エピソード17 取材
街を出て次に向かう。
その道中もやはり魔族の集団が襲ってくる。
それを一方的に虐殺しながら、先に進む。
魔王はどうやら魔族の量産方法を思いついたらしい。
「そういえば同じ顔の魔族が増えたな」
「コピーとかしてたんじゃないの?」
「姑息な奴だな……枕に抜け毛とか刺さってそう」
レイルは魔族を殺しながらそう言った。
何体の魔族たちが現れようと、レイルの圧倒的な力とクレエルの魔法の前では塵に還り、そして死ぬしか無かった。
この強者感はふたりが活躍すると同時にまたたく間に世界中に広がっていった。営巣記録用水晶も広がり、勇者レイル・カハナヌイの戦闘性能は世界中が思い知った。
〈勇者力〉に依存しない圧倒的強者。
殺した魔族は塵になり散っていく。
このことからいつしかレイルは〝塵討ち〟と呼ばれるようになった。〝塵討ち〟レイルと〝賢者〟クレエルはある日、取材を受ける。
「なんで引き受けたんだ、俺が鍛錬している間に」
「世間は今、君の恐ろしさしか知らないんだよ。君はもっととっつきやすい人間だって理解してもらわないと悲しいじゃない」
「君、俺の事をとっつきやすい人間だと思ってるか?」
「いや全然。面倒臭いし難しい奴だと思う」
「世間もそれを把握するべきだよ」
「ダメなんだよ、それじゃあさ」
「何故?」
「世界を守れる唯一の存在が面倒臭い難しいバカタレだって世間にバレちゃうと絶望しかないでしょ。『えっ、僕たちこんな頭おかしい奴に命運委ねてんの?』ってなっちゃうよ」
「なっちゃえよ」
「なっちゃだめだっつってんの」
「完璧な人間なんてこの世に存在しないよ。本質も語らず誰かを大きく見せようとするのは、変だよ」
「そういうところが、ちょっっっとウザい!!」
「ウザいって何なんだ。やめろよ。元も子もない」
取材担当のシュー・ザイシャが口を挟む。
「大陸全土生放送てますけど……」
「先に言ってほしいんですよ。どうなってんだ賢者様。君全然よろしくないじゃないか。『勇者くん! 君は一日の使い方がド下手くそだからマネージャーになってあげるよ!』と息巻いていた割に、全然君のほうがよろしくないじゃないか」
「言ったら出てこないだろう?」
「だとしても言うべきではあっただろ!」
「なんとなく大陸全土生放送だっていうのは匂わせてたでしょ?」
「されてないけど?」
「ドレスコードに合わせた服装にしたほうがいいんじゃないかって」
「そんな賢く言われた覚えはないよ。『なんだ、その君、スーツとかどうだい?』とは聞かれたけど、放送されると思うようなトンチンカンではない」
「そもそも現場に撮影用の水晶が二つもあって中継用の水晶が三つもある時点でなんとなくわかるべきだよ、なんで指摘されてから気づいたんだよ。君はおかしいやつだなぁ!」
取材担当のシュー・ザイシャが口を挟む。
「今だいぶ放送事故ですけど」
「何を言ってんだい、俺にはもう怖いものなど何もないのだから二時間ぶっ通しで俺とこのおチビの喧嘩を放送してもらうよ」
「いえ、あの、さすがにそろそろインタビューとかしたいです」
「じゃあしてごらんなさいよ。僕たちは今話をしているんだから」
「じゃあお聞きしますけど、勇者になってよかったこととかはありますか」
「おかしいじゃないか、君。俺が勇者になって得をしたと思うかい? 気持ちの悪いことを考えるなぁ、よかったことなんかゼロだよ。痛いし苦しいし辛いし悲しいよ。ぶっちゃけ生まれてきたことを後悔しそうになるよ。でもね、でもやるしかないからやってんだな」
「彼はそう言ってるけどたまに酒場で女性に声をかけられると『ンッススス』という気持ちの悪い笑い方をしているよ」
開戦。




