エピソード15 新技
魔族が現れた。ガーベラの街に押し寄せてきた。
どうやら魔族の強化もしたらしく、一撃入れたくらいでは死なない。
レイルはクレエルに頼み込み、〈白の勇者力〉での身体強化+身体強化魔法で二重の強化を施し、魔族たちを虐殺した。
ガーベラの街の住人たちも魔族に抵抗するが、怪我人が増えていくばかりである。魔族の数が多すぎる。
クレエルは大量に氷の矢を飛ばし、一気に百体単位で殺すと、レイルの方を向いた。
レイルはダルに作ってもらった剣で魔族を切り倒していく。次第に瞳と装甲の色が緑になっていくのを見届けた。
「新しい色だ」と認識するより早く、斬撃が飛んだ。
殺すのは魔族のみ、それにより魔族二百体を一気に殺し切った。
どうやら新しく手に入れた〈緑の勇者力〉は体力等の消耗が激しいらしく、レイルはすぐに〈白の勇者力〉に変えた。
「賢者様、魔族の残数は把握できるか」
「六十体ほど!」
「じゃあ、一気にカタをつける」
一度おおきな呼吸を挟んでから地面を強く踏み込み、駆け出す。すると、魔族は次々と破裂し塵になって消えていく。
魔族残数がゼロになったのを魔力で感知すると「もういない」と叫んだ。レイルは止まろうとするも失敗し、転がり壁にぶつかる。
「大丈夫かい?」
「これがあるから辛いんだ……」
「鼻血出てる……君も鼻血出るんだな……」
「そりゃ出ますよ」
「あの急加速は一体……?」
◆ここで覚醒か……!!
「前に〈赤の勇者力〉で炎エネルギーを溜めて大技を放てたことがあったろ。その時に加速の催しがあったから、それを〈白の勇者力〉でやってみたんだ。〈緑の勇者力〉でも試したけど、それが魔族だけを斬る斬撃なんだ」
「戦いの中で成長するタイプなのか」
「そうだと良いんだけど……町の住人は無事か?」
「怪我人は多いけど死者数ゼロだよ」
「す、すごいな……ガーベラ食ってるからかな……君も食ったらどうなんだ。死ななくなるぞ」
「宣いなさる」
それ以降は街の復興。
クレエルは街の医療従事者たちと怪我人の治療。
レイルは瓦礫の撤去や魔法使いたちと建物の改修工事。
「ある程度よくなったかな」
「宿屋に預けてた荷物がなくなってないといいけど」
「荷物なんてあったかい?」
「君は僕の何を見てたの。背嚢を背負ってたろ」
「そうか……中に何が入っているんだい?」
「君、高等教育の終盤まで来てたね」
「うん」
「難しかったろ」
「再来年卒業しようかな、と思うくらいには」
「それの五倍くらい難しい専門書」
「ひ、ひええ。こわい。おしっこ漏れそう」
レイル・カハナヌイの正体見たり! 勇者として知られるレイル・カハナヌイの本性は学も根性もない勉強嫌いの男子高校生だったのかあっ!! と、クレエルは此処ぞとばかりによくわかんねぇナンチャラカンチャラの法則だとかの説明をしながら宿に戻る。
すると、背嚢は見事に盗まれていた。
「かわいそう」
「あの中には僕の財布も」
「……財布を宿に放置するのは旅慣れしていない証だよ。俺も去年友人たちと旅行した際、宿に財布を放置したところ、盗まれたことがある」
「その時はどうしたの」
「現地で働いてマイナスをプラスに変えたよ」
「泣きっ面なのになんでそういう根性だけはあるんだ……?」




