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ロイド編(6)

兄上がグレイス嬢に会うために必死に仕事を捌いている数日間、俺は酷く落ち着かない気分で過ごしていた。


勿論、それを表面に出すことなどないがー


何なんだ。

外見は一応令嬢なのに中身は別物という、俺の常識外の生物だからか!?

つまり、珍獣を相手にしたせいで戸惑っている……ということか。

俺も、まだまだだな。


「……アレン」

「言いたいことがあるなら、ハッキリ言え」


「いや〜」

「我が主の優秀な頭が残念過ぎて……」


……クビになりたいようだな。


珍獣ー

あのグレイス嬢が、慈愛の象徴とされる女神様の遣いということは流石にないだろう。

令嬢としてはアレだが、人違いと判明したらそのまま俺の元で働かせるのも良いかもしれないな。

さて、何を餌に釣るか……


などと、勝手に算段を付けていたのだが。


とうとう兄上がグレイス嬢に会いに行ったその日。


兄上らしくもなく勢いよく俺の執務室に飛び込んできた時の表情は……俺の限りなく確信に近い予想が全く外れていた事を示していた。


嘘だろう!?

という驚きと同時に。

俺の心は、何故か重く静かに沈んでいった。


そうか、グレイス嬢は……


兄上に健康な身体をもたらしてくれた命の恩人であり。

俺がこの世で最も敬愛する兄上が、ただ一人探し求めた女性……


「ロイド!」

「お前にも感謝を伝えたい。お前が自らコートネイ領まで出向き、彼女を連れてきてくれたからこそ再び会うことが叶ったんだ」


「グレイス嬢が兄上の求めていた女性と分かり、俺も心から嬉しく思います」


嬉しい筈なんだ。

俺は、国のためにグレイス嬢の能力の活用方法を考えていただけで。

それ以上でもそれ以下でもない。


その日以降、兄上は多忙な中の僅かな時間を見つけてはグレイス嬢に会いにせっせと侯爵家に通っている。


俺は侯爵家から足を遠ざけているから詳しくは分からないが、兄上が毎回幸せそうな表情で帰城するからな。

上手く行っているんだろう。


ならば、俺がすべき事は……


「で〜んかっ」

「殿下には俺という超優秀な上に、気遣いもできる素晴らしい人間がいつも傍にいますよ〜」


「五月蝿い。黙れ」

「勝手に入ってくるな。酒が不味くなる」


夜中に俺が自室で一人ワインを空けていると、アレンが追加の酒を手にしながら訪れた。


全く。

幼馴染みという奴は厄介だな。

だが今日だけは、こいつに付き合ってやってもいいか……


最後までお読み下さり、ありがとうございました!

執筆超初心者ですので、【まだまだだな】【面白かった】など教えて頂けると大変参考になります。

宜しくお願いします!!

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