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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
冒険者
25/62

ルシンドラ 殲滅

誰だ、誰だ、誰だ

 ゴブリンスタンピードの先触れは普通のゴブリンとステップウルフだった。共闘することは無くお互いに餌の認識なのだが共に居る。これで最低でも頭はゴブリンキングが確定した。

 厄介なと思いながら上がったレベルで難無く倒していく。それも初めの内だけだった。次第に後方要員で戦闘力の低い者では相手に出来なくなっていく。


「早瀬中尉はもう下がりなさい。以降前線に出てくることを禁止します。救護所に詰めて」

「しかし、志摩大尉」

「命令です。継戦能力を落とさないことが重要です」

「了解しました。健闘を」

「当然です」


「森主計中尉は後方へ」

「まだ出来ます」

「ダメだ。早瀬中尉を手伝え。これは命令だ」

「了解しました。皆さんもご無事で」

「・・・・・」

「古代、何か言え」

「俺は絶対に生きる。やられはしない。だから、無事を祈ってくれ。美雪」

「古代君…」


「よう古代。これでやられたら墓場の前で今の台詞言ってやるよ」

「やられるものか。やられるものか。やられるものか。やられるものか」

「おお、やる気十分だな」

「良し。加藤は古代の手綱をしっかりとな」

「俺ですか」

「他におらんぞ」

「頑張ります」


 最前線に立つ大江少佐の無双も単体では数の威力に押され、徐々に戦線が下がっていく。

 そしてゴブリンとステップウルフがようやく切れたと思えば、次に出てきたのはホブゴブリンとボアだった。より強い敵にさらに押し込まれる。


「大江隊長。敵総数あと2000から3000。現在の推定です。まだ森の奥に居ると思われます」

「いかんな。このままでは押し込まれるか」

「どうしますか」

「火器解禁だ。まず小火器からだ。数を減らすぞ。大物はあとからレベル上げに使う」

「まだ上げるんですか。隊長」

「こんな良い機会は無いだろ」

「そうですね」

「後方に居る奴らから装備を調えてこい」

「小銃とM2でいいですか」

「それでいい・・待てM2では威力過剰だ。7ミリ機関銃までだ」

「了解です。ピーを使います」


 ピーで全員にコールする。


「こちらキャッスル。日下と佐藤はドローンで敵前面に機銃掃射。前進を止めろ。他の部隊員は、その間に後方から装備を変更。掃討戦に移る」

『キャッスル。日下です。7ミリ機関銃装備ドローンで敵前面を掃射。よろしいか』

「それでいいい。弾切れには気をつけろ」

『佐藤と交代で掃射します。タイミングはどうしますか』

「隊長」

「今からでいい」

『日下了解』


 2分後。無人戦闘ヘリでいいよねというサイズの大型ドローンが飛んできて、前面を掃射し始めた。スタンピードの勢いが落ちる。こいつだけで終わりそうだが、レベル上げという目的で減らすだけを選択した大江少佐。


「こちらキャッスル。志摩隊と田門隊は後方に下がり装備更新。急げ」

『志摩了解』『田門了解』


 志摩隊と田門隊が小銃装備で前衛に復帰すると、一気に敵を減らしていく。その間に他の面々は後方に下がる。


『こちら日下。ドローン弾切れ。後退する』


 次いで


『こちら佐藤。ドローン弾切れ。後退する』


 その頃には全員装備を調えて復帰している。


「城本。日下と佐藤はドローンを引き続き担当。武装はM2と50ミリロケット弾」

「50ミリロケット弾ですか、隊長」

「これからさらに強力な奴が出てくる。そのくらいは必要だろう」

「日下と佐藤のレベル上げが出来ませんので何か手当てをしないといけませんね」

「追い追いおやるさ」


『キャッスル。志摩隊、弾切れ近い。後退許可を』

「城本。許可してM2を持って来いと言っとけ。装甲車の使用許可を出す」

「了解」


『キャッスル。田門隊。弾薬残量少なし。後退したし』

「田門隊もか。やつらも装甲車だ」

「了解」


『キャッスル。南部隊。左の圧力が高い。範囲攻撃したい。バックアップと許可を』

「どうしますか。田門隊なら回せます」

「それでいい」

「こちらキャッスル。田門隊が装甲車で行く。その後範囲攻撃か?出来るのか」

『こちら南部隊。練習では上手くいった。下手打ったらバックアップよろしく』

「やらせてみろ。練習中の奴だろ。科学忍法とか言っていたな」

「怪しいですね」

「面白そうだろ」

「こちらキャッスル。田門隊到着後の攻撃を許可する」

『こちら南部隊。謝す』



「許可が出た。科学忍法の出番だぞ」

「住友技術大尉。やってやりますよ。みんな、行くぞ」

「「「「おー」」」」


「土魔法。土台製作。ムン!」

「次はおいらだね。木魔法。支持架。エイ!」

「ジョー、行くぞ」

「任せとけ。リュウ、チンペイ、頼む」

「頑張って維持する」「任せて」

「じゃあ乗るわよ。はっ」


 完成したのは、土魔法で作った土台に木魔法でハーネスもどきを這い回し、リュウと背中合わせのチンペイを挟んでケンとジョーが外を向いている。そこにジュンが真ん中の上に乗る。


「フォーメーション完成」

(良くやるよ)

「何ですか。住友技術大尉」

「何でも無い。バックアップは装甲車が来ている。いつでも始めて良し」

「はっ。科学忍法発動します」


「「「「「科学忍法。火焔旋風!」」」」」


 良くやるよと思いながら感心しているのは住友技術大尉だった。田門隊は何やってんだ?と見ている。

 住友技術大尉が相談を受けたのは、大高二曹と鷲野二曹の火魔法が飛ばせ無いという悩みだった。どうも科学知識が邪魔をしているらしい。火単体が遠くまで飛ぶ訳も無いし、矢や槍のような形にもならない。だいたい火が燃料も無く燃えているという事自体に抵抗がるのだと。燃料は魔力と考えて現地の人のように気にせず飛ばせと言ったが、やはり身についた常識が邪魔をすると言う。じゃあ、どう使っているのか?と聞いたら、こうですと。

 指先バーナーがどんどん強くなる。アセチレンバーナーより強力な炎が出ている。青白い炎が延びている。試しにやったら、5ミリの鉄板が溶断できた。これなら魔物も切れるだろうと聞くと、出来ますが有効距離が1メートルで使うよりも槍で刺したり剣で切りつけた方が楽で早いと言う。

 相談を受けても解決できそうにないので、火から起こる現象を調べて見ろと言った。そして火災旋風を思いついたらしい。


 目の前では火焔が左右に2メートル以上吹き出している。レベルが上がり伸びたと言うことだ。

 そして回転を始める。しかし気持ち悪いな。土台の下から植物の根っこみたいなのが出ていて、ウゾウゾ動きながら土台を回転させている。白鳥三曹の風魔法で酸欠や二酸化炭素中毒を防いでいるという。空気をどうやって動かしているんだろう。輻射熱は土魔法と風魔法で軽減できているという。でも熱いから長時間は出来ないと。

 あー。炎が強烈になってきたな。魔物に向かっていく。以外と速い。木の根っこも侮れないな。直径10メートルくらいで魔物を巻き込みながらいろいろな方向に向かっている。ランダムかな。避けようも無いな。


「住友技術大尉。アレは何だろうか」

「田門大尉か。科学忍法だそうだ」

「科学忍法……」

「面白いだろう」

「はあ。ところでアレは制御できるんで?」

「出来ているはずだ。ちょっと方向性が怪しいが」


 見守ることしか出来ない。



次回更新 01月14日 05:00

次回「終焉」

スタンピード終了です。


歩兵レベルの携帯火器は火薬式が主力でビームライフルとかレーザーガンとか有りません。数を揃えるには安い早い簡単が重要で、ビームライフルとかレーザーガンは本体とエネルギーの値段が高い、製作時間が長い、整備が難しいの3要素を解決すべく制式化に向けて研究中くらいです。

M2は改良を加えられながら1000年後でも実用兵器。現実にありそう。


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