Part of the mystery of this world( パート オブ ザ ミステリー オブ ディス ワールド)
ごめん。昨日出そうと思ったけど遅くなりました。明日はちゃんと出せるよう頑張ります!
「主様。」
「なに?」
「…………主様のなさることに、不満などはありません……でも、なぜ、時々そのような、つらそうな顔をなさるので?」
「そんな顔してる?してても、僕はそんなこと思ってないから大丈夫だよ。」
「そう、ですか……」
「ねえ、イヴ。」
僕は、下で巻き起こる人と魔物の戦いを見下ろしながら、イヴにあることを尋ねる。
「魔物は、何で生まれるんだと思う?」
「瘴気、ですか?」
「そう。でも、その瘴気って、何で生まれるんだろうって、考えたことはない?」
「………!まさか…」
「そう。いるはずなんだ。瘴気を生み出す、何らかの存在が。」
「でもそれは、今まで見つかったことはない。」
「僕はね、人間や生き物が持つ感情なんじゃないかなって。だから、その感情が溢れすぎると、人間も魔物化する。でも、そんなもの、元の世界にはなかったはずなんだ。」
「元の世界……崩壊前の世界ですか。」
「うん。そいつを突き止めるたえにも、僕は、人と魔物が共存できる世界を作りたいんだ。例え………たとえ、正反対のことをしてでも、ね。それには、どうしてもあの勇者がいるんだよ。彼女…例だが、最後のピースなんだ。」
「最後の、ピース。」
「ほかのピースは、君たちだよ。後は、僕の出身の国の王様と、友達何人か。」
「全部終わった後には、好きなようにしていいよ。もともと、君たちは普通に暮らすはずだったんだ。」
「ですが、私たちはもうすでに、数多の人々や魔物たちを…」
「あのね、イヴ。この物語はどんな方向に進もうと、僕の死をもって完結するようにできてるんだよ。」
「えっ……」
「また今度話そう。それより、今は目の前のことに集中しないと。」
「………はい。」
「イヴ、あれの準備、頼める?」
「はい。ですが、今回は人間もいるので、ばれる可能性も……」
「そこは何とかするよ。」
「はい。」
そういって、イヴははるか上空へと舞い上がっていく。術式の準備のためだ。
「さて、こっちは、イヴがやりやすいようにしないとな。」
「あ?てめぇ、アビスキュラか……」
『リザードマン。それも上級。厄介だな。』
「お前のせいでうちの仲間が何人も死んでんだ!一騎打ちを要求する。」
「……わかった。」
「大丈夫なの?」
「そういや聞いていなかったが、貴公の名は?」
「ハナ。ハナ・ゾリシィ。」
「そうか。ならハナ。少し離れていろ。死ぬぞ。」
「妙にやさしいんだね。」
「今、貴公に死んでもらっては困るからな。」
「あっそ。」
「よそみしてんじゃねぇぞ!」
ハナと話していると、横から、先ほどのリザードマンが横槍を入れてくる。その突き出された槍先を、僕はコスミック・セージを1回転させて弾き飛ばす。
「チッ…」
「横槍はあまり好きじゃないんだが…」
「うっせ!」
「話を聞かない輩がいたもんだ。一撃で葬ってやる。」
「やってみろ!《龍槍激走》!!」
叫ぶと同時、リザードマンの対象は三俣の槍をこちらに向け、全速力で突進してくる。並の人間ならよけることは不可能だろう。
「《光芒裂空》」
これはレイダが使っていた技から僕が派生させたもので、黒色の光の斬撃が、リザードマンの対象の体を一刀両断にする。さすがにここで僕の得意技の天輝連奏を使えば、それを知るハナや王様たちに正体がばれるのは必至だろう。
『大将!』
『どうしたの?カーミラ。』
『先方はほとんどたたき終わったぜ!次はどこ行きゃいい?』
『ン~、そのまま突っ込んでいっていいよ。』
『よっしゃ~♪』
カーミラ、この頃留守番が多かったから、これしきの事では暴れたりないのだろうか。どちらにしろ、先方がつぶれたということは、人間たちが攻めやすくなったということだ。上空ではイヴが術式の準備をしてくれているはずだし。
『マチアス様』
『何?ネフィラ』
『こちらにも別動隊が来たようなのですが、もともと戦闘向きでない者が多いので……』
『押されてる、と。加勢はいる?』
『いえ。ですが、《夢幻封書》の許可をいただけると…それなら、こちらで片付きますので。』
『わかった。そっちはネフィラに任せるよ。』
『承知しました。』
相手はただの魔物じゃなくて、しっかりと徒党を組んでくる魔王の軍勢。やはり、一筋縄ではいかなさそうだ。この世界の魔物の3分の2を手中に収める大魔王の配下には、確実な序列が敷かれている。
一番下が「平」、その次が「小隊長」、「中隊長」、「大隊長」。大隊がいくつか集まった群を率いる「将軍」、将軍を統括する「幹部」、幹部を取りまとめる「魔王」だ。大魔王はその上である。
今回来て居る魔王は一人らしいから、小隊が100人で、中隊につき3小隊、大体につき中隊が2で…
「とにかくいっぱいってことでしょ?あんたも手伝いなさい!」
「族の王にその態度とは、恐れ入るな。」
「もともと敵でしょ?」
「だな。さて、そろそろ俺も本気を……」
『マチアス様。』
『どうした?イヴ』
『緊急事態です。』
というわけで、今日も今日とてアビスキュラ。
今回はep.15にて出てきて、カーミラたちとともに前衛で攻撃をしに行っていたマルティラの紹介です。
本名はマルティラ・ヴェルノア
元はネクロマンサーという、ゾンビや魂を操る種族です。墓なども躊躇なく破壊してくるので人間、特に中央教会からは忌み嫌われる存在です。そんな協会から狙われ消滅されかかったときにマチアスが救出しました。忠誠心はイヴの次に高いです。
前衛、後衛どちらも担えるオールラウンダーで、状況に応じて動いていいよと言われています。