あれ?勇者ですか…
ども、リーンです。今、ギルドから帰っている途中なのですが。
「あぁ…面倒だなぁ…」
何が面倒かって?結構後ろから僕のことを尾行してる人がいるんだよね。多分領主の手下だろうね…
はぁ…放っておいてほしいんだけど。
まぁ、手を出してくるまでは無視するけどさ。
で、いろんなところに寄りながら家に帰り着きました、あの尾行してるのはまだ外にいるみたいだけど、僕に監視をつけるほどの何かなんてないでしょうよ。
まぁいいや、ご飯食べて風呂入って寝よ。
おはようございます。今日は今日から開店までの五日間、引きこもって武器を作るよ。
材料なら金属製製で作れるし、足りないのは昨日買ってきたし。
五日後
おはようございます。
今日から開店ですが、あの監視?まだいるなぁ…まいっか
外に出て、ドアにかけてあった「閉店」と書いた看板を裏返して、「開店」の文字を表にする。
うし、これでおっけい。初日は多分誰も来ないと思うけど、カウンターで裁縫でもしてよっと。
カランカラン…
ドアにつけていた鈴が鳴る。
面倒の塊が来たようだ。
「いらっしゃい。今日は何の御用ですか?」
と裁縫しながら相手を見ずに言う。
「いや…せめて相手を見て言おうよ。俺、これでも勇者で、黒崎敬って言うんだ。」
勇者、ねぇ…憧れる人は憧れるんだろうけど、僕からすれば面倒事の種にしか見えない。
てか、自称勇者が何でこんなとこに来るのさ。
「はぁ…それで、今回は何の武器をお探しですか?」
「いや、俺が用があるのは君なんだ。SSSランク冒険者のリーンさん?」
そういわれ僕はあから様に嫌な顔をする。
「そんなに嫌な顔しないでよ…話だけでも聞いてくれないか?」
「旅の勧誘とか聖剣を作れとかでなければ聞きましょう。」
そういうと自称勇者は困った顔で
「えぇ…とりつく島もないな…」
「えぇ、僕はあくまで鍛冶屋ですし。」
そういうと今度は勢いよく頭を下げて
「頼む!SSSランクの君がいてくれるだけでかなり今回の旅が楽になる!」
なるほど、なんで勇者なんてもんが来たのかと思ったら、僕がSSSランクってのを知っててここにきたんだね。でも、そんな旅なんて嫌に決まってる。
「いや、だから嫌だって、なんでそんな頑なにボクを連れてこうとするんです?」
そう質問すると黒崎はビックリしたような顔で
「君はSSSランクがどれだけ凄いかわかっているのかい?」
「いや、SSSランクがどれだけ凄いとか知らないですよ?」
そう言うと黒崎さんは今度は目が飛び出そうな位驚いている。
あぁ、多分これって常識なのに僕が知らかったからびっくりしてるんだな。
「君はどれだけ田舎に住んでいたんだ?」
「鍛冶の修行ばっかしてたので常識に疎いんですよ。」
「いいかい?SSSランクって言うのは、人間最強の証でもあるんだよ
」
「ほむ?」
「うん、まずSSSランクになるには、国家滅亡レベルの魔物を1人で倒さないとなれないんだよ。」
「…それで、そんな人達を集めて黒崎さんは何の為に旅をするんですか?」
「うん、実は、まだ公表されてないけど、魔王が復活したみたいでね、僕はその魔王の討伐の為に旅をしようとおもう。」
「はぁ…魔王…魔王ねぇ…」
「それで、改めて誘うよ、僕と一緒に旅をしよう!」
「お断りします。」
そんな面倒事、お断りだ!
そうやって断ると、黒崎さんは一瞬放心した後、顔を真っ赤にして
「えぇ!?今のって了承してくれるパターンじゃないの?」
「嫌ですよ、て言うか黒崎さんはSSSランクの人しか誘わないの?」
「あ、うん、危険だしね。」
「じゃあ、ボクがSSSランクじゃなければ良いんだね!」
「え?それってどういう…」
黒崎さんが何か言うよりも速く外にでる。
素早くドアの板を裏返して閉店の文字を表にする。
「SSSランクじゃなければ良いんなら、ボクが冒険者をやめればいいんだよね!
そうすればボクはSSSランクの冒険者じゃなくて、ただの一般人だから旅なんて行かなくていいもんね!」
「なんでそうなるっ!」
そう言って僕は冒険者ギルドまで走る。あ、人並みの速度でだよ?
なんか後ろから黒崎さんの叫び声が聞こえるけど無視無視。
冒険者ギルドに着いた、中に入って受付の人の所までいく。
「すいませーん。」
「ん、リーンちゃん、何か依頼を受けるかにゃ?」
「いえ、冒険者を辞めようと思うので、登録を抹消して頂きたいのですが。」
受付さんはその言葉を聞いた瞬間
「ギルドマスターを呼んでくるにゃ!」
そう言って走り去ってしまった。
そういえば黒崎さん追いかけて来ないなぁ…もしかして、店の武器勝手に持っていこうとしたりしてないよね?あれ勝手に持ち出そうとしたら鎖で縛られるんだけど…
そんな事を考えていると、ドタバタとした足音と共に厳ついおっさん(ギルドマスター)が来た。
そしてそのおっさんに腕を掴まれて、僕は執務室まで連行された。
「おい、嬢ちゃん!どう言う事だ!冒険者を辞めるなんて!」
「どうもこうも、言葉道理ですが?」
「いや、そうじゃなくてな?理由を聞いてんだよ。」
「あぁ、なんか僕の店に勇者?が来まして、SSSランクを集めて旅に出るそうなんです。
で、僕は店を開いてますし、よくよく考えれば僕、もう依頼受ける事はないでしょうしね。」
ギルドマスターが絶句している、おっさんが絶句している姿ってなんか面白いよね。
「嬢ちゃん…そんな理由で冒険者を辞めるって言うのか?
と言うか、嬢ちゃん、ギルドカードの更新もまだだっただろう、流石に早過ぎる」
そんな事を言われても
「ボクは元々鍛冶屋を開く為に冒険者になったんですよ。だけどあの竜の素材を売ったら鍛冶屋を開いてもまだ余るお金が手に入ったし、態態危険な依頼を受ける必要はないんですよ。
あと、まだボク竜の肉以外の素材のお金、まだ貰ってないですが、それも合わせたら冒険者なんてしなくても生きていけますし」
「ぐぅ…」
「と言うことで、ボクは冒険者を引退します」
そう断言すると、ギルドマスターは諦めたようで
「わかった、嬢ちゃんの登録は抹消させてもらう。」
やったね!
あっ…そういえば
「ギルドカードはどうすれば良いですか?」
「あぁ、それはちょっと手続きがいるが、普通に身分証として使える。あと、元がギルドカードだから引退前のギルドランクが表示される」
ちょっと、SSSランクだってばれると正直めんどいんだけど。
「それ、SSSランクだったって隠せたりしませんか?」
「普通は出来ないが、嬢ちゃんはまだFランクのカードから更新してないからな。Fランクで引退した事に出来る。」
カードの更新とかしなくて良かったー(`・ω・ ;)
「じゃあそれでお願いします。」
「あぁ、じゃあこの紙に嬢ちゃんが登録の時に書かなかった年齢、職業を書いてくれ。」
「わかりました」
僕は年齢と職業を書いて、ギルドマスターに渡す。
「よし、あとは俺らがギルドカードを更新する。見た目はギルドカードだが、とある方法で引退済みだとわかる。」
「秘密の技術って奴ですね。」
「まぁ、そうだな。ギルドカードの更新はちょっと時間がかかるからな、また後日取りに来てくれ。」
「わかりました、それは明日とかでも良いですか?」
「あぁ、大丈夫だ。」
ふう…これでもう旅に誘われる事はないだろう。
さて、黒崎さんはどうしようかな?
やっぱりさ、主人公最強だけどまったり過ごしたいって感じの奴ならさ、勇者が絡んで来るのは絶対いると思うんだ('ω’)