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4-①.門を叩け

 聖教会でエジュスケールと呼ばれる教師のような職業に就くことを目指す大学生、土生彰宏(はぶあきひろ)に能力に関する勉強を勧められ、実際に教会で働く少年、黄田飛耀(きだひかる)と土生の手を借りながら少しづつ勉強する男子高校生の赤塚賢斗(あかつかけんと)

 彼は学校数が多い首都圏の中でもトップクラスを誇る進学校の(ひかり)高等学校に上位数パーセントレベルの点数を叩き出して入学してきた……はずなのだが。

「体内に有する元素量で能力のランクが決まる。このランクを低い順に答えなさい」

「あれ、何か韻を踏んでたんだよな……Piece、Chip、Deep?」

「若干惜しいねー。Cheap、Piece、Deepの順だよ」

 声にならない唸り声を上げ、文字通り頭を抱える。

 座学はずっと昔から努力していたから得意なのだろうが、能力に関してはどうせ使わないと高を括っていたせいで常識レベルのことすらあやふやなようだ。

「……聖教会と全日本神仏道連盟が対立している理由とそれぞれの本部は?」

「教会は神は一柱しか存在しないけど、連盟は仏を崇めたり、八百万の神が存在すると信じているし、連盟からしたら自分たちを追い出す嫌な組織で、教会側は日本進出する上で邪魔だったりするから対立している。教会がイギリスのマンチェスター、連盟は京都」

 この問題であれば社会科に紐付けられるように、今まで学んできたのであろう一般教養はあるものだからややこしい。


「はぁ……とりあえずお前はこれから教会の人間と関わることが多いはずだ。仕方ないからこれだけは覚えとけ」

 黄田は痺れを切らしたのか、椅子から腰を上げホワイトボードの前にいた土生の近くに立つ。

「教会には基本的には四つの役割があってな、レゼットタンカーが能力による犯罪や事故の対応を行う。まあ警察と自衛隊を合わせたようなものだと思えばいい。データワイドが聖教会や神についての情報をまとめる。いわゆる事務作業だな。パルエスチョンは一般人、教会関係者問わず心身のヘルスケアをする機関なんだけど……仕事が無さ過ぎて雑務ばかりやってるものだから裏では島流し先と揶揄されてる。エジュスケールが教育関連。土生さんがなりたがってるやつだな。この煌高の教師は大半がエジュスケールだ。普通の奴はこの四つの職業が割り当てられるが例外も存在しているんだ。それが上位組織の枢密機院、協議会、七段の城壁で、それぞれの役割は――」

「長い! 要するに⁈」

「レゼットタンカーが警察、データワイドが事務員、パルエスチョンはお茶汲み係、エジュスケールは教師」

 黄田の話を聞いてすぐボソボソと呟きながらノートに書き殴っていく。掴んだシャーペンと同じ位置にできているタコは、昔からそうやって彼が勉強してきたことを表している。

 字は少し汚いが、所々マーカーを引いたり記号を用いるなどして全体的なレイアウトが整えられている。ある程度説明がホワイトボードに書かれているとは言っても即興でここまで綺麗にまとめられるのは一種の才能も感じる。


 そのノートを見て黄田がマシンガントークをまた始めようとしたのを静止して、一旦昼休憩を挟む。

 周りの人間に辛辣に接することも多く、いつも神妙な顔をしているが黄田の料理は一級品。教会の方から支給される食材のみでやりくりしているのにも関わらず、だ。

 今日の昼ご飯は辛めに味付けされたペペロンチーノ。一緒に入っている瑞々しくほんのりと甘さのあるキャベツがいいアクセントになっている。

「そういえば今日来る時に教会っぽい人が『明日解放されるな』とか言ってけど、本当?」

 そう言った土生をジッと見た後に視線を下に向け黄田が続ける。

「上からはまだ言うなって言われていたんだけどな。その通り、お前は明日ここから解放されて煌高の特別クラスに編入される訳だが……下っ端の護衛ですら知っているのなら、お前ここ出たら暗殺者とかに狙われるぞ」

 うっと喉に詰まったパスタを麦茶で流し込み、大きく息を吸い込む。

 暗殺者? 今までの出来事は全て想像もつかないようなことばかりであったが、ここまで来ると呆れてしまいそうだ。

「いやいや、暗殺者とか話飛躍しすぎでしょ……さすがにあり得ないって」

 途端に乾き始めた喉を潤そうとコップに手を伸ばす。

 しかし、黄田の能力で机に叩きつけられた腕にフォークが突きつけられる。

「どうしてお前はそう他人事のように言えるんだ? もうお前は一般人じゃないんだよ……赤塚、外出ろ」

「え? でも外に出たら……」

「早くしろ」

 まるで歴戦の戦士のような有無をも言わせないオーラを放つ彼に誰も口答えはできなかった。

 軟禁されてから実に数週間振りの外は確かに開放感があったが、今の空気ではとても落ち着くことはできなかった。

 息を吸って、吐いて。わざわざ外に呼びつけたのだ、やることは一つだろう。

「ずっと座学で疲れただろ? 最後は実技授業だ。僕はここから動かずに戦う。一歩でも動かせることができたらお前の勝ちだ……全力でかかってこい」

次回投稿は来週12月28日です。

これからは毎週土曜更新とさせていただきます。

Twitter(現X)のアカウント(@EveryDay_Kie)で登場人物の立ち絵などを投稿しています。更新までの暇つぶしになれば幸いです。

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