最強の霊媒師⑩-ハヤト-
男の子
『先生!お願いします!』
女性
『よろしくお願いします…』
霊媒師
『任せてください、俺にかかれば
こんなの容易いことだ』
男の子
『せ…せんせっ…!』
女性
『ユウ…!!ハヤトくん!!』
霊媒師
『くそ…!!なぜだ!!お、俺は凄腕の霊媒師なんだろ!?』
『どうして…』
『先生!…先生!』
サエコ
「先生って!!」
霊媒師
「だぁっ」
飛び起きる霊媒師、そこにはサエコが立っていた
霊媒師
「……?え…悪霊?」
サエコ
「誰が悪霊ですか」
サエコ
「もう、いつまで寝ぼけてるんですか
いい加減起きてください、仕事ですよ」
霊媒師
「ちょっと待て…あぁ…」
頭を押さえる霊媒師
サエコ
「ほら、こんなに依頼が来てる
よく確認してください」
チラシを見せるサエコ
霊媒師
「あれは夢か…悪夢だった…」
サエコがチラシを渡す
サエコ
「さぁ、先生」
霊媒師
「うん、ちょっと待って…、えっと、
サエコちゃん?」
サエコ
「なんですかその呼び方、キモいですよ」
霊媒師
「いや、キモいのは多分お前だと思う…
なんで俺の部屋にいるの…?鍵閉めてたよね?」
サエコ
「先生ん家ボロいので、窓から入れましたよ」
霊媒師
「住居侵入罪って知ってますか…?」
サエコ
「それより依頼をどうにかしてください
すごい溜まってます!みんな先生に助けを求めてるんですよ!寝てる場合ですか!」
霊媒師は無言でチラシを眺める
霊媒師
「"歯が痛いので助けてください"
"喉が痛いです、怨霊の仕業でしょうか?"
"お腹を壊したので今日は休みたいです"
…なんだこれ、全員専門行けよ」
霊媒師
「なぁ、サエコちゃん、俺ちょっと今日しんどいんだけど…また今度にしてくれないか?」
サエコ
「何言ってんですか、仕事放棄なんて大の大人がやる事じゃないです。責任持って取り組んでください」
霊媒師
「あとで持つから今はちょっと休ませて…」
サエコ
「幽霊が気分悪くなることなんてあるんですか?」
霊媒師
「あるある、幽霊もたまには休み取りたい時期もあるんだ、いつまでも活動してたら疲れるわ」
そう言って布団にくるまる霊媒師
サエコ
「先生、見てください」
霊媒師が布団からチラ見すると
そこには見覚えのある男が
霊媒師
「ゆ…諭吉っっ!?」
霊媒師は起き上がり、お金を見つめる
サエコ
「みてぇーんセンセ♡」
お金を並べるサエコ
サエコ
「1吉10枚で10吉
1吉20枚で20吉」
霊媒師
「に…にじゅっきち…!?」
サエコ
「更にそこにもう10枚追加して
合計30吉」
霊媒師
「ささ…さんじゅっきちっっ!??」
サエコ
「依頼こなしたらコレ全部あげる
どう?やる?」
霊媒師
「仰せのままに…」
ひざまづく霊媒師
ーーー
霊媒師
「あぁ……」
ひと仕事終え、肩をほぐす霊媒師
レイコとサエコが水洗いをする
サエコ
「最近、先生元気ないんですよね…」
レイコ
「あら、心配??」
サエコ
「そりゃ心配…って、レイコさん!変な意味で言ってません!?違いますよ!?
先生の体調を気遣う事とソレは全然別物ですから!!」
レイコはフフッと笑う
サエコは怒りながらも
土手でのやりとりを思い返していた
ーー
ー
ビル爆発事故から次元移動で
サエコ達を救い出し、安堵する霊媒師
女の子が急に泣き出す
女の子
『う…痛い…ひぐっ…』
レイコ
『大丈夫!?』
レイコが女の子に駆け寄る
レイコは女の子の体に手を当て、目を瞑る
レイコ
『大丈夫だよ』
女の子
『……?』
優しく微笑むレイコ
するとレイコと女の子の体が緑に光る
それを近くで目撃するサエコ
サエコ
『これって……』
みるみる女の子の怪我が治る
レイコ
『コレで安心、立てる??』
女の子
『うん!!』
ー
ーー
サエコ
「レイコさんのあの能力…」
レイコを見つめるサエコ
サエコ
「レイコさん……先生について教えていただけないですか…?私、知りたいんです…彼の秘密を…」
レイコ
「え…?」
ー
洗い物を済ませた後、
霊媒師のいない場所で話をする2人
レイコ
「八咫巫女って知ってる?
人の怨念、怒り、悲しみ、感情全てが詰まった負の集合体、ハヤトくんはそれと戦い、負けた…」
サエコ
「呪い殺されたってこと…?」
レイコは深く頷く
レイコ
「彼も除霊する自信はあったのだけれど
今回ばかりは相手が悪かったの…」
生前の霊媒師
『任せてください、俺が行ってぶちのめしてきます』
サエコはしばらくレイコの話に聞き入る
レイコ
「ハヤトくん……。
先生はその頃から凄腕の霊媒師って評判でね
子供達からも人気があって、道を歩く度に声をかけられてたわ…先生は気だるそうに、だけどちゃんと手を振って、本当にいい先生だった…。」
レイコ
「あの事件がなければ、彼は今もきっと
町のヒーローとして振る舞ってたと思うの…」
レイコは言葉を詰まらせる
レイコ
「幽霊はね、なにか未練があるから
そこに留まるの。私も先生も、例外はない…。」
レイコ
「未練を断ち切ると人は成仏し、この世から消える…あの子も、ハヤトくんも…」
サエコ
「!!」
レイコ
「それでも私は、私は…あの子を送ってあげたい…楽にしてあげたいの…」
レイコは涙ながらにそう話す
レイコ
「ごめんなさい…なんの話をしてるのかしら
ふふ、サエコちゃん、先生は強い人よ
安心して」
サエコの心拍数が上がっていく
サエコ
「先生が…消える…?」
ーーー
霊媒師
「ふぅ、無茶させやがるなあいつも
よく考えたらあの仕事量で30万は割りに合わねぇよ……」
霊媒師が部屋に戻るとそこにはサエコの姿はなく
レイコがぽつんと座っていた
霊媒師
「あれ?レイコさん?あのバカは??」
レイコ
「ごめんなさい、私余計なことを口走ったかもしれません…」
レイコは申し訳なさそうにする
ー
霊媒師が外に出て、辺りを見渡し
塞ぎ込むサエコの姿を確認する
霊媒師
「おい、お前何やってんだそんなとこで」
霊媒師はサエコに駆け寄る
霊媒師
「ガキならわかるが、お前結構デカいから
そんな所でしゃがんでたら完全に不審者だぞ」
サエコ
「…うっさいです」
霊媒師
「ほら、立って。タラちゃんみたいな事言わないで」
サエコの手を引っぱり、無理やり立たせる霊媒師
サエコは無言でうつむく。
霊媒師
「…飯食う?」
そう言って家に戻ろうとした時
ガバッと霊媒師にしがみつくサエコ
サエコ
「先生が消えるのは嫌です…」
霊媒師
「はぁ?俺が消える?お前は何を言って…」
サエコの真剣な顔に霊媒師も戸惑う
霊媒師
「…?レイコさん一体何言ったの…?」
しばらく困惑する霊媒師
ーーー
『先生!見てください、オレ、こんなに元気になりましたよ!』
『先生!私にも、私にも除霊してください!』
『先生!先生!』
ー
霊媒師
「ぐ〜zzz…」
椅子に座って眠る霊媒師
レイコがそっと布団をかける
『ママ〜!』
『ふふ、ユウちゃん』
『見てみてー!こんなに高い所まで登れたよ!』
『ユウちゃん危ないわよ!』
『痛いよぉ…』
『もう、この子ったら…』
レイコは静かに微笑む
ーーー
次の日の朝、サエコが霊媒師に再度問いかける
サエコ
「先生、やっぱり消えるんですか?」
霊媒師は「ふぅ」っと息を吐いた後
優しく答える
霊媒師
「いいかサエコ、幽霊ってのはな
未練がなくなれば自然と消えるもんなんだよ
決して抗えるものじゃないんだ」
霊媒師
「例えばプールで重さ2トンの足枷を付けられたらどんだけ泳いでも沈むだろ?あれと同じ感覚だよ」
サエコ
「例えが飛躍しすぎてわかりません」
霊媒師
「お前もいつか(死んだら)そうなるから安心しろ」
霊媒師は笑いながらそう話す
ー
夜、ベッドで眠るサエコ
サエコ
「……」
『本当に死んでるんですか?』
『お前信じてないだろ』
『うわぁぁ!私と関わる人はやっぱり死んじゃうんだ』
『おい、そっとしといてやれよ』
『先生!今日の依頼ですが』
『お前は一般常識を学べ、まずはそっからだ』
サエコ
「…うっさい」
レイコ
『先生、ずっと負い目を感じていて…』
霊媒師
『サエコ、幽霊ってのはな、未練がなくなれば自然と消えるもんなんだよ、決して抗えるものじゃないんだ』
サエコ
「……」
サエコはギュッと枕を抱きしめる
ーーー
次の日の朝、霊媒師の家に尋ねる前に
ある場所でレイコと落ち合うサエコ
サエコ
「レイコさん、その子について話してくれませんか?私は納得したいんです…どうしてその子を送りたいのか…」
サエコはレイコを尋問する
サエコ
「大事な子供なんですよね?」
レイコ
「……」
レイコはため息をついたあと
静かに語る。
ーーー
サエコがドタドタと霊媒師の家を訪問
サエコ
「先生!!」
霊媒師
「なんだお前急に」
サエコ
「先生!どうしてですか!?」
サエコはいつになく真剣な顔で霊媒師に詰め寄る
霊媒師
「な、なんだお前?こえーぞ」
サエコ
「どうして、あの人の依頼を聞いてあげないんですか!」
霊媒師は「はぁ?」と答える
ーーー
サエコ
「悪霊化…?!」
レイコ
「えぇ…長く現世に留まっていると
人の霊魂はその空間に馴染めず悪霊化してしまう事があるの…」
レイコ
「元々霊魂はあの世に行くもの、現世に残るべきじゃないの。天に召されてようやく、人の魂は解放されるのよ」
サエコはレイコの話を聞いて戸惑いを隠せない
レイコ
「でもハヤトくんは、…先生は私たちを呪いから助け出せなかった事に負い目を感じていて中々
あの子を除霊してくださらないの」
「ずっと頼んでいるのだけど
あの人ははぐらかすばかりで……」
悲しそうにそう言うレイコ
レイコ
「でも私は別に先生のことを恨んではいないの
あの子もそう…先生の立場を思うと
とてもその重責に私自身耐えられる自信がない…」
レイコ
「だから少しずつ、彼を説得して
あの子を成仏できるよう、頼んでる所なのよ
時間はかかるかもしれないけれど、必ず
あの人はやってくれる。私はそう信じてる。」
「あの人は優しい方ですからね」
レイコは微笑みながらそう言う
だがサエコは騒ついた気持ちが先行する
ー
サエコは机を思いっきり叩く
サエコ
「先生!!レイコさんは、彼女は、ずっと苦しんでいるんですよ!?なのに、先生は…!!」
霊媒師
「お前、マジでどうした??」
霊媒師はサエコの変わりように驚き戸惑う
サエコ
「先生は、子供達の…町のヒーローなんでしょ?!」
霊媒師は「とりあえず落ち着け」とサエコを宥めるも、サエコは態度を変えない
サエコ
「…もういいです、わかりました
先生がやる気ないなら、もう私決めましたから」
霊媒師
「…?」
そう言って部屋を出ていくサエコに
霊媒師は終始困惑していた
霊媒師
「なんだあいつ…?」
ーーー
-その日の夜-
サエコは霊媒師の除霊道具を持ち出す
『あの子は離れの倉庫に軟禁してあるの』
『あそこよ、あそこにあの子はいるわ』
倉庫を指さすレイコ
『先生はあそこを何度も出入りしているの
あの子を除霊するために…。
あんまり近づかない方がいいわよサエコちゃん、あの子の呪いは生身の人間には脅威だから』
サエコ
「私だってやる時はやるんだから…!」
サエコはゴクッと唾を飲み込んだ後、倉庫に入る
ーーー
うなされる霊媒師
霊媒師
「うぐ…くっ…!」
霊媒師はガバッと飛び起きる
男の子
『先生…!!』
霊媒師
「くっ……!」
頭を押さえる霊媒師の元へ慌てた様子で駆け込んでくるレイコ
レイコ
「先生…ッ!!」
霊媒師
「レイコさん…?」
レイコ
「サ、サエコちゃんが…!」
霊媒師
「…ッ!!」
ー
-倉庫-
サエコは静かに辺りを見渡す
サエコ
「(大丈夫だよサエコ、霊能力はないけど
私も先生のやり方を何度も見てきたんだ
きっと私にだって除霊できるはず…!)」
ガタガタの魔法陣の上に乗り、パイプレンチを構えるサエコ
サエコ
「お、おい!悪霊!私がお前を除霊しに来た!隠れてないで、出て…来なさい!!」
サエコが叫んでしばらくすると
冷たい風がサエコを襲った
サエコ
「ひっ…」
左右に設置したロウソクの火が激しく揺れる
サエコの肩に手を置く悪霊
ユウ
「アううっぅぅ…」
サエコ
「くっ!!」
サエコはパイプレンチを思いっきり後ろに振るう
だがパイプレンチは空振り、
強い力で魔法陣から押し出されるサエコ
サエコ
「!!」
ユウ
「ゔぁうっ」
悪霊がサエコに襲いかかる
サエコ
「あっ!」
攻撃を回避した際にパイプレンチを落とす
サエコ
「くっ!うっ!」
パイプレンチを拾おうとするが
悪霊はポルターガイストを使い
サエコに物などを投げ飛ばして妨害する
サエコ
「うわっ!くっ…!」
四つん這いで逃げ回ることしかできないサエコ
ユウ
「ゥゥぅううう」
サエコ
「(ダメだ、全然相手にならない…)」
釘入れ箱が倒れ、釘がサエコ目掛けて飛んでくる
サエコ
「せ、先生……ッッ!」
目を強く瞑るサエコ
ーーー
霊媒師
「ッッ!!」
釘をパイプレンチで弾く霊媒師
サエコ
「…!!先生!?」
霊媒師は立ち上がる
霊媒師
「…勝手に道具持ち出してんじゃねーよ」
サエコは落ち込み、力なく「…はい」と返事する
霊媒師
「お前もだ、ガキ、いい加減にしろ」
霊媒師はパイプレンチを構え、
悪霊に向かってダッシュする
ーーー
レイコ
『私、全部話してしまったんです!
サエコちゃん、あなたを心配して…!!』
霊媒師
「ハァァァァッッ!!」
悪霊の動きを呪術で抑える霊媒師
だが悪霊は呪術をモノともせず
ぶち破る
霊媒師
「くっ!!」
サエコは遠くからその戦いを観察
サエコ
「(だ、ダメだ…先生はまだ、あの子に対する負い目が抜けきれてない…!)」
サエコは拳を握りしめ、ゆっくり移動を開始する
ーーー
霊媒師
「くそっ…!!」
しぶとい悪霊に苛立ちを覚える霊媒師
するとサエコが叫ぶ
サエコ
「先生!!レイコさんは言ってました!!
その子はあなたを恨んでいない!!だから
除霊してあげてください!!恐れないで!!」
霊媒師
「サエコ…!!」
その時悪霊がサエコに再び釘を投げつける
釘はサエコの腕に命中し、後ろの壁に磔にされる
サエコ
「いだっ…!!」
霊媒師
「サエコッッ!!」
霊媒師は悪霊を掴み、動きを封じる
霊媒師
「おい!!聞こえるか!!てめぇ!そいつは関係ねぇだろ!?」
サエコ
「せ、せんせ…」
霊媒師
「お母さんが悲しんでるぞ!」
暴れる悪霊
男の子
『先生!』
その時、生前の男の子の記憶がフラッシュバックする
霊媒師
「ぐっ…!?」
霊媒師の様子が変わる
サエコ
「せんせ…?」
霊媒師
「…前が恨んでるのは俺だろ?」
サエコ
「先生…!!」
悪霊の力が強まる
霊媒師
「俺はお前を救えなかった…!」
ユウ
「オォォォォオオォ!!」
霊媒師
「ずっと後悔してた…!お前を、こんなになるまで放置してたことを…!」
霊媒師
『俺は逃げてたんだ!
現実を受け入れるのが怖くてよ
除霊を遅らせてお前をずっと苦しませてきた…!
お前の母さんからも何度も頼まれてたのに
俺はそれを蹴ってきたんだ!!』
強い風が吹く
霊媒師
「俺は恨まれて当然の男だ!!」
霊媒師は叫ぶ
霊媒師
「俺は何度殺されても構わない!
だから関係ない奴には手を出さないでくれねぇか!?」
サエコ
「やめてくださいッッ!!」
サエコが叫ぶ
霊媒師
「俺は霊媒師を名乗る資格はない…!」
『レイコさんもお前も、ずっと苦しめ続けてきたのは八咫巫女じゃない、この俺なんだ…!!もっと早く除霊しとけば俺は…』
霊媒師
「俺を殺せ!気が済むまで殺し尽くしてくれ!!」
サエコ
「先生ッッ!!」
その時、霊媒師の辺りが白い光で包まれる
ー
『恨んでなんていませんよ、先生』
『あなたは僕を助けようとしてくれた
あなたは心優しい人だ、そんな人を恨むはずがない』
『だから先生、お願いします』
ー
声が聞こえなくなったと同時に
現実世界へ引き戻され、霊媒師は
悪霊を引き離す
ユウ
「ふぐ!?」
サエコ
「!!」
霊媒師は呪文を唱える
じわじわと効果が出始め
悪霊は苦しみ叫び出す
霊媒師
「ハァッッ!!」
悪霊は必死に抵抗しようとしたが
霊媒師の最後の掛け声で分解されて消滅。
あたりが静かになる
霊媒師はガクッと膝をつき、後悔とも取れる顔をしながら項垂れる
ー
霊媒師
「はぁはぁ…くっ…」
サエコ
「先生…」
サエコはホッとしたと同時に腕に走る激痛に思わず叫ぶ
サエコ「いたっ!」
霊媒師
「…!!サエコ!!」
霊媒師は急いで電話を取り出し救急車を呼んだ
ー
ーー
レイコ
「お世話になりましたハヤトくん…いえ、先生」
倉庫での戦いが終わった後、霊媒師は
レイコと最後の別れの挨拶をしていた
レイコ
「あの子は無事天国に行きました…
先生のおかげです」
レイコは霊媒師に微笑み、深くお辞儀する
レイコ
「こうしてみると意外と早かった気がしますね
あの子が悪霊化してどのくらい経過したんでしょうか…ふふ、まぁいいです。全て終わりました」
レイコは今までにない明るい表情をしている
ー
レイコ
「…では、先生。そろそろ時間です。」
霊媒師はコクっと頷く
レイコ
「ふふ、少し寂しいですね…
あなたといた時間はとても長く感じました
サエコちゃんも…色んな人と触れ合えて
ユウくんがああなっても、私が平常心を保てたのは、あなた達のおかげなのかも…なんて…」
霊媒師は静かにレイコに別れの言葉をかける
霊媒師
「…お疲れ様です」
レイコ
「…ッッ」
レイコはその言葉を聞いた瞬間
ハッとなり、涙をこぼす
レイコ
「ありがとうございます…先生」
レイコは微笑みながら静かに消えていった。
ーーー
窓を見つめる霊媒師
『人の恨みは強く、儚く、
繊細な所から生まれる物だ
俺たちはいつもそれと生きて過ごす
まだまだ未熟だが、いずれそれと
向き合える日がくるなら、そのときは…』
サエコ
「せんせーいーらいー」
霊媒師
「たくっ、うるせーな」
霊媒師は窓から離れ、部屋に戻った。
最強の霊媒師⑩(完)




