ルシンドラ ドラゴン
ルシンドラには3種類のドラゴンが居る。
人に対して鷹揚なドラゴン。
人も他の生物と同じ餌としか捉えていないドラゴン。
そして、現地人に確認されていない高度知性体としてのドラゴン。
鷹揚なドラゴンではあるが、人を餌としか思っていないドラゴンとの区別がしにくいこともあり、ドラゴンスレイヤーの名声と莫大な財をもたらす素材を求める馬鹿が出現する。手を出されれば当然反撃をし大被害が出る。
馬鹿の被害は結構ある。最近では馬鹿を差し出すことによって怒りを静めてもらっている。
普通に食事をするドラゴンは、当然人など気にも掛けない。バクバク食べる。金属鎧は好みではないらしい。多少は気に掛けないようだが、フルプレートメイルだけはお残しをする。残されても生きてはいないが。
高度知性体としてのドラゴンは、人知れずと言うかルシンドラ人類の行動範囲内には住んでいないので知られていない。知ってるのは日本連邦だけで、会話をしたのは3人だけだ。
「なんでこんな事聞かされるのかな」
「それはだ。これから高度知性体としてのドラゴンと対面する」
「「「「「「は?」」」」」」
大江少佐の声に誰もが驚いた。
「今まで会話をしたのが3人しかいない。と言うことは、秘密にしておきたいのではないのですか」
「西大尉。そうではない。向こうさんは会いたがっている」
「ますます分かりません」
「珍しいから頻繁に会うことにしたそうだ」
「大江少佐。それは暇つぶしの種にされるということですか」
「概ね違いはないよ。江間中尉」
「大江少佐。どのくらいまで突っ込んだ質問をしていいのでしょうか」
「稲州技官か。それは分からんとだけ言っておこう。かなりの知性を持つぞ。感性や行動目的も我々とは違うということを意識するように」
「分かりました」
翌日、ドラゴンが基地に現れた。御一行様は全部で12頭?匹?体?。いずれも失礼な数え方という気がする。どう数えれば良いのだろうか。
監視衛星が探知した。まだこちらの警戒レーダー網の有効圏外だ。
「5番監視レーダーに反応あり。南南東から12個接近中。高度1000。距離700キロ。時速800キロで接近中」
「ドラゴンから12の個体が向かうと言われている。こいつだろう。一応確認のため、お迎えを飛ばせ」
お迎えに飛んだのは一番空戦の腕が良い万久里隊の4機だった。
『凄いですね』
「ああ、とんでもないな。おとぎ話の世界か」
『かっこいい』
『少し小さいのは若ですね。間隔が一定しません』
「確かにそうだ。あ、なんかこっち見てる」
『分かったんでしょうか』
「そうかもな。気をつけろよ。能力も不明だ」
『『『了解』』』
そのうちの2体が万久里隊に向かってきた。
「聞かれたかな」
『どうしますか』
「マックスとミリアであしらえ。怪我させるんじゃないぞ」
『『了解。お出迎えします』』
『マックス。あいつら音速越えるのかな』
「どうかな。巡航で時速800キロだと越えるかもな」
『不思議な生き物だ』
「でもかっこいいね」
『凄くかっこいい』
(頭から尾の先まで20メートルはあろうかという生き物だ。魔法で飛んでいるにしても不思議すぎる)
『マックス。来るぞ』
「了解」
(上と下だと)
『マックス左。私は右だ。それにしても挟むつもりか。上昇力には自信があるのだろう』
「生物でこの機体に勝てるとも?」
『こちらの性能を向こうも知らない』
「どうする」
『格闘戦だ。好きだろ』
「お手並み拝見と行きますか」
ドラゴンの降下した個体は上昇してきた。見事なダイブアンドズームだ。だが、マックス機は回避後に右旋回でその個体の後ろに付こうとしている。
上昇した個体はその位置エネルギーを活かし降下増速してミリア機の上から被せてきた。
その後はバレルロールやシザーズ、高速ヨーヨー、機体性能と風魔法を活かしての横滑りなどでお互いのケツを取るべく格闘戦を行った。
それが終わったのは、大声だった。大声というか風魔法に乗せた振動に近い。
群から1個体が飛んできて、大声を上げたのだ。
マックスとミリアの機体にもビシビシきた。終われということなのだろう。
『マックス、ミリア。フォッカーだ、終わりらしいぞ』
「『了解』」
格闘戦を挑んできた2体は止めに来た個体から怒られているらしい。
その後12体のドラゴンは基地へ到着した。
勿論全員でお出迎えである。
次回更新 01月26日 05:00
次回「対話」
ドラゴンとは?
ドラゴンはかっこいいドラゴンを想像して下さい。




