる。しかし、レイルが一度睨みを利かせれば、死んだ。
「魔王、来たぜ」
「まだ八日しか経ってないが」
「早く会いたくて急いで来ちゃったよ」
「モテる男はつらいな」
魔王の装甲は白かった。
レイルも〈白の勇者力〉に戻して、剣を鞘におさめる。
「じゃあ、殺し合うか」
「早く決着つけようぜ、パパとママが見てるから」
「親は大事にしろよ」
「してるよ」
「どうだか」




