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プロローグ


「これが、君が見たかった景色なんだね」

「……遠い昔から、多くの者が見たがっていた景色ですよ」


 横で感慨深そうに細められたアメジストを見ながら、これまでの道のりに思いを馳せる。


 ──────初めて彼と会ったとき、まさかこんな未来が待っているとは考えもしなかった。



 眼下に集まる大群衆が、上から降ってきた花びらのシャワーに気づいて一斉に空を見上げた。


 花を吹きながら悠々と空を泳ぐ艶やかな黒の巨体に、見上げた誰もが見惚れて息を呑む。


 地上のどこかで湧き起こった歓声が波のようにつながり、ひとつの大きな音になる中で、心優しき友人らも気難しい友人らも、皆が誰かに肩を抱かれて笑みを浮かべていた。


「シャーリーンと出会って僕の世界は本当に広く明るくなったんだ。一所懸命な君が色んなことを切り拓いていくのを見て、とても勇気づけられたんだよ」


 長いまつ毛の後ろで、透き通ったアメジストがきらきらと輝く。


 ──────まるでこの世の希望をいっぱい詰めこんだかのようなその瞳に、私の方がいつも勇気づけられていたというのに。


「この世界が多くの者にとって美しく眩しいものであれるように、ともに尽力しよう。彼らと……みんなで、手を取り合って」



 私たちもいまや、大きな世界の渦の一部となった。


 これからも多くのことが起こるだろう。

 誰かが過ちを犯すこともあるだろう。


 それでもこの国は、この大陸の歴史は、すべての種族とともに脈々と続いていく。


 そう、願っている。


 そしてこの先どんなことがあっても、きっとまたこの人たちとともに、この忘れがたい景色を何度も思い出しながら私は進んでいくのだと──────強く、そう思った。


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