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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
人型戦闘機
43/62

人型戦闘機 反乱

 自爆信号が切れる少し前、アルガレータ法国化外(けがい)地教化部隊の戦艦アルコンドリアンでは。


「その方。司祭たる私に銃を向けて気でも違ったか」

「いえいえ、至極まともですよ。司祭殿」

「ならすぐに銃を下ろせ。今なら目をつぶってやる」

「無理ですな。すでに助祭も捕らえてあります」

「なんだと。反逆する気か」

「もう嫌なのですよ。今の状況が」

「何が不満だ」

「何もかもです。特にアルガレータ神教が気に入らない」

「気に入らないだと。逆らう気か」

「逆らうですか。同じ国民で信徒に向かって逆らうなとはおかしいですな」

「貴様ら一般信徒は黙って我々の言うとおりにしていればいいのだ」

「貴様ら宗教指導者には、国を我が物顔にする権利など無い」

「なんだと。神を恐れぬ不届き者め。神罰をくれようぞ」

「その神罰とやらは、誰がするのだ」

「神だ。恐れよ」

「そうか。その神の手先とやらならならとっくに真空中だ」

「は?」

「エアロックから直接宇宙へ出ていったぞ。ガラスに遮られない宇宙はさぞや綺麗だっただろう」

「ガラスに遮ら…何と言うことを!」

「何と言うことを、だと?お前らがいつもやっていることだろう。逆らう奴には暴行や拷問も平気で行方不明になっている奴も多い。だいたいアルガレータ神教やお前ら司祭に文句を言った奴らだ」

「神罰が当たっただけではないか。何故、私の従者をエアロックから放り出す。神罰が下るぞ」

「残念。まだ救いが来ると思っているのか。そいつらもまとめて宇宙遊泳している」

「な…」

「調べたさ。この戦艦の中にお前らの他に10人もゴミがいるとは」

「移動要塞レータグルムの大司教様が黙っておらんぞ」

「レータグルムか。先程やられたな。副長。今どうなっている」

「はっ。レータグルムからの自爆信号途絶。機能不全に陥っております」

「機能不全だとさ。どうした司祭様よ」

「そ・そんな」

「自爆信号の管理が出来るのが、この部隊ではレータグルムとアルコンドリアンの2隻だけだ。そして、副長。自爆信号の解除をする」

「了解。航海長も来い」

「喜んで」

「貴様ら、何をする。そんな事をしたら部隊の管理が出来ないでは無いか」

「お前らから自由になるのが先だ。さて、お前のコードを言ってもらおうか」

「嫌だ」

「助祭も知っている。先程口を割ったぞ」

「なんだと。あの不信心めが」

「カスルイ曹長。ご苦労だが、こいつの口を滑りやすくしてくれないか」

「艦長。よろしいので」

「出来れば、見たくないんだが」

「では通路にて」


 司教が通路に連れ出された。

 数分後。


「艦長、コードはこれです」


 メモを渡される。一応、助祭のコードと一致はしている。間抜けにも手荷物に有った、忘れないためか書かれていたコードとも一致する。

 反抗を防ぐための秘密コードでなければ良いが。

 秘密コードなら使った瞬間に自爆する。


「さて、どうする」

「艦長、使いましょう。今更、後戻りできません」

「そうです」

「「「「使ってください」」」」

「では使うぞ」


 艦長席のコード入力用キーボードを操作する。

 自爆することなく、艦長席横にある台のパネルのロックが解除された。自爆する狂信も度胸も持ち合わせていなかったようだ。

 艦長席横に有る台のパネルを開けると、3個の鍵穴とテンキーが有る。


「艦長のコードを入力」  キーを押し鍵を刺す

「副長のコードを入力」  キーを押し鍵を刺す

「航海長のコードを入力」 キーを押し鍵を刺す


【警告。キーを右に回すと自爆信号が解除されます。10秒以内にキーを左に回して鍵を掛けてください】【警告。・・・・】


 3人で鍵を同時に捻った。鍵を掛けずに右へ。


【自爆信号が解除されました。自爆信号が解除されました】


 艦橋内にホッとした空気が流れた。


「通信長。部隊に向けて戦闘中止命令を出せ」

「はっ。戦闘中止命令出します」

「次いで、敵艦隊に降伏信号送れ」

「艦長。良いのですか」

「帰ったところで居場所は無い。敵は捕虜を大切に扱うらしいからな。アルガレータ神教と違って」


 

 戦場は動きを止めた。生存者の収容や装備の回収が始まる。戦場掃除の時間となった。

 そして、移動要塞レータグルムに大司教が乗っているのが判明し自爆の可能性も低いとなり、日本連邦軍は制圧に乗り出した。




 今回のアルガレータ法国による侵攻作戦は、各地に大損害をもたらした。

 10隻用意された移動要塞は、侵攻初期に万久里が撃破した以外に3隻が撃破された。ただ、移動要塞1隻とその艦隊に宇宙戦艦80隻他艦艇200隻、戦闘衛星や宇宙戦闘機多数との引き換えだった。

 残りの6隻は、万久里が順繰りに各地を回り撃破した。機動力が無いのが分かり遠距離からレールガンで仕留めた。正面からやり合ったのはあの時だけだ。

 それでも移動を含めて6ヶ月という日時が掛かり、各星系に軍民問わず甚大な損害が発生した。


 そして、捕獲された移動要塞は万久里が最初に撃破した1隻だけ。残りは自爆してしまった。アルガレータ法国の味方艦隊を道連れに。


 現在、択捉恒星系には日本連邦のみならず銀河連合や各国家より調査員が多数訪れている。当地の設備では足りない宿泊施設や会議室など各種区画などを択捉恒星系に帰ってきた万久里が提供している。

 調査は移動要塞と艦艇だけでは無く、当然捕虜も調査対象だ。

 捕虜にしたアルガレータ神教関係者は頑なであったが、投降したアルガレータ法国艦隊乗組員も大人しいもので素直に聴取に応じている。

 そしていくつかの看過せざる問題も表れた。


 銀河連合は方針を改めるべく、緊急首脳会議を行うことにした。


次回更新 02月19日 05:00

次回「銀河連合の方針」

銀河連合の方針が変わる。


戦艦の反乱と言えばポチョムキンが有名。

戦艦ではないですがキール軍港の反乱も有名ですね。

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