人型戦闘機 砲艦
会議の議題は砲艦に移っている。
「スペックとして全長1300メートル、幅300メートル、高さ200メートルの船体で、機関出力は高速戦闘艦よりも遅くそれていて敵移動要塞よりも速い通常型の宇宙戦艦同等辺りを考えています。搭載するレールガンは1000メートル級レールガンを2基。ここまではよろしいでしょうか」
「ふむ。続けたまへ」
「では。装甲ですが万久里と同じではものすごいコストと建造期間が掛かってしまいます。そこで敵と正対する正面のみ万久里の装甲と同じ層を4層とし、他は二層とします。これで敵宇宙戦艦の攻撃にも耐えられます」
「敵中に突撃する仕様だね。防御力は良いだろう。自己防衛能力はどうなのだ」
「はい。火力ですが通常の宇宙戦艦と同じ主砲を数基。対空ミサイルや対空パルスレーザーなどの自衛兵器を搭載。戦闘機と戦闘衛星を200機程度搭載します」
「ほう。それだけの火力と防御力に速度が有れば艦隊旗艦も可能だな」
「旗艦設備を追加する十分なスペースが有ります」
「そうか。かなり使えそうな艦になりそうだ。肝心の量産はどうなのか」
「試算では最初の2年で20隻が完成。20隻で経験を積んだ後に3年後に100隻。4年後に300隻が可能という試算です。もっともこれは理想的な状況の場合ですので、当然減ると考えております」
「条件次第なのは仕方が無いだろう。それで聞きたいのだが、400隻揃える予算はどのくらいだ」
「えー。申し上げにくいのですが万久里12隻から14隻程度かと」
「・・」
「万久里12隻から14隻です」
「それはまた。凄いな」
「はい。ですので軍の予算では賄いきれません」
「理解した。ぜひ必要な装備だと考える。必要な予算は議会に上げるとする」
「「「おお」」」
4ヶ月後。予算は無事とは言えないが議会を通過し量産が開始された。
予算成立に先だって、軍の予算内で建造出来る8隻が先行量産として経験値を積むために建造が開始されていた。
建造が開始された砲艦は議会の要求によってさらにコスト削減と量産性の向上を求められ、初期構想よりも小型になった。レールガン自体も短くなって投射速度を400km/sまで下げているが、弾体を大重量にして運動エネルギーをあまり減らさないとし貫通力の低下を防いでいる。内包する2液性炸薬の量を当初計画よりも増やし敵艦内での破壊力を上げる事になった。砲身命数は800発予定が500発予定になっている。
初期構想のまま作られた砲艦は先行量産された8隻のみである。ここで積まれた経験は以降の砲艦建造において重要だった。
変更点は
オリジナル8隻 量産型
全長 1300メートル 1000メートル
最大幅 300メートル 250メートル
最大高さ 200メートル 180メートル
武装
1000メートル級レールガン2基 700メートル級レールガン2基
投射速度 500km/s 400km/s
弾体重量 60トン 65トン
炸薬量 2トン 6トン
軌道変更能力 2km 2km
(10万kmで)
最短投射間隔 2分 同じ
自衛火力 初期構想のまま 同じ
搭載機数 各種250機 各種200機
装甲
正面装甲 万久里4層 同じ
側面装甲 万久里2層 万久里1層+内装部宇宙戦艦同等
主要装備
司令部設備 艦隊司令部 同じ
機関出力 初期構想のまま 同じ
この変更で船体建造費が7割になり、レールガン製造費も8割になった。建造期間はオリジナルで2年だったのが1年半以下まで短縮が可能とされた。小型化により建造可能造船所が増え4年後に400隻以上が就役できる予定。
機関出力は同じなので軽量化された分機動力は向上した。
レールガンは200メートル構造用押し出し鋼材2本と300メートル構造用押し出し鋼材1本で700メートルとしている。これは、300メートル構造用押し出し鋼材も需要が多く、本数を減らさざるを得なかったためであった。200メートル構造用押し出し鋼材なら銀河連合内合計で万本単位で生産されている。量産されている各種規格品は細くて強度が足りないため専用の型を作って対処した。
オリジナルの万久里搭載レールガンに較べて投射する弾体も速度も半分以下になったので、軌道変更量が大幅に増えている。
この量産型レールガン搭載砲艦はインドラ級と名付けられた。インド神話から引用された。
そのせいか各国とも命名するにあたって神話の発掘を始めている。しかし、原典や西暦2000年くらいまでの書物はアーカイブ化されているがその後の民間創作が膨大(特に日本)で、全く新しい創作神が出来上がっていて本物の神話と信じられていたり、中には創作物の方が有名になり本質とかけ離れてしまった神もある。(だいたい日本の創作物のせい)
名付けの際に有名な方か原典に拠る方が良いのか、命名の際に頭を悩ませるのだった。
同時期、日本連邦軍が移動要塞戦で大気圏内外両用戦闘機と人型戦闘機を活躍させたことにより、日本連邦軍の大気圏内外両用戦闘機と人型戦闘機は注目を集めた。
視察はひっきりなしであった。そして、何故活躍できたのかが一番の関心事だった。従来なら活躍など出来ない動く的程度の兵器が何故活躍できたのか。
魔法と魔法金属がバレ、ルシンドラもバレた。各国のみならず銀河連邦も関心を寄せるが、現地代表が緩やかな発達を願っている、と言うことで無理に進出することはしないことになった。
そして各国領域で知的生命体存在惑星の詳細調査が盛んになる。
結果
インド領域 2個
ブラジル領域 1個
タイ領域 1個
ブリテン領域 1個
四川共和国領域 1個
エジプト領域 1個
トルコ領域 1個
と、多数の剣と魔法の世界が確認された。
銀河連合が主体となり地上世界との交渉が始まる。魔法を教えて欲しいと同時に魔法金属も入手したいと。
インド領域の1個を除き現地支配層との交渉は概ね成功した。その1個は性質が極めてアルガレータ神教に近いガリオヌス教という宗教が人類生存領域の多くをを支配していたのだった。
銀河連合はインド政府と協力してガリオヌス教に脅かされている勢力と接触し、支援を開始した。支援と引き換えの条件は[ 魔法を教えて欲しいと同時に魔法金属も入手したい ]で、相手の足下を見ての交渉だが成功した。
支援は医療と衣料と食料他の提供。自衛を除き直接の戦闘には関わらない事も了承されていた。
自衛を除くというのがいかにもだが、そこは利用されておく。
銀河連合に魔法の時代が始まる、のかも知れない。
次回更新 02月29日 05:00
次回「人型戦闘機」
各国とも魔法と魔法金属を入手。さて、どうなるのか。
MSF38のまねっこ多数か。それともVSF-1にいくのか。




