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教会の中には60~80人ぐらいの子供達がいた。
そして、石像の前に1人のおじさんが現れる。
「皆さん、こんにちわ。私はこのリプトンの街で司教をしています。コーリンと申します。洗礼式おめでとうございます。ここにいる子らに神の祝福がありますように。」
司教様が優しい声で挨拶をすると、準備ができたのか、シスター達が子供達を一列に並ばせる。
「みなさん、お待たせしました。それでは順番に、この水晶に触れてください。端から生活魔法、魔法属性、職業が与えられます。」
よくある小説などでは太った汚職する聖職者などがいるが、ロアナプラでは神に仕える者が汚職、犯罪などをすると神から魔法属性を取り上げられる。
そして、聖職者に危害を加えた者も魔法属性を取り上げられてしまう。これがあるため、教国は中立の立場でいられるのだ。
一度、魔法属性がなくなった人でも反省し、より良い行いや神への奉仕をし、神に許された者は再び魔法属性が与えられた前例もあるらしい。あと、聖職者でも婚姻はできる。
もう1つ、教国が中立の立場でいられる強みがある。それは、塩の販売だ。この世界には海がない。正確には海があるかわからないのが正しい。
各国の外周は火山、山脈、氷山、砂漠、大森林で囲まれ、地図にのっていない部分は全て未開の地になる。
それでは、何で塩があるかというと、それは塩が簡単に取れるダンジョンが教国だけにあるからだ。
そして、教国は各国の教会で安く売っている。ただし、冒険者の人件費や運賃などは、それぞれの国が負担する。
お、どうやら最後尾の俺たちの番がきたみたいだ。
始めにユリナ、次にマリア、最後に俺って順番だ。
ユリナが最初の水晶に触れると、ユリナの身体が光だした。どうやら、これで生活魔法が貰えたらしい。
そして、次の水晶に触れると、今度は水晶が緑色に輝く。魔法属性は色によって与えられた魔法が違うみたいだ。
緑色が風、赤色は火、黄色が土、青色が水、白色が聖、黒色が闇属性になるらしい。
なので、ユリナは風属性になる。
ん?じゃあ雷は何色なんだろう。何か嫌な予感がする。
最後の水晶に触れると、司教が水晶を覗きこむ。
「ノービスですね。」
どうやら、ノービスみたいだ。
やっぱりノービス率高いな。今までの子達でも剣士が2人、弓術士3人、魔法師1人だけだったな。
次はマリア番か。
そして、マリアが2つ目の水晶に触れた瞬間、今まで見たことがないほど白く輝きだした。
「素晴らしい。聖属性です。しかも、これほど輝くとは・・・さぞ、魔力が高いのでしょう。」
テンションの上る司教。続いて、3つ目の水晶を覗きこむ。
「こ、これは・・・・」
一瞬の静寂の後、司教がシスターに向けて言葉を放つ。
「せ、聖女様が生まれました。すぐに聖都の中央教会に連絡をしてください。」
まさかの聖女とは・・・
あんなお転婆娘が大丈夫か?てか、この後に洗礼するの何か嫌だな。しかも、当の本人は、よくわからないのかポカーンとしている。