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最強の霊媒師⑤-ゴーストハウス-

ナレ

『これは投稿者が自宅で撮った映像である』


プライバシー保護の為モザイクをかけられる投稿者達


ナレ

『投稿者は友人達を自宅へ招き

鍋パーティを楽しんでいた…と言うのだが』




replay




『お分かりいただけただろうか?投稿者の背後

画面左端の部屋に注目して欲しいのだが…』




replay




(映像がアップになる)


ナレ

『投稿者の男性は取材に対し、こう応じている』


投稿者

「友達の誕生日だったんでお祝いに鍋パーティを

開いたんですけど…」


「カメラ回してたら

なんか撮れちゃってて…」


ナレ

『取材班はこの映像の正体を掴むため

ある街で噂の凄腕と称される

霊媒師とコンタクトを取ることにした』



霊媒師

「え、どこ?いねーじゃん」


サエコ

「あ、ここですここ!ほらこの辺り」


霊媒師

「え、どれ?あ、ほんとだ、いるね

写ってる写ってる。顔だね、女の」


テーブルで映像を見る男と少女


ナレ

『今回撮影に協力してくれたのは

学生のサエコさん(仮名)と

凄腕霊媒師のYさん』


※プライバシー保護のため二人には

モザイクと変声機が当てられている



少女に画面を合わせる


ナレ

『数日前、彼女はある呪いに苦しんでいたという』


・テロップ:どんな呪いでしたか?


サエコ:関わった人が死んでいく呪いだったんですけど

こう、そうですね、彼が追い払ってくれて…

それからは呪いとか全然なくて(笑)

彼には感謝してます!


ナレ

『凄腕霊媒師の噂を耳に入れ

Yさんと知り合ったというサエコさんは

彼に自身にかかった呪いを

解いてもらったのだという』


・テロップ:どんなお祓いでしたか?


サエコ:こう、ビュンビュン!っと…

呪いをあっという間にやっつけてくれて

とにかくもうほんと凄かったんです


画面を男に切り替える


・テロップ:彼女についた呪いはどのような感じでしたか?


霊媒師:そうっすね、結構強めの呪いだったんすけどまぁ、なんとかなりましたね

人から人へ伝染する呪いだったんすけど


・テロップ:今まで強力だった呪いはなんですか?


霊媒師:そうっすね、まぁ強いて上げるなら…


ここで映像の合間に挟まれる黒い部分が投入され

男の言葉がフェードアウトするーー



ナレ

『凄腕霊媒師の腕を確かめるため

我々は彼に霊視をお願いすることにした』


霊視をお願いされる男


霊媒師

「霊視?無理無理」


サエコ

「え、なんでですか?」


霊媒師

「いや、録画でしょ?だってこれ」


サエコ

「見えてる人いますよ」


霊媒師

「は?いや、映像じゃ見えないって何も」


サエコ

「テレビとかYouTubeとかでやってる人いますよ

霊視」


霊媒師

「嘘じゃんそれ、俺今までこの仕事してて一回も見た事ないよそんなの」


撮影が中断、スタッフと話す男


スタッフ

「一応、ビデオなんで

もう少し演出とか気を使ってもらえれば」


霊媒師

「いや、わかるんすけど

映像だけじゃわかんないんすよ

実際現場いかないと、そういうの感じ取れないっていうか」


スタッフ

「フリとかでもいいんで」


霊媒師

「フリって…」


テロップにギャラ金額が表示される


霊媒師

「そんな貰えるんすか!?あぁ、はい

じゃあ、まぁ…」


男は要求を飲み、映像を霊視するフリをして

演出する


霊媒師

「ん"ん!あー」


スタッフ

「何か見えますか?」


映像に手をかざす男


霊媒師

「そうですね、こう…なんか顔っぽいもの

顔ですね…顔が見えて…こう、なんだろ、

すごい波動みたいなものを感じます」


テロップ

「幽霊の表情とかは?」


霊媒師

「表情…!?えっと、泣いてる…?

泣いてるんじゃないですかね多分

この世に何か未練があるんだと思います」


目を閉じながらそう答える男


ナレ

『霊媒師の話では

この顔はかつて非業の死を遂げた者が

何らかの理由でこの世に未練を残し

未だ彷徨っているのだという』


取材班達は一度、投稿者の自宅を訪れる事にした


ーーー


-現場に到着-

ハイエースから降りる霊媒師とスタッフ一同

現場は雨が降っている


投稿者に招かれ、家の中へ入る一同


男は目を閉じて、部屋に手をかざす


霊媒師

「ふぁァァァァ、んまァァァァ…」


「ハイッ!!」


「……」


そっと目を開く男


サエコ

「ど、どうですか?先生?」


男は「あぁ…」と答えたあと

続ける


霊媒師

「…この辺には霊の通り道があって

この女の子もそういうのに

まぁあの、歩いてる途中?

ちょっと迷っちゃったのかな?っていう多分

…多分っていうか絶対」


男はぎこちなく答えた



休憩タイム、一旦家を離れ

外で待機する一同


雨はすっかり止んでおり

男と少女が話を交わしている


霊媒師

「自治体からクレームあって

しばらく家帰れなくなったから」


特に何も答えずうなずく少女


サエコ

「先生は普段どうやって生活してるんですか?」


少女の「働いてるんですか? 」の問いに

「まぁな」と素っ気なく答える男


サエコ

「どんな仕事?」


霊媒師

「…色々だ」


サエコ

「色々?」


霊媒師

「あぁ」


口をモゴモゴさせる男

やがて休憩タイムが終わり、一同は家へ戻る



お祓いをする男

少女とスタッフ達は目を閉じ、

手を合わせて静かにお祓いが終わるのを待つ


投稿者は危ないのでハイエースに避難させる


霊媒師

「では行きましょう」


部屋に入り、幽霊探しをスタートさせる



屈みながら幽霊探しをしてる途中

ゴンっと頭に何かがぶつかり

男がふと顔を上げる


そこにはこちらを見つめる女の子の目が


「…あ、どうも」


その瞬間、男の頭が吹き飛ぶ


ビチャビチャアッと

壁や床に男の血や肉片が飛び散る


現場はパニックに


「うわぁぁぁぁ!!」


「きゃああああ!!」


サエコ

「大丈夫っっ!大丈夫ですから……っ!」


悲鳴を上げながら

階段をドタドタと駆け下り、外へ出るスタッフ達


「警察…!警察…!」


カメラ越しにスマホを操作し

警察に連絡しようとするスタッフ


霊媒師

「とりあえず除霊しますわ」


男が出てきて「うわっ」と叫ぶスタッフ達


「どうやって…どうやって…!」


「ゔぅ"ぅぅぅ」


カメラマンがパニックになりながら近づくと

男の肩に女の子ががっしりと捕まり、こちらを睨む


現場はまた絶叫し、男から離れる


霊媒師

「目ェ見ないでください」


そう言いながら

女の子が目をかっぴらく瞬間

男は手の平で女の子の目を塞ぐ


塞いだ手の甲がドパァっと吹き飛ぶ


現場がまた叫ぶ


霊媒師

「目ピカ系だ目ピカ系」


スタッフ

「目ピカ系…!?」


霊媒師

「よくあるんすよ…ちょ、サエコ!パイプレンチ!…パイプレンチ!」


サエコ

「え、あ、」


「早く…!早く…!」と急かす男に

慌ててカバンからパイプレンチを取り出し

男に手渡す少女


バチンッバチンッ


パイプレンチの尻の部分で女の子の顔を何度も殴打して、肩からひっぺがす男


「ゔぁ"」


仰向けに倒れる女の子、しかしすぐに

ブリッジの体制から

ぎこちない動きで起き上がる


ギギッ…ギギッ


関節を鳴らしながら不気味な表情で男を見つめる


霊媒師

「そうか、お前…」


男は少し悲しそうな顔をしながら

パイプレンチを強く握りしめ


助走をつけて女の子の顔面を力一杯ぶん殴る


ガキィン


女の子はホームランの如く吹き飛びそのまま空中で消滅


シュオオォォ…


霊媒師

「除霊…完了!」


男は険しい表情をし、静かにその場に佇む


---


除霊後、投稿者と別れ

事務所に戻る男達


しんみりした室内

水を飲んで休憩するスタッフと

カメラを回すスタッフ

少女と男が静かに会話する


サエコ

「あの子…辛い死に方を…」


霊媒師

「…わかんない」


男はボソッと呟く


その発言で室内が一瞬凍りつく


霊媒師

「いや、演出だから…演出…」


男はうつむきながら

申し訳なさそうにそう答える


霊媒師

「…楽しみだね、ビデオ」


男は空気を変えようと呟くが

周りは無反応に




おしまい



後日、ソファに座りビデオを確認するも

男のセリフほとんどカット


静かにソファにもたれかかる男


「…まぁ、お金もらったし…」


男は寂しそうにそう呟く。



最強の霊媒師⑤(完)

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