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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
人型戦闘機
51/62

人型戦闘機 新型

 MSF-38とVSF-1は初期に作られた機体だけに、不満な部分も多い。それを進化させる開発を行っているのが惑星大館にある日本連邦軍大館基地だ。


「お、シャー少佐のお出ましだぜ」

「西少佐と言えよ」


 西を乗せた車が基地メインゲートに現れる。少佐ともなると従兵と移動用車両が付けられる。

 簡単な検問で敬礼に答えた西少佐を乗せた車が通過する。

 車を降り、試験部隊に割り当てられた部屋に入る。


「敬礼」

「うん。おはよう」

「「「おはようございます」」」

「もう揃っているのか」

「期待の新型がようやく試験開始ですから、皆張り切っています」

「江間大尉。それは良いが、安室君だけ浮かない顔をしているな」

「西少佐がパイロット業務以外で忙しかったので、開発部門に安室特務少尉だけずっと協力させられていましたので」

「私達士官は機械に詳しくないので、整備部隊経験者の安室君の方が彼らには都合が良いと聞いたぞ」

「小林曹長の方が機械の扱いも上手いですし、機械に詳しいのは同じですが…」

「彼はケンタウロス系の専門になってしまったな」

「ですから人型の方は安室特務少尉が専属みたいなものでした」

「そうなのか。安室君」

「はい。西少佐。彼らはおかしい」

「そんなに厳しいのか」

「何であんなことを考えるのか、僕にはわかりません」

「機体構造のことか」

「そうです。応力外皮構造、モノコックでいいのに、なぜ中央骨格、メインフレームなどというものをメインにしようと思ったのか」

「例えるなら昆虫と哺乳類か」

「そうです。進化させるにはメインフレームを持った機体の方がやりやすいと」

「そうなのか」

いじりやすいんですよ。メインフレームがあると。関節の強度はともかく可動範囲の自由度が増しますし、各部の大きさをモノコックのように基本構造から変更しなくててもフレームに取り付ければ済みますから」

「自由度が上がれば高振動ブレードが扱いやすくなるな」

「開発の連中もそう言ってます。来る日も来る日も同じ動作の繰り返しをさせられ微妙な変更の結果を根掘り葉掘り聞かれるのは、もう嫌です」

「そうか。だがテストパイロットとはそういうものだろ」

「疲れました。宇宙を自由に飛びたい」


 安室の「自由に飛びたい」はまだ先になる。そう告げられた時の安室の顔は能面と化していた。


「まず新型の地上試験からだな。宇宙へ上がるのは歩行などの動作に問題が無いかを確認してからだ」

「僕が確認しました」

「君だけという訳にもいかん。複数のパイロットで異なる動かし方を試験する」

「いつ上がれますか」

「最低でも1週間は各部動作の確認を行う」

「では来週にでも」

「そのデータを開発部で解析して異常が無ければな」

「異常などありません」

「強気だな」


 地上試験は概ね合格と言えた。概ねというのは、腰だめで撃つプラズマ熱砲のような大型手持ち兵器の試験をやっていなかったからだ。開発部が忘れていたらしい。それで2週間延びた。


「宇宙だー」


 万久里のドックに特設された人型戦闘機開発チーム専用区画で喚いているのは安室だった。

 区画内には新型人型戦闘機 MSF43 が10機格納されている。カラーリングは相変わらずだ。試作機に近い扱いで派手にしていると開発部門では言う。後はイメージが出来上がってしまったのであえて変えないとも。江間大尉がブーたれている。西少佐はいい年になってきたので赤はちょっとと思っている。計画中の西少佐専用機ではもっと派手でゴージャスな色にされるとも知らずに。



MSF38 1型            MSF43

身長       25メートル     26メートル

肩幅       13メートル     13.5メートル

胴体厚       7メートル      8メートル

乾燥重量     38トン       42トン

全備重量     62トン       68トン

動力      

艦本式マイクロ核融合炉MR32-26  MR33-11

 出力 10500kW 1基     12000kw 1基 

メイン核融合ロケット

 推力 16トン 4基        推力 18トン 4基   

 脚部2基 背中2基         同じ

 背中の2基は推力偏向可能      同じ    

核融合スラスター  

 推力 800kg 10基      推力 850kg 12基

 6基は推力偏向可能         同じ 

推進剤 水(凍結防止添加剤20%)

 搭載量14トン           搭載量16トン  

 外部増設可能            同じ

         

武装は変更無し  

固定武装

内蔵

12.7ミリ機関銃      1基 装弾数1500発

25ミリ機関砲        1基 装弾数1500発 

空対空ミサイル        4発

外装

超振動ブレード        1振り 

楯              1枚  20メートル×8メートル

35ミリガトリング砲     1基  装弾数1000発



オプション装備

単機装備

60ミリプラズマ熱砲     弾数300発 単発 毎分80発可能

120ミリプラズマ熱砲    弾数120発 単発 毎分40発可能

空対空ミサイル        8発~32発        

空対艦ミサイル        1発~8発 

武装強化パック        ミサイル数4倍と砲弾コンテナ2個

偵察哨戒パック        大型レドームおよび高性能センサー搭載

遠距離進出パック       20トン外装タンク+ミサイル2倍            

大気圏降下パック       バリュート+テント+生活資材


オプション装備に高速強襲パックが追加された。MSF38でも使用可能である。

武装強化パックに推力16トンの核融合ロケット4基と大型推進剤タンクを組み込んでいる。砲弾コンテナが1個にミサイルも2倍に減っている。航続時間は伸びたが遠距離進出パックほどでは無い。大出力ロケットを最大限使うための大型推進剤タンクである。



 新型はメインフレーム化と生存性を上げるための変更で若干大型になり重くなっている。推力を大きくして機動性の低下を防いでいる。開発部では、同じ直線速度からの旋回半径は大きくなるが速度が上がっており格闘戦でMSF38と同等以上と言ってはいる。

 各部の可動域が大きくなり、より人間に近い動作が可能となった。

 武装は試験中の物がいくつかある。そのうち変更されるかもしれない。

 移動要塞戦の時はこの武装で十分な威力を発揮しており、敵装備が極端に重装甲にならない限り十分とされている。



次回更新 3月04日 05:00

次回「試験飛行」

MSF43の実力は。


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