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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
機動宇宙服
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機動宇宙服 構想

ロボット兵器好きに怒られそうな

 人型の宇宙戦闘機を作ろうという構想はかなり以前から有った。

 それが大型船外作業機のままでいるのは、理由があった。


 まず同じ大きさなら

 高速機動が出来ないこと。

 人型維持のため重量配分に問題があり機動性は戦闘機に劣る。無理な機動をするとGに耐えられず機体(特に関節)が損壊する。

 速度が低ければ良いだろうと言う声には、速度を殺すと再加速に大量の燃料を必要とすると共に時間をロスする。宇宙空間では速度を落とすのにも大量の燃料を必要とする。宇宙空間では地球のように降下することで位置エネルギーを速度エネルギーに変えることが出来ない。

 搭載燃料に限りがある以上、速度を落とさずに軌道を変えるのが空間戦闘の基本だった。


 人型機体は搭載量、航続距離とも劣る。大型エンジンを積めないので速度も当然劣る。


 この時点でダメだった。宇宙船や衛星という限られたスペースで運用するのだから、たくさん積めて能力も優れる方が選ばれるのは当然だった。

 では同じ性能を持たせたらどうなるか。当然やった。

 同じ性能を持たせるには、多数のエンジンと大量の燃料が必要で機体の大型化と強度の向上で対応できるとした。

 その機体は通常の宇宙戦闘機が全長20mから30m。全幅15mから20m。全高6m程度に対して結果は酷い。 

 いくつかの機体が製作されたが

 身長50mから80m。肩幅15mから30m。胸厚10mから20mと巨大だった。

 重量に至っては戦闘機が自重30トン程度なのに、自重100トンから300トンと宇宙空間で高機動をしようというには重かった。

 さらに製造コストに至っては量産しても戦闘機20機分以上には減らないと見積もられた。

 胸厚が厚くなったのは、腕と股の関節の強度を確保するため巨大になるのと、高機動に耐えるために360度全周旋回操縦席が要求されたからだった。常にGを正面から受けるような形ならパイロットの耐G能力も上がるという考えからだった。

 後に廃止されたが、無理な機動を取ろうとするとパイロットが変な方向からGを受け負傷したり意識を失うという問題が発生し、また復活した。

 では「足などいらんのですよ」と足無し機体も作られ移動砲台として使えないかという声には、戦闘衛星が有るの一声だった。

 全長50メートル~100メートル級の戦闘衛星は無駄な可動部が無いので、人型よりも強力な武装と分厚い装甲に機動力こそ低いものの戦闘機と同じ速度性能は持っていた。


 結局、艦隊に随伴できる全長数kmの機動要塞と同じで浪漫兵器とされた。

 ただ、いつの時代にも浪漫兵器を重視する一派はいる。

 日本連邦は所属する銀河連合の中でも大きな星間国家である。巨大ゆえ予算は結構余裕がある。ただ効率を追求しているだけだ。人型宇宙戦闘機や高移動力を持つ巨大機動要塞はその効率という部分で劣っている。

 それを実践の場で実用性が有ることの証明を少ないが作ってしまったのが、アテルジオ星系の戦闘結果だった。


 彼らは船外作業用人型重機と通船という平時でも、いや、戦時でも戦力外と見なされていた存在に強引に武装を施しアテルジオ星系補給基地を守り切ってしまったのだ。運用開始後の撃墜スコアは戦闘機13機に駆逐艦1と、補給基地と共同であるが素晴らしい戦果を上げた。損失は都合8機製作されたうちの4機だった。なお補給基地は中破で済んでいる。


 その機材が戦闘機とは言えないので機動宇宙服という名称になった。





「当たらなければどうということはない」 西大尉

「大丈夫だ。行ける」          安室一曹

「悪いわね。当たりよ」         江間中尉

「よかったー」             小林二曹


 生き残ったパイロットの内4人は、人型宇宙戦闘機開発部門に転属させられた。士官は1階級昇進して、安室一等兵と小林一等兵は曹になった。軍の戦術機パイロットは曹以上となっているので、曹に昇進した。

 安室が一曹なのは2機の撃墜スコアがあったからだ。小林は1機撃破であった。

 

 何しろ実戦経験をして戦果も上げている。浪漫兵器好きの者からすれば絶好の人員だ。残りの4人は1名が戦死。1名が戦傷除隊。2名はパイロット適性無しとして、補給基地に残っている。

 4人は待機室で囲んでいた。


 江間中尉が、白を切ってリーチをした。場を見れば江間中尉の捨て牌は萬子 (マンズ) ばかり。少し策子 (ソーズ) が有るだけ。筒子待ちに見える。リーチの後、西大尉が捨てたのはスーピン。当たって下さいと言わんばかりだが、謎のかっこいいセリフ「当たらなければどうということはない」と共に通る。

 ならと安室一曹がリャンピンを切った。安室一曹も中 (チュン) ドラ3をポンしており、満貫確定なので勝負に行ったのだろう。そして逝った。


「リーチのみ」 裏ドラを見ながら江間中尉が言う。


 牌を見れば、タンヤオでも無くピンフでも無い。役牌のアンコも無い。一色でも無い。ドラも無い。


「フッ」


 西大尉が息を吐いた。彼は危なかった。次にリャンピンを切ろうとしていた。奴はリャンウー待ちだった。


「満貫がー」

「よしよし」

「悪いわね。最低満貫は嫌だから。君、マンズの混一でしょ。上がれば跳ね満1万2000点よね」


 4人は麻雀をやっていた。細かい点(符)は数えない役麻雀タイプで、完全先付け・喰いタン喰いピン無し、裏ドラ有りのルールで。



次回更新 12月10日 05:00

次回「年表」

世界の流れを年表式で。しばらく説明回が続きます。


完全先付けだと、簡単に終わりませんよね。とにかく場が流れる。場棒が4本とか1000点棒になることも。

何回徹マンしたことやら。

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