予感
言いかけた言葉。
今はまだ秘密。
「14年目ぇ〜♪陸ぅッ!おめでとぉ〜☆」
2月14日。バレンタインと同時に、2人の誕生日でもあるこの日。
「おめでとっ…」
愛想ない陸のお祝いの言葉と、いつもどうりの明るい美雨の言葉。
去年と同じような誕生日を迎えた。
「今日が学校休みでよかったよねぇ〜♪」
はしゃぐ美雨のお目当ては、休日にもかかわらず、誕生日プレゼントを届けてくれる友達。
「まぁな。でも誕プレ目的にはしゃいでるだけだろうけど…」
「当たってるんだけどぉ…あっ!ねぇ、これぇ〜♪」
照れながら、後ろでガサゴソと何かを取り出して来た。
「陸に誕生日プレゼントでぇす♪」
ヒョイッと差し出す美雨からプレゼントを受け取り、笑みを浮かべて言った。
「あんがと。みぃ、ちょっと待ってて?」
そういって陸斗は、美雨の家を飛び出して行った。
「どぉしたんだろぉ…」
しばらくして、何かを手にしながら陸斗が戻って来た。
「みぃ、これッ!おめでと☆」
チェックの包装にピンクのリボンが上手く飾られていた。
「綺麗だねぇ〜…ねぇッ!今日公園いこ?そこでこれ開けたいんだぁ〜♪」
「うん」
美雨は嬉しそうにプレゼントを抱きしめた。
美雨と陸斗はゆっくりと公園までの道のりを歩いていた。
「みぃ、どうした?」
キョロキョロと周りを見渡す美雨を見ながら、陸斗は首をかしげた。
「何か…嫌な予感がするの。とっても、悲しいことがこれから起こると思う。それに…その嫌な事ね、今日起こるよ。もう少し……」
美雨の予想や、予感。
実は今まで、はずれたことが無い。
全部的中していて、しかも美雨が言ったとおりのことが起きる。
「怖い…?」
前を見ながら、美雨はゆっくりと答えた。
「ううん。そんなことはないんだけど、何か嫌だなって思って」
そんな話をしながら、しばらくは何も話さずに歩いた。
脇腹に抱えたプレゼントを握り締めて。
「陸ぅ♪」
やっとのことで明るく笑顔を作り上げていた。
・・・・ガシャァンッ!・・・・
大きな音。
何が起こったのかは、美雨も陸斗もわからずにいた。
美雨は言いかけた言葉を残して…。




