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「お、やっと目が覚めよったか。」
声がした方を向くと、そこにはいつの間にか現れた白髪頭のじいさんが座っていた。
なんだ?このじいさんは・・・そんなことを思っているとじいさんは「ワシはお前の世界でいうところの神じゃ。」などと訳のわからんことを言い出しやがった。
「訳がわからんとは失礼な奴じゃな。」
あれ?俺、声に出してたか?
「お前は声に出してはおらんよ。ワシがお前の心を読んだのじゃ。なにしろ、ワシは神じゃからな。」
そんなことを言いながら、じいさんは胸を張りながらドヤ顔でこちらを見てくる。
「なぁじいさん、俺は通勤途中で倒れたとこは覚えているんだけど、その後はどうなったんだ?」
俺は自分が覚えているとこまでを話し、その後のことをじいさんに訪ねた。
「お前は通勤途中に心筋梗塞で倒れ、通行人がよんだ救急車で病院に運ばれたが、間に合わなくて亡くなってもうたよ。」
どうやら俺は死んだらしい。ふと思い出してみると、俺の人生は妻をNTRられただけの何も面白くない人生だったなぁと思う。
そんなことを思っていると、頬をツーと流れる感触を感じ、何かと思い、手で頬を触ると掌は少し湿っていた。
「はは、もう枯れたと思ってた涙が出るなんて・・・」
「そうだのぅ、お前も苦労したのぉ。さすがにワシも同情してもうたわい。だからの、ワシが管理している世界にお前を転生させたいと思っておるんだがどうじゃ?」
「転生?よく小説とかである、あの転生か?」
「そうだの、多分お前がおもっているその転生で間違いないぞ。どうじゃ?今ならお前の元妻3人と間男3人分で6つの願いを叶えてやるぞ?」
「その転生を断ったらどうなるんだ?」
「そうだのぉ、特にどうなるということもないのぅ。ただ、あの世で100年過ごし、記憶や魂を浄化させ、その後はまた同じ地球に転生するだけだのぉ。しかし、ワシの管理する世界なら地球と違って化学の代わりに魔法が進歩しているし、楽しいと思うぞ!地球でいうところのファンタジー世界じゃ。しかも、何人妻を作ってもOKじゃい!男ならハーレムをつくるのも夢じゃないのぉぉ。」
「そうか、もう地球には転生したくない。そのファンタジーの世界に転生させてくれ。」
「ほっほっほ、よく決心してくれたのぉ。それでは6つの願いは何にするかの?」
「何にするって言われてもよくわからないから、じいさんに任せるよ。」
「ほっほっほ、わかったわい。と言われてもの何か希望などはないかのぉ?」
「うーん、絶対に裏切らない嫁がほしい。あと、人を見る目もほしいな。今までの妻は俺のみる目がなかったのかもしれないから。それと、痛いのは嫌だし、病気とかで死ぬのも嫌だ。できれば、贅沢とまでは言わないけど、お金に困りたくない。あと、最後に俺の元妻と間男達に俺の味わった倍の苦しみを与えてくれ。」
「・・・おぬし、意外にでてくるのぉ・・・
わかったわい、ワシに任せておけ。あと、ワシからもプレゼントとして、成長速度10倍と魔法1つやるわい。魔法は火、水、土、風、聖、闇、無の7属性あるのだがどれにするかのぅ?」
じいさんが魔法属性を紹介している時に、俺はふと思ったことを聞いてみた。
「雷属性はないのか?」
「ほう、よくそこに思いついたのぉ。雷属性はあるにはあるんじゃがのぅ、まぁお前さんにならあげてもよいかのぉ。よし、確認なんじゃが、お前さんの願いは1絶対に裏切らない妻、2人を見る目、3痛くならないようにする、4病気などにかからない身体、5お金に困らないこと、6地球の指名した6人に2倍の苦痛を与えること、でよかったかの?」
「うん、それでお願いしまーす!」
「おぬし、だんだん軽くなってきたのぉ。まぁいいわい。でわ、行ってくるがいい。」
そして、じいさんのその言葉と同時に俺の意識は暗闇に沈んでいく。
「行ったかの?最後に倍の苦痛を与えてほしいなど、中々な復讐者じゃったわい。あと、あ奴は人を見るがほしいと言ったが、そんなのはあ奴が持っているギフトの前には役に立たないしのぉ。ただ、救いは絶対に裏切らない嫁の方か。あやつが納得するかはわからんがのぅ。」