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闇夜に輝く幻想魔術~幻術師は世界から狙われている様です~  作者: 流れる蛍
【第一章】夕闇に輝く幻想魔術
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追い掛ける銀狼族

パタパタと三角耳をはためかせ、ザク切りの髪をなびかせながら、少女は丘の上に立っていた。

尻尾がフリフリと緩やかに振られている。


「むむ。何やらお城と街が見えます。······ふむ、あそこにゲノムがいるようですね。しかし私は街に入る訳には行かないのです」


彼女はどうしても街には入ることが出来ない事情があった。無理矢理にも入ることは出来るが、もしかしたら彼に迷惑がかかってしまう事があるかもしれない。そう考え、彼女は彼が街の外に出るのを待つことにした。


「私は賢い獣の王っ! 待てなんて朝飯前なのですっ。そうすればきっとゲノムも沢山ペロペロさせてくれるのですよ!」

緩んだ口元に涎が溢れる。同時に小さなお腹から大きな音が鳴った。


「そう言えば、ご飯がまだでした」

キョロキョロと周りを見渡し、丁度森から出てきた巨大な猪型の魔物と目が合った。

「······じゅるり」

憐れな獣は死を覚悟した。




「るーるる、るるる、るーるーるー、るーー······」

銀色の獣人は巨大な猪を焼いていた。


内蔵を取った巨大な猪の手足を棒に縛り、下から焚き火で焼くと言ったワイルドなものだ。高さは岩で調節している。


猪を結んでいる棒は車輪の軸。森の中で壊れた馬車の部品を見つけ、持ってきた様だ。その証拠に辺りに使われなかった残骸が散らばっている。


両側に付いている車輪を彼女は楽しそうに回していた。手の動きと一緒にしっぽも揺られている

因みに車輪を回しても肉が回る訳では無い。


「そろそろですか? まだですか?」

焼かれた猪に尋ねるも、返事がない。


「まだですか? いいですか?」

当然、返事がない。


「よし。じゃあ、いただきーー」


「ーーおい、狼煙が見える。救護対象かもしれん」

「はっ!?」

肉に噛み付こうとする寸前、近くから人の声が聞こえてきた。

普段なら匂いと音で気づけるが、目の前の食事に夢中になって気づかなかったようだ。


足音は五人。全て男。

すぐ様その場を離れる少女。


その後直ぐに五人の冒険者がやって来た。


「ここだ。って、なんじゃこりゃ!!」

「猪の魔獣か。だがこのデカさは······」

「焼いて食おうとしていたのか」

「うわ、毛皮がボロボロ。これじゃ売れないや」

「っていうかこの馬車の部品、救護対象のじゃねえか!」


彼らは口々にそう言い、辺りを警戒しながら散らばった馬車の部品から何かを探す。

だが見つからなかったのか肩を落とすと、その場を離れた。

肩に焼かれた猪を担ぎながら。


「······?」

冒険者達はは遠くから「おにくぅ」と悲痛な声を聞いた気がした。


彼女が口ずさむ音楽に他意はありません。

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