ルシンドラ クエスト
初歩のクエストと言えばアレですね。
無事登録も終わった一同は、翌日からクエストを受けるようシュテンから指示された。
曰く
「お前らは、この世界になれて貰う。でないとクエストなど成功しなからな。特に女子。トイレはどうだった」
「それを聞きますか」
「結構顔が引きつっているぞ」
「なんですか!あのウゾウゾしているのは」
「スライムだ。訳あって秘密にしてある」
「どんな訳ですか」
「ご当地洗礼だ。面白いだろう」
「「非道いです。他のトイレも同じ?」」
「あー我慢しているのか。済まんが全部同じだ。嫌なら途中の野宿でやった穴掘って埋める式だな。街中は禁止だ」
「うう、どうすれば」
「あいつは上に上がってこないような仕掛けになっているから、安心していいぞ」
「本当でしょうね」
「本当だ。さっさと行ってこい」
「行くわよ」「「「え‥ええ」」」
エマがプンスコという感じでノシノシと行き、ミサとユキとジュンの三人がその後を戸惑いながら着いていく。
他のふたりと言えば。
イネス 「なかなか興味深かった」
ミリア 「なんか居たのか?」
大雑把だった。
「男の小はそうなっていなかったが」
「大は同じだぞ。小は集めるようになっていて、そこにスライム様がいる」
「後でセクハラと言われなければいいがな」
「この世界に慣れさせるためだ。スライム様はこの世界の掃除屋だから、慣れて貰わんと困る」
「掃除屋か。排泄物以外の物か」
「生ゴミ全般にそうだな、魔物まで。綺麗に平らげる。死体もな」
「スライムを使った犯罪が多そうだ」
「そうでもない。大人ひとりを平らげるのにスライムが10匹くらいで2日掛かる。それに石や金属は苦手なんだよ。石や金属を身につけていればそこに残ってしまう。というか、ほとんどのスライムは石も金属も食べない」
「石や金属を食べる奴もいるのか」
「石を食べる奴はいないが、金属を食べる奴はいる。メタルスライムという。めったにいないが、常時討伐対象になっている。仕留めれば美味しい」
「美味しい?討伐報酬というのが高いのか」
「高くはない。残り物が金になる」
「残り物?」
「金属が残る。高濃度の金属塊でな」
「何だ…それ」
「他の魔物もおかしい点は多い。お前達というか、研究者とこの星に降りた者以外には秘密になっているが、おかしすぎる」
「おかしいか。確かに獣人とかおかしい。なんであんな発達をするのか」
「研究者が言うには、デザインされているのではないかということだ。ゲノムに痕跡があるらしい」
「では神ではなく、超先史文明なのか」
「それも分からない。それ以外の痕跡がない。調査した限りだが。俺はダンジョンの最奥に何かあると思う」
「ダンジョン」
「そうだ。お前らはまだ入れないが。経験不足とギルドランクが低いから」
「誰でも入れるのでないのか。安全上か?」
「そうだ。石級では殺されに行くようなもんだ。鉄級では入り口付近をうろつくくらい。銅級で少し奥まで。銅級になればダンジョンの稼ぎだけで暮らしていけるようになる」
翌日、シュテンが引き連れた一行はギルドに入った。正面入り口からだ。時間は少し遅い。ほとんどの冒険者が依頼を手にでていった後だ。
「なあ、こんな時間で依頼は残っているのか」
「もちろんだ。常設依頼という奴がある。誰でも受けられる奴だが、油断できないぞ」
「そのクラスでも命の危険が?」
「ある。しかし、俺たちは少し年寄りだ。冒険者なりたての子供達のためにあるような常設依頼は受けない」
「どういう依頼だ。これから引率はなくなるのだろう」
「そうだな。この街中依頼はほとんどがお手伝い、いわばバイトだ。子供達がこなせない奴はまず無い。メタルスライム討伐依頼も街中の分は受けるなよ。建築関係もな」
「建築関係は受ける気も無い。スライムも子供達向けか。危険ではないのか」
「便所に入れてあるような小型のスライムなら子供達でも打っ叩けば討伐できる。街中に居るスライムはメタルスライムも含めてその程度の大きさだ」
「資料は読んでいるが実感が湧かん」
「当然だな。俺たちも戸惑った。という訳でだ。こいつを受けてもらう」
「なんだ。という訳でとは」
「冒険者なりたての生意気な若造が受ける仕事だ。失敗率も高い」
「面倒な仕事か」
「いや。なりたての若造は何故か自信満々でな。ろくに周辺環境と対象とやり方を調べもせずに突っ走る」
「失敗して当然だな」
「そう。という訳だから、薬草採取だ」
「質問がある」
「あいよ」
「ピーは」
「ダメに決まってるだろ。文明の利器は命の危険が有る時以外使わない」
「ダメか」
「まあ頑張って覚えろ。俺たちも覚えた」
「ではやるか。それと、魔物だが出るのか」
「出るな。小型の奴だ。油断さえしなければ命の危険は無い」
「危険は危険か」
「安全など無い」
「そうだな」
シュテンに率いられて都市の門を出る。
「薬草の形と特徴は覚えたな」
「「「「「「はっ」」」」」」
「魔物と出会った場合は」
「「「「「守りを固めて迎撃。対処困難な場合は助けを呼びます」」」」」
「良し。では開始」
「「「「「「はっ」」」」」」
集めるよう指定された薬草は、地球で言えばヨモギに似ている植物の葉とゼンマイに似ている植物の根も含めた全部だった。それ以外もあるが、初回と言うことでわかりやすい2種類にしてある。
ちなみに場所は、少年少女の採取場所ではなくちょっと離れている。さすがにそんな場所では、この年齢集団の薬草採取は目立つ。
目立たないようにやることを、ギルドや国・領主とシュテンが話をつけていた。
次回更新 12月30日 05:00
次回「対応」
おまけ シュテンのステータス
名前 シュテン・オオエ (大江山河)
性別 男
年齢 36
職業 杖士 (日本連邦軍軍人)
レベル 35 (少佐67)
【賞罰 青】 (勲章2、感状6)
ギルドランク 銀級
HP 426
MP 32
AGI 41
INT 32
MND 63
スキルLv 指揮5 射撃4 格闘4 杖術5
短剣術4 隠形3
魔法 水魔法2 身体強化3
加護 酒呑童子の加護2
完全なパワーファイター。この世界ルシンドラに来て伸びたスキルは指揮3から5、杖術2から5、短剣術3から4。隠形と格闘はここ以前にこのレベル。
体のステータスはちょっと肉体的に強かった程度。
水魔法は2。1日に400リットルくらい出せる。ウォールとかスピアとかの細かい使い方は脳筋気味で上手くないとの評判。部隊の歩く水タンク。本人は最初に覚えたのが水魔法で不満だが、何故水魔法なのか原因が良く分からない。
少佐67は中佐になってもいいくらいだが、最前線から下げられるのが嫌で拒否をしている。
ステータスにギルドランクをれるのを忘れていました。みんな石級だからいいよね。




