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今日は大森林に1人で猟に来ている。最近は教会での勉強で午前中の魔法の練習時間が減っていたが、ぶっちゃけマリアとユリナには俺が雷の魔法が使えることを秘密にしているので教えることがない。
2人には各自で魔法のコントロールをするように言ったのだが、この朝の練習がなくなるのは嫌だと反対され、1時間だけやることになった。
朝の練習が終わり、教会に行き勉強。午後からは森に猟に出かけるのが週間になった。父親には大森林の奥には行かないことを約束させられたが、雫曰く『反射がある限り死にませんし、傷つくこともありません。例えドラゴンのブレスだろうが、倍の威力で反射させるので相手が自滅するだけです。』と言われたので日帰りできる範囲で探索することにした。
母親からは錬金術で使う薬草や風邪薬の原料になる実などをできるだけ取ってきてとお願いされた。錬金術師の仕事は回復ポーションや解毒ポーション、風邪薬や病気の薬の調合、武器や魔道具に付与するなど幅広い技術がある。
そして、ウチの母親はかなりの錬金術師らしい。
作った物は母親の実家の商会に納品している。
俺は2日に1回は猟に、もう1日は母親に錬金術を教わっている。なので、必要な薬草などはだいたい覚えることができた。
そして今、俺の前には頭と身体がライオン、尻尾が2匹の大蛇で背中から大きな翼が生えた魔物と対峙している。
この前の熊の不意討ちを防ぐため探知の魔法を覚えたのだか、その魔力の波動を感知され、狙われてしまったのだ。
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名前 マンティコア
Lv 120
HP 15400
MP 5400
STR 7860
VIT 9600
AGI 8400
スキル
飛行
毒牙
魔法属性 火3
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てか、めっちゃ強いんだけど・・・・
大丈夫なんですか雫さん。『問題ありません。あなたはただその場に立っていれば平気です。』
俺は雫さんを信じ、その場に仁王立ちする。めっちゃ漏れそうです。
にらみ合いが1分ほど続いたが美味しそうな獲物を目の前にし、我慢できなくなったマンティコアは、その太い指に付いた鋭いナイフみたいな爪で俺に切りかかってきた。しかし、マンティコアの予想とは違い、俺が切り裂かれることはなく、その場から動いていないことに頭の中では???が浮かぶ。そして、自分の腕がくの字型に曲がっていることに気づき痛みで悲鳴をあげる。
怯んだのも一瞬、次に尻尾の大蛇が俺に噛みつこうとしたが俺に触れた瞬間、ガラケーの逆パカのように上と下の顎が弾ける。俺に物理攻撃が通じないことがわかったのか、その場から空中に飛行しはじめた。そして、上空から俺目掛けて炎の玉を吐いてきたが、その炎は何倍の威力でマンティコアに反射された。
炎の玉で翼が焼かれたマンティコアが落ちてくる。『あなた、魔法をお願いします。』雫から指示された俺は、地面に落ちているマンティコアに指先を向ける。
そして、指先に魔力を溜め雷魔法を放つ。『ライトニング』
指先から放たれた稲妻はマンティコアの胸に当たり、その心臓部分はぽっかりと丸い穴が空いた。
ふぅ、何とかなった。てか、めっちゃ怖かったし。『大丈夫ですよ。このギフトは最強ですし、復讐者の職業補正で更に倍の威力になります。』それは分かっているんだけど日本人の俺からしたら、動物園にいるライオンの10倍以上デカイやつと対峙するだけで怖いんだよ。
『でも、流石はあなたですね。最後まで微動だにしませんでした。』
言えない。怖くて意識が飛んでいたこと。雫の声で意識が戻り、気づいたら地面にマンティコアが倒れていたことを。そして、漏らしたことを・・・・
その後、マンティコアをアイテムボックスに入れ、川を探すことにした。だって、しょうがないじゃないか。頭は大人だけど体は8歳児だし、地球にあんな化け物いないもん。
そして、その日は川でパンツとズボン、お尻を洗って帰ることにした。ちなみに、生活魔法のクリーンでも平気だったのだが気持ち的に洗いたかったんです。