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とうとう、この日がきてしまった。
今日、俺は隣の街に来ている。そう、洗礼の儀式だ。5歳になると教会で儀式をし、職業、魔法属性、生活魔法を神から授かる。俺のいた村にも教会はあったが、とても小さく、洗礼の儀式を執り行う設備がなかったため、街まできている。
村からは俺の他にマリアともう1人女の子がきている。名前はユリナ。耳と尻尾がとても可愛らしい獣人の女の子だ。
しかし、同じ村の出身だが、あまり面識がない。
何回かマリアと遊んでいる時に遠くからこちらを見ていることはあったのだが、遊びに誘っても人見知りなのか、すぐに隠れてしまう。
今も少し後ろを親御さんと一緒についてくる。
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名前 ユリナ♀ 5歳
種族 猫人族
レベル1
職業
HP 40
MP 20
STR 15
VIT 10
AGI 40
スキル
気配遮断1
気配探知1
魔法属性
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気配には敏感みたいだな感じ?獣人だからかステータスは若干高い気がする。
俺は思い切って話しかけてみた。
「ねー、君の名前は?」
「!!!・・・・・・」
俺が急に話しかけたからか、身体をビクッとさせて、父親の後ろに隠れてしまった。
「こら、ユリナ。隠れないで、ちゃんと自己紹介しなさい。ごめんね。この子はちょっと人見知りなんだ。悪気があるわけじゃないから仲良くしてあげてね。」
父親に軽く叱られたためか、おずおずと顔を出し始めた。
「ユ、ユリナ・・です。」
「ユリナちゃんか。俺の名前はアレン。そんでこっちはマリア。よろしくね。」
「マリアだよっ。よろしくっ!」
そんな挨拶をすると、恥ずかしさからか顔を赤くして挨拶を返してくれた。
「・・・う、うん。よろしく・・ね。」
教会に向かう道中、色々話ができた。花が好きだったり、2つ上に兄がいたり、マリアの元気な質問にも慣れてきたのか普通に話すこともできるようになってきた。
「マリアはねっ、肉!肉が好き!よく、おとうさんが兎を取ってきてくれるのっ。」
「わたしもお肉大好きだよ。でも、おとうさんが育てた野菜も大好き。」
「えー、野菜にがいもん。マリアは嫌い。」
他愛もない会話をしていると、目的の教会に着いた。
おぉー、思った以上に大きいなぁ。そこには、屋根に十字の飾りがついた15メートルぐらいの建物。広さはここからじゃよくわからないけど、横幅は3、40メートルぐらいはある。
ってか、あの十字は召喚者か転生が関わっていそうな感じがする。
中に入ると、真正面の奥には大きな石像があった。
うーん、どっからどう見てもあのじいさんだな。ちょっと若く見えて美化されてる感はあるが、俺がこの世界に転生する前に会った人物一緒だな。
石像の前には1メートルぐらいの柱が3つあり、その上には水晶が置かれた。