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人型戦闘機発進  作者: 銀河乞食分隊
機動宇宙服
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機動宇宙服 自滅紛争とは

 西暦2930年に起きた自滅紛争と称されるいがみ合いの果てに起きた殺し合いは、6年間で地球人口を3割弱まで減らしたとんでもない愚行だった。

 経済紛争もあるが、主原因は宗教的思想と民族的思想にある。

 以前よりも見られていた危険な兆候だが、スペースコロニーという閉鎖的環境により宗教的思想と民族的思想の度を超した偏向教育が簡単になり尖鋭度が増していた。また、スペースコロニーという社会的・情報的に外部との交流が少ない選択肢の狭い環境が極端な選民思想と他者に対する許容度の低さを簡単に実現したのだった。


 切っ掛けは巡礼だと言われている。地球の聖地といわれる場所での諍いだった。地表で暮らしている人達はまだ許容度がそれなりに高かった。しかし、コロニー出身者のそれは簡単に乗り越えてしまえる程度しか無かった。顔が見える程度の塀と足を上げれば乗り越えられる柵くらいの差だろう。

 やがて周囲の説得や交渉も効果を減らした。

 聖地があるJ教を国教とするI国の強硬姿勢もあり聖地での暴動と過剰な鎮圧を始めに宗教戦争へと変わっていった。


 核兵器使用はもちろん、コロニー破壊からコロニー落としまで何でもやった。毒ガス攻撃や放射性廃棄物をコロニー内に拡散もやる。


 紛争中、2大宗教からの避難民を受け入れるも危険性が高いとして一般コロニーには受け入れず、廃棄予定コロニーに押し込める。他の国も概ね同じ対応だった。

 安価な労働力として受け入れた国もあったが、住民との軋轢と暴動やテロルなどを起こされかなりの損害があった。後にコロニーに押し込めるようになった。


 2936年の戦争終結時、2大宗教の人口8割減。J教を国教としたI国はコロニー落とし(聖地は跡形も無くなった)や核攻撃で消滅。インドは人口7割減。中華圏は人口8割減。

 汚い爆弾として使われた放射性核廃棄物や核爆弾で散った放射能にプラスして化学兵器の残滓もあり地球上に居住不可能地域拡大。核の冬が来るのは確実視された。

 大気や海洋や地表も酷く汚染される。原因となった2大宗教+J教は悪びれもせず。損害を受けた国に損害培養はおろか謝罪もしない。怒りのあまりに避難民を押し込めたコロニーを破壊した国も。これは利用しようとして失敗した国が実行した。

 総人口150億人以下まで減る。推定130億人。正確な数字は不明。統治能力喪失と共に失われた記録が多すぎた。犯罪者が他人をかたる可能性もあり、2大宗教+J教関係者は自国と2大宗教コロニーから出ることを禁止された。


 地球連邦政府はそれを従来の通称通り自滅紛争と名付けた。


 インドの人口が7割まで減ったのは、人口の半分が2大宗教の一方だったからで巻き添えになった事例も多い。紛争開始2年後くらいからは両陣営を敵として戦っていた。

 中華圏の損害は紛争を利用して利益を得ようと立ち回り、両陣営から敵認定されたからだった。避難民を安い労働力として奴隷同然の扱いで過重労働をさせていたのがバレたせいだ。開き直り戦闘を開始してほぼ滅ぼされた。

 大韓も同じ事をして同じ結末をたどった。


 自滅紛争終了後、2大宗教圏の住民や避難民が他国に移住を希望するも、先の危険例が多数有り受け入れる国は無い。

 信仰しても良いが宗教を捨てることと5年間にわたる倫理教育と社会教育を受けた後に移住試験を通過しした者のみ受け入れることで各国と合意。

 この時、移住希望者家族の5才以下の子供を全て地球連邦が引き取る事になる。また、子供が生まれても3才までしか親と同居できないようにした。これは洗脳的思想教育の可能性を嫌ったためである。

 日本も子供を大勢受け入れた。


 時間が経つと、大紛争避難民で5才以上10才以下の子供だった世代が移住試験受験可能年齢になった。移住試験通過者は多く問題も起こさない。

 親世代や年齢的に子供以上だった多くはコロニーから出ること無く生涯を神に捧げた。衣食住は供給されていたので働かなくても食べていけたのが原因と見られる。

 食料は食料生産コロニーで完全自動生産になっており、人口に対して完全に供給過剰だったので供給できた。衣類も同様で標準衣類なら供給されていた。

 余裕が無ければコロニー内で自給できるだけの人口まで減っていただろう。

 日本にも多数移住。



 地球連邦政府は、2大宗教住民とJ教のコロニーや移住先惑星は厳重監視区域として接触を限定している。

 移住先惑星は先に移住済みを含めそれぞれに2個、合計4個用意してあり、コロニーの寿命を待つ前に全住民を惑星に移住させる予定。両方で450億人が80億人まで減ったのだから問題無いだろう。J教住民はC教住民に混ぜる予定。文句を言うが、今度こそ殲滅も辞さない覚悟で臨んでいる。

 その後は恒星間航行技術を持たせず、星系内に押し込め監視する予定。

 一部からはそのまま全滅まで放っておけという声も出た。後々のことを考えると、さすがに悪例を作ることになるので出来ることでも無く恒星間宇宙に出てこないようにすることで決着とした。



次回更新 12月19日 05:00

次回「銀河連合」

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