A sudden united front(ア サドゥン ユナイテッド フロント)
ごめんなさい!少し遅れました!……て、なんか毎日遅れているような気もするのですが………ま、まあね…。それと、ベラウィズのほうも、来週は少しお休みさせてください!いろいろあるのです……あ、でもベラウィズはいけ……ないです。すいません。もし出せたら出しますが、あまり期待はしないでください!
「何の……ようだ…」
「とくに。たまたま通りかかったら、強い気配がしたからさ。」
「お前は、いつもそうやって嘘を吐く。」
「レイダもだろ?」
そういうと、レイダは辛そうにもたれたまま、僕の目をにらみつける。そしてまま、横に立てかけてある剣に手をかけようとする。
「やめてくれないかな?僕は君に何かするつもりはないんだ。せっかくだったら、少し話をしたいんだよね。」
「話すことなど……ない。」
「そう。ならいい。それにしてもどうしたの?その怪我。」
「……「リュウザーン」だ。」
「ああ、なるほど。」
リュウザーン。アビスキュラと同様魔王軍に属していない魔族の中の一つ。もともとはドラゴンが進化した種族で、それだけでも強いのだが…問題は、その習性。彼らはほかの魔族からは「狂信者」といわれる。
独特な宗教形態を有し、その戒律はとても厳しい。そして戦闘もすべてその信仰する神の名の下に行われる。そのおかげで、死をも恐れない兵団が誕生するわけである。
異名は「イモータル・コープス」。兵団全員の心が一つになれば、魔王の軍勢一つぐらいを滅ぼせるともいう。
どうやらレイダは奴らに目を付けられ、仲間を逃がしつつひきつけている間に、ここにたどり着いたらしい。
「で、こうなった理由はわかったけど………どうしてこうなったかな。」
淡々とそこまでを離したレイダは、今ちょうど、僕の首筋にその剣を突きつけたところだった。
「別に僕はいいんだけど……」
「取引をしろ。」
「……?」
「リュウザーンの討伐に協力しろ。無論、口外はなしだ。」
「それなら、どうやって討伐するつもり?」
「私とお前だけで行く。」
どうやら、冗談のつもりではないらしい。ただその目には、決して言葉には出さない迷いのようなものも見える。
「………正直、割と心配事は多いね。滅ぼすなら、ほろんだっていうのは伝わるだろうし、二人だけで、「イモータル・コープス」とまで言われる彼らを倒せるとは思えない……思えないけど、」
「?」
「せっかく勇者様から誘ってもらったんだ。断る理由はないよね。」
「あくまで、私とお前とは敵だ。共通の敵を倒すためだけの、突発的な取引。」
「それ、言い聞かせているように聞こえるの僕だけ?」
「煩い。」
「それに、まだ僕に対する報酬が明言されていないんだけど?」
「役に立てば、くれてやらんこともない。」
「了解しました。わかったよ。で、いつ?」
「三日後。ここでだ。」
「わかった。」
そしてそのあと、僕はいつもの12人に、そんなことがあったんだと報告をしていた。大分心配そうだったので。
「本当、すぐに面倒ごとを起こしますね、主様は。」
「仕方ないじゃないか。別にわざとじゃないんだしさ。」
「まあいいですが……くれぐれも、正体をばれないように気を付けてくださいね。」
「わかってるよ。」
「一人で攻勢に出ると?」
「この度の隊の壊滅は、私の責任。貸し借りは嫌いなので。」
「それを俺の目の前で言うのも、どうかと思うがな。」
「……」
「まあ良い。許可を出そう。その代りに、条件が一つある。」
「?」
「必ずリュウザーンを滅ぼせ。それと…」
「……」
「……」
「…了解しました。」
「ここか。リュウザーンの都。」
そこは「都」というよりは、とてつもなく大きな神殿のようだった。
リュウザーンたちの職業は、まず聖職者というカテゴリーがついたうえで決められる。つまり、リュウザーンたちは全員聖職者なのだ。もともと人類は魔族からおくようにしていたが、その中の理由の一つがこれだ。魔物を倒すことを念頭に置いている中央教会ですら、この謎の聖職者全員縛りのせいで、手を出せないでいる。それも、進行している神自体が同じなのが、これまたたちが悪い。
もちろん、魔王軍のほうも、思い切った攻勢に出たことはない。魔物対魔物の戦いは被害が激しくなるし、そんなことをしてまで仲間に引き入れたいかというとそこまででもない。正直な話、リュウザーンを放っておいてほかの都市を攻める方が、確実な戦果を挙げられるのだ。
「いくぞ。」
「わかったよ。命令を聞けば、何らかの報酬をもらえるんだろ?」
「ああ。ちゃんと言うことを聞けば、の話だが。」
「はいはい。で、どこから攻めるの?」
「神殿を壊したくはない。それだと、あいつらが怒って活性化する恐れがある。奴にしても、あいつら自身に壊させた方がいいだろうな。」
「だね。なら……まあ、がら空きな横からかな?」
「だろうな。あいにく、今「イモータル・コープス」はいまほかの国に攻勢に出ている。」
「この頃、争いが多くなってきたね。」
ここまで話していた気づいたが、レイダは、勇者だった時と、僕に対する態度が変わらないような気がする。自信過剰かもしれないが。
「ま、いいか。」
「なんだ?何か異論でもあるのか?」
「ないよ、そんなもの。」
「私は北側から行く。」
「じゃあ僕は、ほかの三方位をカバーしたらいいわけね?」
「…………」
「どうしたの?」
「……。いや、お前はそういやそんな奴だったな、と。」
それだけ言うと、レイダは空高く跳びあがって、そのまま北側に向かう。
「さて、僕もやらないとな。」
そういうと、横に置いてあったルクル・ハルパスが、楽しげに点滅するのだった。