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ロイド編(3)

ロイド編3話目。思った以上に長くなっています… 

ようやくグレイスの存在がチラ見えするところまで来ました。頑張ります。

未曾有の被害をもたらすかと思われた嵐はー

結果的に、誰一人死者を出すこともなく過ぎ去った。


辺境伯領の小さな町で被害があったものの、住民の避難は済んでおり、復興にもさほど時間はかからないだろう。


懸念されていたコートネイ領、第二都市ベルンのある侯爵領は無傷で済んだ。


コートネイ領の手前で、嵐が魔法のように消えて無くなったのだ。


「報告致します。コートネイ領、被害はありません!」

「侯爵領第二都市ベルン、外国籍、自国籍の人的被害および街の被害はありません!」


壊滅を覚悟していた各地の伝令係から次々に報告が入る。

信じられないような話だが、とにかく俺たちは皆一様に安堵の表情を浮かべた。


後日この不可解な現象を調査すべく、大規模な調査団が派遣されたのだが…嵐が消えたと思われる地は広大な平野が広がるのみで調査団は首を捻りながら帰城することとなった。


◇  ◇  ◇  ◇


今日も兄上の執務室まで足を運んだ俺は、室内がいつもよりも騒がしいことに気が付いた。


ドアをノックして入ってみると、兄の右腕であるイーノックが救いを求める目を向けてきた。珍しいな。


「ロイド殿下!」

「良いところに来て下さいました!」


兄上が突然、自ら例の嵐の調査に赴くと言い出したらしい。

しかも最優先で。


「突然そんな事を言い出すなんて…何事ですか!?」


ちょっと城下に視察に行くのとは訳が違う。

どんなに急いだとしても、馬で片道2日はかかるのだ。


兄上から、女神様の遣いだという不思議な少女と出会い、彼女のお陰で健康な身体を手にする事ができたと聞いた俺は、驚きと同時に頭を悩ませた。


まさか…

そんな事があり得るのか!?


だが、事実兄上の身に起きたことは奇跡としか言いようが無く、兄上の言うことを否定する気にはなれなかった。


そして、もう一つ俺を驚かせたのは、兄上が特定の女性を気にかけていることだった。


「これは、我が家の長女のテレーゼでございます。」

「心根の優しい娘でしてな、殿下が慈善事業を推進しておられると聞き、いたく感動しておりました。」

「殿下と話も合うのではないかと思いまして……」


兄上が次期王太子と決定してからは、薔薇園を見になどと適当な理由をつけ、適齢期の娘を伴って登城してくる者が後を絶たない。


だが、社交辞令としてひと言声はかけるものの、兄上はどんなに美しい令嬢だろうが決して寄せ付けることはなかった。

それが逆に、令嬢間の争いを激化させてるのだが。


つまり、あからさまに女性に興味を示すのは初めてなのだ。


「…分かりました。では、俺が行きます。グレイス嬢を王城に連れてくると目立ちますので、理由を付けて叔母上のところに一時的に匿ってもらいましょう。」


「次期王太子妃選びで皆殺気立っていますので、ご理解を。兄上がお会いになる際はくれぐれも人目に付かぬようお願いします。」


俺は、瞬時に頭の中で算段をつけ、自らコートネイ領に赴きその令嬢を連れてくることを提案した。


とは言え、人違いの可能性もある。

そして、仮に本人であっても理由もなく年頃の令嬢を王城に連れて来たりなどしたら、皆の邪推を煽るだけだ。


気が進まないが叔母上に協力を仰ごう。

……全く気は進まないが。


叔母上は、ふわふわとした雰囲気で誰に対してもいつもにこやかに微笑んでいるような人だ。

それに油断していると、いつの間にか全周囲を絡め取られていて、あとは叔母上の手の中で良いようにされるがままになってしまうという…


まぁ、決して悪い人ではないし、敵にするなら厄介だが味方に出来ればかなり心強い。


姉の息子である俺たち兄弟のことは、産まれた時からとても可愛がってくれているのだが…

この年になっても可愛い甥っ子のままなのは、正直勘弁して欲しいと思う。


年頃の令嬢を内密に一人預かって欲しいなどと頼んだら、何と言われることか。


俺は覚悟を決めながら、叔母上のいるケンブリッジ侯爵家の屋敷へと向けて馬車を走らせた。


最後までお読み下さり、ありがとうございました!

執筆超初心者ですので、【まだまだだな】【面白かった】など教えて頂けると大変参考になります。

宜しくお願いします!!

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