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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
冒険者
23/62

ルシンドラ 能力



 各人が覚醒させた能力は有用なものが多かった。戦闘に役立つ能力が多いのは軍人という正体のせいなのだろうか。

 イネスが説明に入るな。


「説明しよう。ここまで分かっている範囲の事だけで済まない」


 始めたな。


「まず知覚よ。これはクワトロとアムロとエマが覚醒しました。知覚はよく分からないわね。感覚が拡がるというか鋭くなるというか、普通に言われる気配察知よりもずっと概念的な気がするわ」


 確かにそうだ。冒険者は気配察知を持つものが多く居る。聞いた話だと近場の気配が分かるということだ。近場がどのくらいは皆、明らかにはしないが。さらにベテランになれば覚醒した能力と関係無しに気配を察知し殺気も感じるという。

 私の知覚は覚醒した能力の気配察知とは違い、ベテランの持つ自前の気配察知と殺気を感じる能力の強化版のような感じだが、それとも違う。かと言ってテレパシーのような超能力でも無い。確かに概念的というのが正しいだろう。


「私イネスは、錬金術ね。薬草とかいじっていたのが関係あるのでしょう。薬作成の腕前が上がったわ。周りに聞いてもだいたい同じ感じよ」

「次は土魔法ね。土の操作もそうだけれど、広義で金属も含まれているようね。そうでしょう。真田技術少佐」

「うむ。俺も徳川機関少佐もバネの製作に掛かりきりだったからな。小林二曹と竜田二曹も整備の腕で付き合わせたから影響があるのだろう」

「ありがとうございます。では、風魔法ですが。こちらは穂刈少佐からお願いします」

「あいよ。穂刈だ。風魔法というのは空気を操る能力だな。今はレベルが低いから強めの風を巻き起こすのが精一杯だが、上達すれば大気圏内の空力を利用した空戦で有利になるかも知れない」


 ザワザワ


「魔法で近代戦を戦うのか…」

「浪漫だ」

「静かにしろ」

「「「「「「申し訳ありません」」」」」」

「よし。今は強い風と言ったが、人が歩けない程度の風を出すことが出来る。レベルが上がれば高圧空気の塊を作り出せるようだ。そして目標にぶつける。その瞬間に圧力が解放される。これは恐ろしいと思う。空気が見える奴はいるか」

「「居ません」」

「見えない攻撃だぞ。避けるのは無理だろうな。ほとんどの生物や人間はパニックになると思う」

「でもちょっと強い風でしょう」

「古代中尉。お前も風魔法だろう。いいか。これは爆発とほぼ同じだ。違いは火焔と格納容器の破片が飛び散らないことだけだ。一瞬で高圧空気を浴びせられる生物は吹き飛ばされるだけでは無く、鼓膜破裂など耳機能の喪失や眼球破裂、さらには肺の破裂もあり得る。恐ろしくないか」

「恐ろしいです」

「もっと理解しろ」

「ありがとうございます」

「おう。じゃあ稲州技官、返す」

「ありがとうございます。火魔法ですが、これは当地でも多い覚醒なのでおそらくは根本的に火の恐ろしさが原因と思います。ただこの部隊の火魔法はそれと違うのではないかという気がします」

「稲州技官。違うというのは」

「はい。当地の火魔法はファイアボールとかファイヤアローというものが主体ですが、彼らの火魔法は何というか、科学ベースの火魔法ですね」

「科学ベースの火魔法?」

「だって指先バーナーですよ」

「指先バーナー……」

「科学ベース・・」

「科学ベ・・」


 プププププ


「基礎知識として科学技術があるのだから仕方がないでしょう」

「済まんな。加藤中尉。ただ魔法と科学の融合が現実に有るのだなと思うとな」

「どういうことですか真田技術少佐」

「我々の目指す所だよ。魔法技術を現代技術に持ち込んで有効活用する。それがこの部隊の目的だ」

「そうでした。そうなると、我々は成功していると」

「取り敢えず一歩を踏み出せた。そんな所かな。稲州技官」

「はい。そう考えていいと思います。どうですか、雷魔法というレア魔法を覚醒させた住友技術大尉」

「私か?そうだな。私は主に火器の小型化をやっていた。具体的に言うとプラズマ熱砲の小型携帯化だ。それと、当地ではいろいろな所に避雷針の設置を手掛けたせいだろうと考える。そう思うと、この星の神々というのも信じたくなる。皆は思わないか」

「「神々ですか」」

「そうだ。我々のこの星での活動は始まったばかりだ。なのにこれまでの経験も加味されていると思ってな」

「「「「「「う~ん」」」」」」

「そうかも知れませんが、一番訳分からないのは森主計中尉の水魔法と早瀬中尉の治癒魔法と燕上等兵の木魔法でしょう。経験が加味されていないと思います」

「そうだな。稲州技官。それが不思議だ」

「あ、それについては燕上等兵です。いいでしょうか」

「いいぞ」

「実家が地表の果樹農家で果樹の相手をしていました。ここでは薬草採取と樹上にある果実や花の採取依頼をずっとやっていました」

「あー。経験と現地の行動か」

「では、なんで私の水魔法が不思議なのですか」

「森主計中尉。君は水に関わっていたか」

「補給で関わっています。しかし、後は後方活動が主で水に直接関わってはいません」

「それなんだよな。大江少佐も何故か水魔法だし。これは分からんな」

「もっと分からないのは私です」

「おお、聖女様か」

「からかわないで下さい」

「だが、治癒魔法を授かった女性は大抵聖女様扱いされているぞ」

「大勢居ますよ。聖女様大集合ですか」

「原因に心当たりはないか」

「一条君と南部チームの面々に応急手当をすることが多かったですね。もちろん他の皆さんにもしましたが」

「多分それだろ」

「え~」


 神様適当だな。クワトロは思った。



次回更新 01月10日 05:00

次回「強化」

自分の魔法レベル上げに走る面々。


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