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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
人型戦闘機
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人型戦闘機 レールガン搭載艦量産へ

屁理屈で作る「レールガン搭載艦量産へ」は、長くなったので2話に分けました。

本日06:00に次話投稿です。

「おはようございます。早速昨日の続きを話しましょうか」

「お手柔らかにお願いします」

「柔らかくすると、レールガンの精度が出ないので」

「やっぱか」

「では、500メートルのレール4本を繋ぐところからですね」

「面倒そうな」

「ズバリ面倒です」

「うう…」

「何が面倒って、接合部で直線が絶対に出ませんから、ひたすら調整です」

「溶接は無理なんですね」

「溶接だと調整が出来ないので」

「そう書いてありますね[ 子供でも出来るレールガンの作り方 ]に」

「そうです。書いたのは私たち制作者です」

「ひょっとして」

「自分も書いたひとりです」

「やけに話しぶりに力が入っていると」

「いけませんね。実感がこもりすぎていましたか」

「こちらに伝わってきますのでひしひしと困難さを実感していますよ」

「それは良かった。舐められると実行しても上手くいかないと思います」


「レールを繋ぐのはしっかりしたケーシングに繋ぎます。5メートル間隔に支柱で支えます」

「5メートル間隔ですか。2キロだと400箇所」

「そう思うでしょ。それで失敗しました。先端に行くほど超高速で動く弾体がレールの微細な曲がりや弾体の製造誤差で弾体が暴れて強烈な力が掛かりレールが振動します」

「拙いですね。しかし観測できるのですか」

「拙いのです。下手をすれば破壊に繋がります。観測はリアルタイムでは当然出来ません。後から観測機器の結果で推測するしか無いのです」

「どのくらい動くのですか」

「最高で80センチ拡がりました。2センチ以内に納めないと弾体が暴れて最悪軌条が破壊され弾体もどこへ行くかわかりません」

「弾体がどこへ行くかわからないというのは怖いですね。では対策として支柱を増やしたのですか」

「先端200メートルは1メートル間隔。その手前200は2メートル間隔。その後200メートルは3メートル間隔。それで振動を押さえ込みました。ケーシングも強化しました」

「弾体の精度も上げたのですね」

「当然ですが、現在の技術が許す限りですね。理論上でしか存在しない真円断面の完全に平行な円筒と完全な重量バランスなど不可能ですから」

「そんなに暴れますか」

「最初の試射では弾体が暴れて支柱が折れ曲がったり破断したり大変でした。その時が30センチでした」

「試射ですが速度は?最初から実用速度ですか?」

「とんでもない。半分です。500km/s。その速度で大惨事だったので大変な騒ぎでしたよ。80センチは1000km/sで発射した本射の時です。見事にレールガン自体が壊れました。これ以上支柱の間隔を詰めるとメンテナンスが出来ないので支柱とケーシングをさらに強化しました」

「支柱を増やし強化してケーシングを強化し、弾体の精度を上げる以外の対策は?」

「他には冷却の強化。レールガン発射ソフトウェアのプログラムも徹底的に改善を」

「それで上手くいったと」

「大変でしたが、成功しました。いいですか。レールガン自体の直線性確保ですが24軌条を円周に等間隔配置しています。それだけ配置しないと直進性と強度が確保出来ません。そのうち左右の8軌条で加速させています」

「解説図面には24軌条となっていますが、それ全部人間が手動で調整ですか」

「勿論、機械は使いますが人力でこなす部分も多いです」

「レール1本の調整にはどのくらい掛かりました」

「2週間前後です。でかいので動かすのに時間が掛かる上に、あっちを動かせばこっちが動くで直線性が出ません。その調整が面倒で。それを24本が完全に円筒をなすように調整するのが面倒で、面倒で、面倒で……」


 うなだれていく日本連邦軍技術中佐。よほど嫌な思い出なのだろう。


「わぁー…」

「完全自動化は無理ですか」

「予算をいくらでも掛けて良いなら可能です」

「増えますか」

「専用機械の設計から始まってからですが、それを除いても倍以上にはなるという試算が出ました」

「超弩級宇宙戦艦4隻分以上か。人力でとなりますね」

「そうなんですよ」


「それで量産は出来そうですか」

「何故聞く。出来ないに決まっているでしょう」

「員数と資金の大量投入で可能では」

「無理。物理的に不可能」

「この馬鹿たれ参謀1課の原案ですね」

「調査能力が足りないのか、本気で可能と思っているのか」

「本気だったら無理矢理やらせる気なのか」

「どうあっても物理的に不可能」

「そんなにですか」

「500メートル級構造用押し出し鋼材の生産能力が足りない。万久里の時も他からさんざん文句を言われた」

「生産能力の向上は?」

「企業には製造ラインを増やしてもらえた。今では多少の余裕はあるがこの量は不可能」

「もっと増やせないのか」

「このクラスの構造用押し出し鋼材を使うのは日本連邦軍だけだからいたずらに増やしてもね」

「この馬鹿たれ参謀1課の原案は無理と」

「ではどうする」

「短いの作りましょう。万久里のレールガンは敵移動要塞に対して威力過大というレポートが届いている」

「短ければ楽か」

「そうそう」

「製造側の精神にも良いな」

「それ」

・・・・

・・・・・・・

・・・

「ではこの検討結果を、技術本部と造船本部と兵站2課に上げる」

「妥当な結果なので受け入れられるでしょう」

「あの1課長には現実を見ろと言いたい」

「主任は能力的に課長になっても申し分ないのに」

「作戦課1課長も能力が無いのではないのだが」

「俺が俺がが強すぎる」

「そんなにですか。日本連邦軍にいると銀河連合軍内でのことは良く分からんのです」


 結果は上げられ、会議に掛けられることとなった。 


次回更新 02月25日 06:00

次回「小さくなったレールガン搭載艦」

屁理屈で屁理屈を上塗りする。


屁理屈楽しい。

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