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こうして俺は隣に住むマリアと一緒に魔法の訓練をすることになった。
「マリアちゃん、、魔法って知ってる?」
「うんっ!ぱぱとままがやってるとこみたことあるよ。」
「そうなんだ。さっき、僕がやっていた訓練は、実は魔法の訓練なんだ。」
「あれん、まほうができるのっ!?」
『魔法』という言葉にキラキラさせた目でこちらを見上げ、聞いてきた。
「うん。みんなには内緒だから言っちゃダメだよ。」
「うんっ!まりあ、だれにもいわない。」
まずは、魔力から教えるか。そうして、俺はマリアの背中に手を当て、魔力を流す。
「どう?何か感じる?」
「う~ん。なんか、ぽかぽか?する。」
どうやら、なんとなく魔力は感じたらしい。
「このポカポカするものが魔力っ言うんだよ。魔法を使うのに絶対に必要なんだ。」
「魔力?」
またも、可愛らしくコテンッと首を傾げる。
「そうだよ。この魔力は誰もが持っているものなんだよ。」
「まりあも、もってるの?」
「うん、持ってるよ。目を閉じてみて。」
俺の言葉に素直に従い、目を閉じるマリア。
「マリアちゃんのお腹の真ん中に、このポカポカと一緒のがあるのは感じる?」
「う~ん、あっ!ぽかぽかあった!」
どうやら、魔力を感じることができたらしい。俺も雫に教えてもらわなかったら感じることすらなかったなぁ。しかも、魔力を正確に感じることができたのも1週間もかかった。もしかしたら、この子は魔法の才能があるのかもしれない。
そういえば、オルウェン王国の洗礼の儀式で勇者が誕生したって聞いたな。
この世界では2種類の勇者がいる。異世界から召喚された勇者と、この世界で生まれた勇者の2種類だ。召喚勇者は500年前に召喚された勇者大和が最後らしい。勇者大和は魔族と人族の協定の褒美にダークス魔王国とオルウェン王国の間に領地をもらった。その領地はどの国にも属さない中立の立場で、天皇(勇者大和の子孫)を象徴とした民主主義国家とされている。正確には国家とは天皇自身が認めていないらしいく、入国税などは取らず、消費税、住民税、法人税が導入され、政府が領地を運営している。そして、このヤマトは今後、異世界から強制的に勇者が召喚されないよう(勇者召喚条約)、厳しく各国を監視している。
そして、もう1つの勇者は、洗礼の儀式で神から勇者の職業を授かった者である。今現在、ロアナプラでは4人の勇者が確認されている。ダークス魔王国の深淵の勇者、バルサ帝国の獄炎の勇者、ミルフィリア王国の氷雪の勇者、そして、オルウェン王国で誕生した黒鉄の勇者の4人だ。