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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
冒険者
20/62

ルシンドラ クエストは難しい

初心者向けでも難しいですよね。

 一同はせっせと薬草を探して採取する。ひとり大きめのヨモギの葉が20枚、茎の長さ15センチ以上のゼンマイが10本。これがクエスト達成条件。

 全部で1食分と少しくらいにしかならないが、成りたてや子供達が街のそばで採取するので1回のクエストがこの量に決められている。あまり多く採取するのもいけないという。本当に成りたて向けのクエストだ。

 ヨモギの葉はいい。見つければフサフサとしている。大きい奴が一株有れば20枚くらい付いている。

 ゼンマイもまた3本くらいまとめて生えている。

 問題は見つからない。

 

「終わったわ」


 イネスが早い。いつもの鈍臭さがない。


「さすが技官だな」


 シュテンが褒める。


「これでも、植物観賞は好きなのよ」

「それでか」

「みんな苦労しているわ」

「まあ、見たこともない植物だ。子供の頃、草むらで遊ぶとかしていないだろ」

「そうね。コロニー育ちだとしないわね。先日からの訓練でやったくらいよ」

「コロニー育ちの他の連中も同じだろう」

「見分けが付かないのね。それはいいけれど、なんで洗っているの」

「これか?これはゼンマイの場合、魔法で出した水で洗うと品質の低下が少ないそうだ。そして、部隊で水を豊富に出せるのが俺だけ」

「お疲れ様です」

「おお、うやまっとけ」


 シュテンが足下の桶に水を流し込んでいる。不思議なものだとイネスは見ている。

 全員が集めるた頃には日が暮れそうだった。


「お知らせがあります」


 シュテンが変な言い方をする。おかしい。皆思う。


「都市の門は日没で閉まります。今から戻っても閉まっていて入れません」

「「「「「えー?」」」」」

「とっとと野営の準備だ。完全に日が落ちる前に完了しろ。電灯やケミカルライトの使用は不可だ」

「「「「「えー?」」」」」

「さっさとやれ!」

「「「「「「はっ」」」」」」


 ぼそぼそと相談する一同。

 明かり取りに火を付けるようだ。


「こんなこともあろうかと、市場で火付け道具を買っておいた。枯れ枝を拾ってくるように」

「ここ野っ原で枯れ枝なんて有りませんよ」

「は?」

「枯れ枝は有りません」

「わっはっっは。ユキムラ、まだここを理解していないな」

「クッ、まあ初心者なのは認める。ではどうやるのだ」

「少し離れているが林がある」

「魔物が出そうだな」

「いきなり誰かを行かせると思ったが」

「さすがにそれは無い」

「済まんかった。では、スコット。林まで誰かを連れて行きた焚き火の材料を取ってこい」

「了解」


 スコットが三人ほど連れて林に向かった。スコットは本名鈴木次郎で、本業は狙撃手のスポッターをやっている。スポット≒スコットになった。

 残りは野営の準備をする。

 が、そこでユキムラがシュテンに文句を言う。


「何だよ、そのセンサーは」

「対人レーダーだ。中大型の生き物なら反応する」

「現地の材料だけで鳴子を設置するのではないのか」

「さすがに危険度は下げるぞ。あくまでもここに馴染むように活動しているだけだから。おもえらも魔法の入手が目的だろ」

「そうだが、現地の素材や技術で全部やらなくていいのか」

「そういう趣味なら、ここが解放されてからやってくれ。邪魔はしないぞ」

「そういう趣味は無いな。現地の人に見られなければいいのか」

「概ねそうだ。現代技術の灯火は目立つからな」

「じゃああのクッションは」

「素材がダメだと言ったろ」

「テントやターフの生地が最新なのだが」

「危険度を下げるためだ。防水防風防刃性能は高いし、保温力もなかなかだ。手触りも現地の生地に近いしな」

「見られると都合の悪い所だけ現地に合わせるのか」

「そういうことだ」

「ではエアクッションを展開しても良いな?」

「エアクッションだと。まだ持っているのか」

「こんなこともあろうかと軍用のものを持ってきている」

「ちっ。せっかっく地べたに直接寝るつらさを味合わせようと思ったのに」

「それなら大館の森でやった。だから寝袋兼用になる軍用エアクッションを持ってきた」

「準備のいいことで」

「こんなこともあろうかと常に備えるのだ」

「そうかよ」


 その夜は枯れ枝が少なく煙いが生木を細く裂いて燃やした。飯の味は軍用レーションだった。





 

次回更新 01月04日 05:00

次回「クエスト納品」


今年も拙作をご覧いただきありがとうございます。

皆様良いお年を。

来年も拙作をよろしくお願いします。

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