What is the purpose?(ワット イズ ザ ハーパス)
今回、ちょっとボリューム少なめです。すいません。
「そっか。ゼルガが………君たちはこれからどうするの?」
アビスキュラたちを撤退させて、大体一時間後。
僕は、撤退してきたテクノマギア兵を率いる、ゼルガのパーティーの子たちと話していた。
「いったん解散にはなるでしょうね。」
「まあ、こっちはリーダー殺されたんだ。アビスキュラ、絶対覚えてろよ。」
「マチアス様は?」
「僕はもう少し残るよ。………まだ、やることが残ってるからね。」
「ハァ…」
「どうされました?主様。もしあの三人ことがあるのなら私は―」
「イイよ、それ以上言わなくて。だいじょうぶ。いやね……めんどくさいなと思ってさ。」
おそらく僕は、「至極面倒くさいことこの上ない」といった感じの顔をしていたのだろう。その様子を見て、イヴは一歩後ろに下がる。
「ごめんごめん。でも、そりゃそうだよね……リーダーがいなくなったら、次何しでかすかわからない。特にあの三人はね。行くよ。イヴだけでいい。ほかの子たちは、頼んだこと、やっておいてもらえるかな?」
「は。」
『『『『『『『『『『『承知しました。』』』』』』』』』』』
「なんで……どうして………どうして、まだ来るの…!」
あたりが黎明に照らされ、紫色の光が、周りの建物を彩っていく。そんな街の路地裏。そこには黎明の美しい色などなく、ただ、影の黒と、真っ赤な血潮のみの彩られていた。いや、もう一つ言うとすれば、リーダーのみならず他の二人も殺され、絶望した顔をさらす魔法使いの女の子の、涙の色だろうか。
「ほら、リーダーだけっていうのは、少し不自然だろ?なら、一緒に天国で仲良く暮らしてもらった方が、こちらとしては得が多いんだ。」
「………」
その子は、おびえた顔で、ただただ顔を横に振る。僕のすぐ横にいるイヴは、その様子にひどく怒っている様子である。もともとアビスキュラたちは、人間に恨みを持つ子たちが大半。その人間がここまで追い詰められて許しを請う場面を見ていれば、それはそれは怒りの絶頂だろう。
「主様。」
「わかってるよ。後はイヴの好きなようにして。あ、でもちょっとだけ待ってね。………冥途の土産だ。君には、この仮面の下を見せてやる。」
「…………!!!!!!!」
「逃げるな。最後に何かあるか?」
「………なんで……」
「さあ?いろいろあるが………一つとしては、この子たちの願いをかなえるためだ。」
「魔族の…願い……?」
「ほら、人間はまたこうやって、自分は獣より高い存在だと思ってる。いいよ、イヴ。煮るなり焼くなり、好きにして。もちろん、食べても十分栄養になると思うよ?」
「承知しました。」
そう答えた後、イヴはあの子の襟首をつかんでどこかへ行く。
「……まあいいか。さて、あと一個。」
「………最高傑作が」
今僕がいるのは、テクノマギアで開発されていた、エーテリオン・ガイアスの研究所だ。
もしエーテリオン・ガイアスが完成すれば、魔物たちは瞬く間に滅ぼされていしまう。それは避けなければいけない。そこで僕は、エーテリオン・ガイアスのコアだけ破壊することにした。
「…………いつかこうなるとはわかっていたが…なぜコアだけ……」
「コアが一番時間がかかるんだろ?」
「まさか、情報がばれているとは…」
「これ以上の要はない。じゃあな。」
ただ、さすがに申し訳ないと思い、僕はその研究所内に、コアに使えそうな鉱石をいくつか落としていく。
「……?…な、なんだこの鉱石!」
「なにごとだ?」
「研究所内で見つかったこの鉱石、内部に膨大なエネルギー反応が!」
「これならコアに使えるかもしれませんね、王よ!」
「ああ……………アビスキュラの王よ。そなたは何が目的だ……」
『ハナが襲われてる?』
『はい。おそらく、諜報活動中に捕獲されたものかと…』
『………わかった。僕が行くよ。イヴはそのまま、好きなことしておいて。』
『………』
『イヴ?』
「…承知しました。」
「あなたは……アビスキュラの…!」
「今日は二回目か?」
「二回目か?じゃない!なんでゼルガたちを!!」
「言っただろう?動くなと。敵とはいえ、その王を前に無言で剣を抜くというのは非礼ではないか?」
「だとしても、殺す必要は何でしょう!」
普段はふわふわとしていて、あまり人前で感情をいい意味で表に出さないハナが、ここまで怒る。
トルナスもそうだが、ゼルガたちに罵倒されてなお彼らを思いやれるのは、純粋にいいことだとは思う。だけど。
「いつか、天罰は下る。」
「あなたは、自分が神だと思ってるの?」
「神を出したら、世界は終わりだ。神まがいの行いをしている俺は、死んだら確実に地獄行きだ。」
「…なんでそんな、悲しそうな顔するの?」
「……………………ほざけ。」
今回も今回でアビスキュラの紹介。
今日はep.10で登場しゼルガを尾行していた二人のうち、マチアスと受け答えをしていたリリスの紹介です。
本名はリリス・ヴェイン。
元フロストスピリット(氷の妖精)で、基本的に自他ともに冷たい性格をしています。(マチアスに対してはツンデレのほうが正しい気が……)
一人でいるときに妖精売りの男たちにつかまり、そのまま売り飛ばされそうになったところで、マチアスがその会場ごと吹き飛ばして救出しました。それからはセレナや、のちの紹介するミレナ、ヴァレリアたちとともに、主に裏方で活躍しています。
戦場に出た時も、正面からは戦闘をせず、基本的に敵陣の後ろから攻勢を仕掛ける別動隊を指揮しています。
イラストも載せておきますね!
リリス・ヴェイン