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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
冒険者
29/62

ルシンドラ 組み込み

試験機ですが

 採掘し精錬された魔法金属は設計を真田達、試作を徳川達が中心となって進める。

 ここで議論になったのが、形だった。そう、人型か航空機か。

 車両型は無限軌道型もタイヤ型も当地の実情から不向きとされている。道が無いし、森に行く手を阻まれる。

 航空機もVTOLかSTOLとされた。人型は道無きに道を行くに割と有利である。バランスを取れればだが。

 試験はルシンドラ地表でやることになっている。


 めんどくせえ。両方作れや。


 熟練の気迫に押された真田達は両方設計してしまう。熟練達は与えられた餌に喜んで残業をしまくる。



「単線ではやはり切れるか」

「こいつを撚線にするのは面倒だが、やるか」

「被覆は合成樹脂よりも魔物材料の方が伝導性が良いのか。せっかく作ったのにやり直しだ」

「全体の骨格はミスリルで良いとして、装甲だがどうする」

「航空機型は重量の問題もあるしミスリル以外はないな。人型は・・こいつ人型で良いのか」

「仕方ないだろ。重力下で二本足は無理だよ。接地圧は足を大きくすれば小さく出来るけれど、移動で生じる慣性はどうにもならない。重量が100キロも無い小型個体ならともかく、上物だけで30トンを超える慣性を二本足で止められるか!」

「それでアラクネになったと」

「八本足なら余裕で安定させられる。これなら上物で100トンもいける。アダマンタイト装甲でも足が沈まないぞ」

「車両型よりも幅が有る。森には入れないな。やり直しだ」

「え~」


「エンジン角度可変型VTOLを高Gの掛かる空戦に使うには機構が重すぎて軽くすれば構造強度が不足するのは今までの常識だ。これからは魔法金属が有る。従来チタン合金よりも3倍以上の強度を持ち800度でも強度を保てるミスリルを使えば常識外れの機体が出来る」

「可変戦闘機か」

「グッフッフッフ」

「浪漫だ」

「「「「クックック。ハーハッハッハ」」」


 技術本部から呼び寄せた技術者も入れて連日喧々囂々(けんけんごうごう)の日々が続く。





「一応出来た。君らの仕事は技術的未熟部分を洗い出す事だ」

「魔法関連か」

「そうなるな。だが、今までよりも突っ込んだと言うかやり過ぎている部分も有る。そこも問題が出るかも知れない」

「要するに使ってみなければ分からないと」

「その通りだ。穂刈少佐」

「航空機の試験は西大尉と江間中尉が中心となってやったのだろう。それでも問題が出るのか」

「西大尉と江間中尉は大気圏内の経験が少ないので、どうしても突き詰められない。万久里チームと南部チームには大気圏内での問題を洗い出して欲しい」

「そういうことか。了解した」



 上空を飛ぶ試験機を見ると旋回半径や機動がまるで違う。俺たちは宇宙空間が専門だから空力を使う航空機の扱いは上手くない。


「西大尉。凄いですね」

「安室君か。得意な分野が違う。この差は埋めがたい」

「そうですね。しかし、あんな機動が出来るのですか」

「3次元ベクターノズルとカナード翼での機体操作だな。俺たちでは出来ない」

「そうですか。大気圏内の飛行資格は持っていないので分かりませんが、凄いのですね」

「ああ。特に青い機体と赤い機体はとんでもない」

「青が満久二曹で赤が羽里二曹でしたか」

「腕前だけならトップレベルだ」



「マックスとミリアか。面倒な。ヒカルはミリアを引き付けろ。マックスの相手は俺がする」

『了解』


 糞。マックスの奴、しつこいぞ。ならこれはどうだ。


「気流操作」


 マックスが俺の後ろに回った瞬間に唱える。


『え?』


 従来の機体ではどう考えても空力的に不可能な機動を取り、マックスの横から演習弾を撃ち込む。


『降参です。撃墜表示出ました』

「ハッハッハ。俺に勝とうなんざ早いんだよ」

『隊長。墜とされました』

「ヒカルはもっと訓練を積め。警戒が甘いんだ」

『はい』

『隊長。ミリアです。凄い機動でしたが魔法ですか』

「そうだ。お前達も使えるはずだぞ」 

『忘れていました』

「まあ、魔法初心者だ。従来の行動に魔法を混ぜ込むのは時間が掛かるだろう。研鑽せよ」

『『『了解』』』


 先ほどの強引な機動でまだ胸がバクバクしている。身体モニターも真っ赤だ。機体モニターも赤い部分が多い。これは体と機体の負担が大きすぎて何回も使えん。まあ勝てて面目は守れた。まだしばらくは偉そうに出来るだろう。

 着陸すると集まってきた。可変エンジンで滑走路が不要なのは有り難い。燃費が良ければ言うことは無いが。


「穂刈少佐。何をやった。あの機動は何だ。こちらでモニターしているが肉体も機体も真っ赤だぞ」

「真田技術少佐。魔法を使った。かなりきつい。人にも機体にもだ。何回も使えん」

「穂刈少佐は医務室へ。機体はバラす」

「おい。飛べないのか」

「無理なのは君が良く分かっているはずだ」

「ま、素直に医務室へ行くよ。正直言ってあちこち痛い」


 

 穂刈少佐は軍医から二週間の飛行禁止と安静を言い渡された。「頸椎を軽く捻ったな。今の保護された操縦服と操縦席でどうやったらこんなに痛めるんだ。あちこち痛いのは瞬間的にかなりの負荷が掛かったからだろう。体が悲鳴を上げたんだよ。寝れば治る」と言われた。



次回更新 01月22日 05:00

次回「歩行」

次は陸戦兵器ですね。

30トンもの慣性を受け止める足腰作れるのでしょうか。



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