最強の霊媒師④-デスメール-
夜道を歩く仕事帰りの女性
歩道橋を渡ってる最中に
スマホから通知音が鳴り響く
女性
「?」
歩道橋の柵の隙間から
何者かが女性を見つめている
女性はスマホを手に取り、通知を確認
通知
『今夜、〇〇(女性の名前)、歩道橋の下で死ぬ』
「なにこれ…?」と気味悪がる女性
と、その瞬間、何かに体を強く引っ張られ
歩道橋の外へ投げ出される
女性は叫び声をあげながら転落し
下を走っていた車に衝突したーーー
報道
『未明、仕事帰りの女性が歩道橋から転落し〜』
ー
サエコ
「どうぞ」
コトッとお茶をテーブルに置くサエコ
女性
「あ、ありがとうございます…」
霊媒師
「……」
無言の霊媒師、しばらく間が開く
サエコ
「ほら先生、お客様の前だよ
そんな顔しない」
「すみません、この人いつもこうで」
女性
「あ、いえ…」
霊媒師
「オイ」
不機嫌そうにサエコに問いかける霊媒師
霊媒師
「どういうことか説明しろ」
サエコ
「…?」
サエコは首を傾げる
サエコ
「依頼者が訪ねてきて
先生が接客している…って状態かな??」
霊媒師
「お茶を酌めなんて言ったか?」
イライラする霊媒師に
サエコは耳元でささやく
サエコ
「先生、あの人は困ってるんですよ?
先生が何とかしない限り
彼女は…」
霊媒師
「言わなかったか?一般常識を身につけろと。
勝手に客を連れてきて、俺に押し付けて…
お前は俺の何なんだ…??助手か何かか??」
視線を逸らすサエコに
大きなため息を吐く霊媒師
霊媒師
「とにかく俺はもう引退した身だ
何度も言うが。あんたも帰ってくれ
こいつが勝手に言ったことだ
悪いな。」
霊媒師が二人を突き放す
サエコ
「…段取り通りお願いします」
サエコが女性を促すと
女性は財布を取り出し一万円札をのぞかせる
女性
「これしかありませんが…」
霊媒師
「それで?本日はどう言った御用件で?」
万札に釣られる霊媒師
ー
霊媒師
「死のメール?」
女性はコクっと頷く
女性
「最近ニュースにもなっていて
社会問題になってるんです、そのメールが届くと
被害者は不可解な死を遂げると…」
霊媒師
「そのメールがアンタの所にも届いたって事か
それで俺に依頼を?」
女性
「はい…」
女性は静かに返事する
霊媒師
「誰かのイタズラなんじゃねーのか?
そんな気にする程のもんじゃないだろう」
サエコ
「先生…!」
女性
「…警察関係者は事故や自殺で処理してるらしいんですが、今付き合っている彼は"霊の仕業だ"と言い張るんです…彼も霊能力があるんですが…」
サエコ
「わーお、彼氏さん霊媒師なの!?」
サエコは嬉しそうな声を上げる
霊媒師
「ならそいつに見て貰えばいいだろう
わざわざ俺に頼らなくても」
女性は首を横に振る
女性
「違うんです、彼の能力でも私の呪いを解くことはできないみたいなんです…
何度かお願いしてるんですが、"お前の除霊は難しい"と突き返されてしまって…」
女性は怯えた顔をしている
サエコ
「だから先生を訪ねに来たってわけですね!
先生!頼りにされてますよ!」
霊媒師は大きなため息を吐く
女性
「私、怖いんです…このまま、何も解決できず
確実に訪れる死を…ただ待つだけの時間が…」
女性は両肩を掴んで震えている
サエコ
「先生っ!!」
霊媒師
「……わかった。」
女性の反応を見て渋々依頼を引き受ける霊媒師
早速彼女に同行して一軒家に向かう
ーーー
女性
「こちらが彼の圭一です」
彼氏を紹介する女性
黒い長袖と青いシャツの重ね着をした
ボサボサ頭の若い男性
首元にはネックレス、
耳にはピアスをつけている
霊媒師
「不良か…?」
サエコ
「今時普通ですよ」
女性
「ほら、圭くん、彼が噂の…」
圭一は女性の腕を引き離す
圭一
「ケイコ、何でこんな奴連れてきた
いらねーんだけど」
女性
「だってしょうがないじゃん…圭くんの力じゃ私の呪いは解けないんでしょ?」
圭一
「ダリィなお前マジで、こんなよくわかんねー奴連れてきてよ…」
女性
「でもこの人、凄腕だって噂だよ
友達も言ってたし、信頼できるよ」
圭一
「チッ…女はすぐ噂信じやがる
帰ってもらうぞ」
女性
「ちょっ、圭くん!」
霊媒師
「……」
圭一が霊媒師の元へ近寄る
圭一
「おいあんた、悪りぃけど
この話は無しだ。帰ってもらーー」
圭一は霊媒師の顔を見るなり血相を変える
圭一
「…ッッ!!」
霊媒師
「…?」
圭一
「おいケイコ…!何でこんな奴連れてきた…!?」
女性
「…?」
圭一
「お、お前、死んでんじゃねーか!!」
サエコ
「わぁ…!」
圭一の反応に関心するサエコ
圭一
「ざけんなお前ッ!なんでよりにもよって
こんな、厄介なもん引き寄せてんだよ!!」
女性
「圭くん!?どうしたの!?待って!!」
圭一
「おいお前、こいつに近寄んじゃねーよ
帰れ!!」
パニックを起こす圭一を
女性が必死に制止する
霊媒師
「……」
女性
「すみません!この人いつもこうなんです!!」
圭一
「てめぇ!!こいつに手ェ出しやがったら承知しねーぞ!!」
サエコ
「本物だ…!」
女性は何とか圭一を落ち着かせ
場は一旦静かになった。
ー
お皿を洗う女性
サエコ
「手伝いますよ」
畳の上で霊媒師と圭一が向かい合わせに座っている
霊媒師
「……」
圭一
「……」
霊媒師を睨みつける圭一
圭一
「どう言う意図だよてめぇ…」
霊媒師
「……」
霊媒師は少し居心地の悪さを感じつつ、圭一の方を見続ける
圭一
「依頼だかなんだか知らねーけどな…
死人がよ、生きてる奴の問題に介入してくんじゃねーよ」
霊媒師は静かに圭一の目を見る
女性は皿を洗いながら
圭一たちの様子を心配する
サエコ
「大丈夫ですよ」
ー
圭一
「わかってんのか?
このまま留まり続けたらお前悪霊になるぞ」
そう言って圭一は立ち上がる
「立て、除霊してやる!」
霊媒師はため息を吐く
サエコ
「はいはーい、みなさん本題に入りますよ」
サエコ達が二人の間に割って入る
女性
「圭くん…」
圭一
「…チッ」
圭一は場の空気を理解し、再び座る
サエコ
「先生、大丈夫ですか?」
霊媒師
「…どうだろうな」
死のメールについて話し合う四人
ーーー
住宅地を歩くサエコと霊媒師
霊媒師
「この仕事降りていいか?
あいつは俺を消そうとしてる」
サエコ
「ビビったんですか?」
霊媒師
「普通ビビらないか?自分を消そうとしてる奴と側にいるのって」
サエコ
「勝手に降りたらケイコさんに悪いですよ
呪いの正体もまだ掴めていないのに」
霊媒師
「それについては問題ない、今回の呪いは
今までとは違ってひどく単純でどこにでも
ありふれた物だ。着信○リ系の呪いだな」
サエコは霊媒師の言葉にハテナマークを浮かべる
サエコ
「着信…何ですか??」
霊媒師
「着信○リだよ、ホラー映画の」
サエコ
「それって…何ですか?」
霊媒師
「着信○リだよ、知らねーの?
てんてんてんてん♪てんてんてんてん♪…だよ」
サエコ
「知らないです」
霊媒師
「お前、映画見ねーの?」
サエコの反応に霊媒師は若干戸惑う
霊媒師
「前に流行った映画だよ、すげー話題になった、
死の着信で人が次々死んでいくって言う…」
サエコ
「とりあえずその着信なんちゃらが
今回の呪いの正体って事ですか?」
サエコは霊媒師の話を遮り、本題に移そうとする
霊媒師
「まぁ、そうだな。いわゆる通知アリだ」
サエコ
「(通知アリ…?)」
霊媒師
「解決策は至って簡単
呪いと人をつなぐ線を断ち切る…
物体剥離で処理すれば済む話だ」
サエコ
「はぁ…(簡単…?)」
霊媒師
「あとは独立した呪いを除霊すれば
この仕事は完了する」
揚々と語る霊媒師
霊媒師
「ファイナルはよくわからなかったが
やっぱ一作目が一番面白かったな」
サエコ
「何の話…?」
二人は一旦、ケイコ達の元へ戻る
ーーー
圭一
「本当にそれでこいつの呪いは解けるんだろうな?」
霊媒師
「あぁ、この能力はモノとモノを繋ぐ紐をハサミで切るようなもんだから、確実に成功する」
サエコ
「ケイコさん、いいですか?」
ケイコ
「お願いします」
霊媒師はコクっと頷き、呪文を唱える
霊媒師
「〜、ハァッッ!!」
ー
スマホを操作する女性
霊媒師
「てーん♪てんてんてんてん♪
てんてんてんてん♪」
サエコ
「…先生」
霊媒師
「歌で呼び寄せてるんだ、独立した呪いを排除しないとまた呪いで結ばれてしまうからな」
圭一
「……」
霊媒師
「てーん♪てんてんてんてん♪
てんてんてんて…」
ケイコ
「来ました!通知アリです!!」
一同
「!?」
一同スマホに釘付けになる
霊媒師
「慌てるな、物体剥離は出来てるからな。
効力を失えばただの幼稚なイタズラだ」
『今夜〇〇時〇〇分、ケイコ、死ぬ』
圭一
「もうすぐじゃねぇか!」
サエコ
「ケイコさん!しっかり!」
ケイコは震えた手を必死に抑える
霊媒師
「ハハッ"死ぬ"だってさ、可哀想な奴だ
もうお前の呪いは効かねーんだよバーカ」
『オマエ、シネ』
通知が届いたと同時に霊媒師の体が弾け飛ぶ
ー
スマホを部屋に置いて外へ避難する3人
ケイコ
「あの人は!?」
サエコ
「大丈夫!大丈夫ですから!!」
霊媒師
「ビックリした〜…」
復活した霊媒師に驚くケイコ
圭一
「どういう事だよ、呪いの連鎖は断ち切ったんじゃねーのか!?」
霊媒師
「いや、呪い自体は断ち切った
物体剥離はあくまで
呪いに紐付けされたものを断ち切るだけの機能だから、直接的な攻撃は防げない」
ケイコ
「なんで煽ったんですか?!」
霊媒師
「こんな煽り耐性低いとは思わなくて」
混乱する四人の前を通過する
透明なナニか。
サエコ
「え、何っ!?」
圭一
「おいアレッッ!!」
透明な何かが通行人の中に入り込む
男性
「ゔっ…ゔっ…」
女性
「ゔぉっ…ゔぉあ…」
霊媒師
「群体が憑依してる…」
サエコ
「ケイコさん!!」
サエコはケイコを抱き寄せて庇う
霊媒師
「ちょっとまずいな」
霊媒師はサエコとケイコの前に立ち塞がり
二人を庇う
女性
「あ〜う〜…」
男性
「う〜…」
圭一
「チッ…!」
圭一はポケットから数珠を取り出し、
念を唱える
男性が圭一に掴みかかろうとする
サエコ
「圭一さん!!」
圭一は目を見開き、男性に拳を振り下ろす
圭一
「オラァッッ!!」
男性は殴られた勢いで地面に叩きつけられる
続いて圭一は走り、女性の顔面も殴りに行く
サエコ
「先生!!」
霊媒師
「そいつを頼む!」
霊媒師はサエコ達を魔法陣に入れたあと
憑依された人たちの元へ走る
圭一
「オラァッッ!!」
憑依された女性に蹴りをお見舞いする圭一
霊媒師は町の人に取り憑いた呪いを一つずつ除去していく
圭一は次の標的を殴ったあと馬乗りになり追撃
サエコは怯えるケイコを必死に励ましながら様子を見守る
騒ぎを見ていた住人が警察へ通報し
パトカーが到着するーーー
報道
『男は"除霊するために殴った"などと
容疑を一部否認ーー』
ーー
ーーー
男性達に頭を下げるサエコとケイコ
署から出て車に乗る四人
サエコ
「示談が成立して良かったですね…?」
圭一
「呪いをとり逃した、どこ行ったか検討もつかねぇ」
霊媒師
「……」
四人は一旦、ホテルへと移動する
ー
ホテル内にて
とり逃した呪いについて話し合う四人
圭一
「お前が煽りさえ、しなきゃな」
霊媒師
「あんたこそ
何で除霊しなかった?」
呪いをとり逃したことを責める圭一に
霊媒師が詰め寄る
霊媒師
「あんたなら彼女の除霊くらい朝飯前だと思うがな」
圭一
「俺に女を殴れっていうのか?」
圭一は霊媒師を睨みつける
サエコ
「男って何ですぐ喧嘩するんだろう、怖いなぁ」
二人の喧嘩に呆れるサエコ
ケイコ
「あの、言い合いしてても仕方ないと思います…
今は呪いを探し出すことに集中した方が…」
ケイコに諭され3人は静かになる
霊媒師
「…しかしどうする?
手がかりがないんじゃ探しようがないぞ」
サエコ
「なんとか、するしかないですよ」
霊媒師
「なんとかって何するんだ具体的に…?」
圭一
「諦めるか、馬鹿みたいに探し回ってくたばるかだな」
ケイコ
「……」
すでに諦めムードが漂う中
霊媒師はボソッとつぶやく
霊媒師
「犠牲が出てからじゃ…遅いよなぁ…?」
サエコ
「何言ってるんですか先生…!」
呪いの位置を特定するには犠牲が必要だと
暗に示す霊媒師を叱るサエコ
圭一
「さすが死人の言う事は違うな」
ケイコ
「圭くん…!」
霊媒師
「悪かった…どうかしてた、忘れてくれ」
霊媒師は軽はずみな言動を反省し
案を出し合うことを提案する
しかし、なかなかいい案は出ず
痺れを切らしたサエコがスマホをいじり出す
霊媒師
「お前…人が真剣に考えてるのに携帯いじんなよ」
サエコ
「あ、すみません…癖で」
ケイコ
「あ、いいかもしれません、それ」
霊媒師/サエコ
「?」
二人のやりとりを見て
ケイコは何かを思いつく
ーーー
掲示板サイトを漁る四人
ケイコ
「死のメールが届いたか募集すれば
情報が絞れるかもしれません」
圭一
「愉快犯には気をつけろよ」
ケイコ
「あ、いました!"新宿で待ち合わせ"…
行きましょう!」
メール被害者とコンタクトを取り
四人は新宿へと向かう
ーーー
サエコ
「どうもー」
ケイコ
「あなたがYさん?」
サエコとケイコが被害者の元へ近づく
その後ろで待機する圭一と霊媒師
霊媒師
「準備はいいか?」
圭一
「黙れ」
圭一は数珠を構える
Yがサエコ達と話してる最中に
背後から拳を振り下ろす圭一
Y「いでっ…!?」
圭一
「よし、今だ押さえろ!」
サエコとケイコがYを押さえる
Y
「何何何ッッ?!なになにッッ!?」
圭一
「動くなよ、死ね!!」
圭一は全力でYの顔面を殴る
Y
「おごぇっっ…!?」
霊媒師
「入ったァ!!」
失神したYの口から呪いの塊が出てくる
サエコ
「出てきた!」
圭一
「捕まえろ!!」
呪いは霊媒師を振り切り
どこかへ飛んでいく
圭一
「追うぞ!方角さえわかればこっちのもんだ!
見失うなよ!!」
四人は呪いを追いかける
ー
サエコ
「…!!先生!!」
3人とは別で建物の中へ走る霊媒師
ケイコと圭一の二人は呪いを追いかけてる最中
憑依された町の人に妨害される
ケイコ
「どいてください!!」
圭一
「どけよお前ッッ!殺すぞ!!」
階段を駆け上がり、屋上から飛び降りる霊媒師
霊媒師
「ハァッッ!!」
手を伸ばし、呪いに接触
そのまま落下して地面に叩きつけられる霊媒師
呪いはヨロヨロと遠くへ飛行していく
サエコ
「先生!!」
復活した霊媒師の元まで駆け寄るサエコ
ケイコ
「ハァハァ…」
圭一
「くそ、逃げられた!」
落胆する3人に「大丈夫だ」と言う霊媒師
霊媒師
「やつに触れた時に特殊な印を付けておいた、
どこにいるかはすぐにわかる、ついてこい」
3人は言われた通り、霊媒師の後をついていき
やがて廃墟にたどり着くーー
ーーー
圭一
「本当にここで間違い無いのか?」
霊媒師
「あぁ」
霊媒師は手をバッと出して
3人を制止する
霊媒師
「流石にこっからは俺一人で行く
生身は危ないからな」
サエコ
「気をつけてください」
ケイコ
「あの、霊媒師さん!…ありがとうございます」
霊媒師
「あぁ」
圭一
「……」
圭一は少し考えたあと、ため息を吐いて霊媒師に言う
圭一
「…やられんなよ」
霊媒師は圭一の言葉を無言で受け入れたあと
一歩足を踏み入れる
…その瞬間ドパッと弾け飛ぶ霊媒師
一同は固まり、しばらくして復活する霊媒師
霊媒師
「行ってくる」
その後、一歩踏み込むたびに弾ける霊媒師に
「大丈夫か…?」と心配そうに呟く圭一。
ーーー
『オォォォォオオォ…』
ある部屋の壁に渦状に張り付いた呪い
霊媒師
「ようやく面会できたな
全く、苦労させやがって」
「逃げて逃げて…また逃げて
お前はどんだけ逃げれば気が済むんだ??」
「恥ずかしがり屋か?」
この一言でブチギレる呪い
『オォォォォオオォ…!!』
霊媒師
「お前はもう終わりだ、覚悟するんだな」
霊媒師はパイプレンチを取り出し構える
呪いは複数の触手を伸ばし
霊媒師の行動を妨害
霊媒師はパイプレンチで触手を斬りながら
除霊の機会を伺う
『オォォォォオオォ…ッッ!!!』
霊媒師
「もう暴れるな」
霊媒師は呪いまで一気に距離を縮め、渦の中心に
パイプレンチを突き刺す
霊媒師
「除霊完了!」
『オォォォォオオォ…ッッッ!?!?』
呪いは叫び声を上げながら
暴れたあと、やがて消滅した
憑依された人々も無事元に戻る
主が消滅したことで分散していた呪いが消滅していくーーー
ー
ーー
夕暮れの町を歩くサエコと霊媒師
サエコ
「何だか長くなっちゃいましたね先生」
霊媒師
「全くだ、おかげで肩がすげー痛い」
サエコ
「(幽霊なのに…?)」
サエコ
「ケイコさん、すごい感謝してましたよ
先生のこと。それから圭一さんも。」
霊媒師
「そうか」
サエコ
「今度お祝いでもどうですか?だって」
霊媒師
「遠慮しとく」
霊媒師はフフッと笑いながら答える
サエコ
「沢山ビール用意して歓迎しますって」
霊媒師
「…!…え、遠慮しとく」
霊媒師は言葉を詰まらせながら答える
サエコ
「圭一さん、少し怖いけど優しい人でしたね
先生のことすごく気遣ってくれてましたよ」
霊媒師
「そうだな」
サエコ
「気づいてましたか?」
霊媒師
「…まぁな」
二人は夕日の町へと静かに消える
おしまい
・
・
・
霊媒師の家
インターホンを鳴らす若い女性
若い女性
「……」
女性は静かに立ち尽くすーー
最強の霊媒師④(完)