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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
冒険者
15/62

ルシンドラ 始まったばかりで

 秘密基地を出発した一行は、車両で海に出てそこから帆船に乗り換える。帆船と言っても宇宙歴時代の帆船だ。外観こそ現地風だが中身は最新になっている。

 風が無くても進めるのだが、現地人に見られるといけないので海岸に近くなると推進動力を最低にして風だけで移動する。



「随分操船の腕が上がったよ」

「木村大尉は帆船の経験があるのか」

「君は無いか。西大尉」

「あいにくコロニー育ちでな」

「そうか。俺は鹿児島星系の薩摩でみっちりとやった。士官学校時代だ。船乗りは潮風を知れと言われたな。この宇宙時代に古くさいと思ったが、こうやって役立っている訳だ」

「薩摩か。チェストが有名だが、やるのか」

「チェスト?まあ世間一般にはそう呼ばれているがただの掛け声だぞ。薩摩示現流はそんな声を出さなくても一撃必殺だ」

「無言でか。恐ろしいな」

「まあ「エイ」という掛け声は有る。有るが気合いが入りすぎると色々出るな。相手を威圧するという意味も有るし、人間息を吐き出す時に力が出るのだ。むしろ気合いが入るという意味と力が入るという意味も有るから理論的に声(気合い)を出すのは正しい」

「出るのだな」

「…出るな。まあアレだ。出ない方が少ない」

「冒険者だろう。声は出さない方が良いのではないのか」

「相手は魔物で声を出すときはる時だ。だいたい回りでも大声を上げたりでかい音がしている。君たちも気にするな」

「大館の特訓でレンジャー連中に扱かれたからな。とにかく無音で動き気配を消し行動は慎重にと教えられた」

「あいつらは対人戦だからな。魔物相手でもそれでいいが、とにかく慎重にな。講習でも言ったと思うが」

「確かに教えを受けたが、実際に現実となるとな」

「俺の時は最初の調査団だった。特戦の連中が恐ろしかったよ」

「噂でしか知らないな」

「1回、教えを請うと良い。大江少佐は特戦だぞ」

「知らなかった。アレでも手を緩めてくれていたのか。止めておこうと思う」

「それが無難だ」



 一行を乗せた帆船は港から離れた漁村に錨を降ろす。


「何故こんな離れた場所に。目的地まで地図で見ると100キロ近く離れている」

「言っただろ。王国の要請だ。ここまでならこの船で来ても許すと」

「そうだったな。すまない。まだ感覚が切り替わらない」

「当分は無理だぞ。最初に来た連中は感覚を切り替えるのに半年くらい掛かったそうだ」

「苦労しそうだ」

「魔法を使えるようになれだろ。アレは個人差が大きすぎる」

「聞いてはいるが。実際に体験しないとな。そうだ、使えるのか。基地では見せてもらえなかったが」

「君らが先入観を持つといけないので、自重するようにとのことだ」

「期限を区切られていないだけに早く魔法使い…クククク」

「まあ気持ちは分からんでもない。俺もこの年で魔法使いと言われるようになるとは思わなかった」

「そうだな。恥ずかしい気もする」

「分かるだろ。行動中はともかく基地に帰ってからのあの恥ずかしさ」

「理解できるような気がする」


 おーい出発するから集合。という声が届いた。


「ピーで連絡すれば済むのでは」

「ピーは使用禁止だ。非常時を除いてな」

「そうだった、いかんな」

「早く慣れろ」

「ありがとう」


 集合場所にいたのは馬車だった。馬車?初めて見る人間も多い。


「これが馬車か」

「動画でしか見たことがない」

「私は乗ったわよ」

「ふれあいコーナーに有るのですか」

「大館には無いわね。故郷の群馬星系には有るの」

「む!サスペンションが無いが、どうやって衝撃を吸収するんだ」

「ユキムラ。そんな物は無い。衝撃はケツで吸収する」

「「「「「「はあ?」」」」」」

「群馬の馬車にはあるのに」

「ここにはその技術が無い。一応、許可は得たので広めても良いが板バネからだぞ。ショックアブソーバーは不可だ」

「許可を得たのか。シュテン」

「当然だ。ケツがたまらん。気力も体力もそげる。上には言ったが理解されなかった」

「そんなにか」

「ショックアブソーバーはまだ早いと言うことか」

「必要性を理解する事が難しいし製作にはかなり高度な技術が必要だからな。調べたが初期の自動車には付いていなかった。発明は西暦1926年だ。ここの連中が気付くまで放っておけと」

「バネがあるだけでも有り難い」


 みんな首を縦に振っている。


 現地馬車デビューの新人達は1時間でダウンした。ユキムラを除いて。


「おい。貴様だけずるいぞ」

「こんなこともあろうかとエアクッションを持ってきたのだ」

「没収」

「何故だ、シュテン」

「ビニールじゃないか。こんなもの現地の人達に見せられるか」

「なら現地で普及させる。バネよりも作るのは簡単だぞ」

「上に聞いてからだ」

「・・・・」

「おい」

「このくらい良いだろ。現地の材料で作る」

「「「「「「うんうん」」」」」」

「まあ、いいか」


 エアクッションの現地生産が決まった。


次回更新 12月23日 05:00

次回「冒険者ギルド」

いよいよ登録か。


エアクッションからエアサスになる方が板バネよりも早いと思ったりする。


ショックアブソーバー(ダンパーとも呼ばれる)を知らない人が多いです。メカに興味の無い人はまず知らない。どこについて付いているかも知らない。知っていても何故必要なのかも知らない。

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