あれ?冒険者ギルドですか…
僕は重大な問題に気づいた。そう、お金が無いのだ。
こう言うのって街に入る時身分証かお金がいる場合が殆どだよね…どうしよう…
魔物の素材とか買い取って貰えないかな?
まぁ貰えなかったら貰えなかったで別の手を考えよう。
そんな事を考えながら歩いていると前の方から戦闘音が聞こえてきた。
「ん?なんだろうな。」
千里眼を使って見てみると、馬車と、それを襲っている盗賊らしきものがいるではないか。
「あー、こう言うのもテンプレだよなぁ」
まぁ、助けないけどね。
そう言って僕は盗賊に気付かれないように迂回して街に向かった。
で、いざ街に着いてみると、街なんて規模ではなく、かなりのデカさだった。
さて、人が並んでる所があるし、多分あそこから中に入れるのだろう。
僕も並ぶ。割り込みなんてしないよ?元礼儀正しい日本人だからね!
僕の番がきた。
あ、やっぱ門番とかいるんだね!すごーい。
「身分証を出してくれ、無ければ銀貨1枚だ。」
やっぱり身分証かお金がないとだめか。
「あのぅ…どちらもないので魔物の素材を買い取っては貰えませんか?」
そう言うと門番は怪訝そうな顔で
「素材?どこにそんなもん持ってんだ?」
「ここです。」
そう言って空間魔法から熊を出す。
「『アイテムボックス』だと…しかもこの魔物は…ビグリじゃないか!ちょっと待ってろ!」
そう言って門番は慌てて何処かに行ってしまった。門番しろよ。
まぁ、なんか門番とは別に見張ってる人もいるっぽいし大丈夫かな?なんで隠れてるのかは知らんけども。
門番が戻ってきた。
「この素材全てを売るなら銀貨32枚だ。街に入りたいなら1枚引くぞ。」
「あ、それでお願いします。」
そう言って銀貨31枚を受け取って街の中に入る。
「おぉぉ、凄いなぁ」
街の中は、かなり活気に溢れていた。
ここで土地が買えれば結構楽できるんじゃないか?
僕はそんな事を考えながらある場所を目指していた。
そう、冒険者ギルドへと。
目の前には冒険者ギルドの看板がある、ここで登録してお金を稼いで、貯まったら鍛冶屋を開こうと思っている。折角のステータスだし、使わなきゃ損だ。
冒険者ギルドの中に入ると、そこは酒場のようになっていて、昼間なのにムキムキのおっさん達が酒を飲みながら騒いでいる。
昼間なのに酒飲んでていいの?と思いながら受付に行く。
もふもふがいた。
やっぱり!あの受付さん獣人だ!あぁ、ファンタジーだ!もふりたい!もふもふ!あ!僕も獣人だった('ω’)
そんな事を思いながら受付の前に立って。
「あの、すいません。」
「はい、依頼かにゃ?」
語尾がにゃ…だと…
悶えそうになりながらも堪える。
「いえ、登録したいんですが…」
「申し訳ないにゃ、登録は15歳からなんだにゃ…」
受付さんはそんな事を言うが、僕は一応17歳である。
「失礼な!ボクは一応17歳だよ!」
受付さんはびっくりしたような顔をした後に申し訳なさそうな顔になって
「それはすいませんにゃ、それではこの紙に名前と年齢、職業とスキルを書いて下さいにゃ。」
…スキルは書いちゃダメだ、騒ぎになる。
「これって全部書かなきゃだめですか?」
「いや、必須なのは名前だけですにゃ。」
「わかりました。」
うん、名前だけ書いて出した。
「では君のランクはFランクからだにゃ」
そう言われて金属製のカードを渡される。
そこには、自分のランクと名前が書いてあった。
なるほど、これが身分証の代わりになるんだね。
「ギルドの説明は聞きますかにゃ?」
「お願いします。」
要約するとこんな感じ。
冒険者にはランクがあり、最初にF、それからE、D、C、B、A、S、SS、SSSランクとあり、依頼が受けれるのは自分のランクの一つ上まで、ランクを上げるには自分のランクの依頼を10回、一つ上の依頼なら5件受ければ良いらしい。
その他の規則という規則はなく、冒険者同士の諍い等も基本的にギルドが介入することは無いらしい。
あと、魔物の素材を買い取ったりもするとのこと。
「わかりましたかにゃ?」
「はい、大丈夫です。」
「それと、さっそく素材を買い取って欲しいのですが、ここではちょっと出せないんですよね。」
「それはどうしてですかにゃ?」
「ここに入り切らない程大きいんです。」
「え?そんなの何処にあるんですかにゃ?」
「空間魔法の中です。」
「く、空間魔法ですかにゃ…少々お待ち下さいにゃ、ギルドマスターに話してきますにゃ。」
そう言って受付さんは裏方に行ってしまった。
あ、戻ってきた、厳ついおっさんと共に。
「嬢ちゃん、俺がここのギルドマスターのエリックだ、なんか出せねぇ素材があるならちょっとこっちに来てくれ。」
「了解です。」
取り敢えずエリックさんについていくと、ちょっと広い庭っぽい所にきた。
「ここなら出せるか?」
「出せますね。」
空間魔法から竜を出す。
あら?ギルドマスター凄くびっくりしてらっしゃる。
「じょ、嬢ちゃん、こりゃあいったいどうやって…?」
「ん?森で襲ってきたので倒しました。」
「倒したって…こりゃあ…森竜だ…」
「森竜?」
「東の森の主だ、何百年も前からあの森に居ると言うな。」
あら、なんかとんでもないもん倒してた。
「それで?買い取って貰えます?」
「あ、あぁ、良いが、嬢ちゃん、お前は今からSSSランクだ。」
は?なんでやねん
「何故です?まだボクは登録したてのひよっこですよ?」
「竜なんて狩る奴をFランクになんて出来るか!」
「じゃあボクがSSSランクになったって言うのは伏せておいて下さい。」
「まぁそれくらいなら良いが…」
「あ、あと肉だけ売ってあとは貰いますね!」
「ん?それだと結構値が落ちるぞ?」
「肉だけでも結構な値段になるでしょう?」
「まぁそうだが…解体した後で良いか?」
「構いませんよ。」
「よし、じゃあ明日素材を取りに来てくれ、肉の代金を渡すぞ、白金貨2枚だ。」
「白金貨?」
「ははっ嬢ちゃんは知らねぇか。」
「ええ、知らないですね、遠くの国から来たのでお金の価値すら知らないんですよ。ですので、出来れば教えてくれませんか?」
「なに?そうだったのか、嬢ちゃんみたいな獣人は見た事ねぇとは思ってたが、遠国のやつだったんだな。」
そう言われてお金の相場を教えて貰った。
まずこの世界のお金は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨と価値が低い順に並べるとこうだね。
で、銅貨100枚で銀貨1枚、大銅貨なら10枚で銀貨とおなじ価値らしい。(金貨とかも同じ感じ)
ちなみに一般家庭の一か月間の間の生活費は金貨一枚あれば足りるんだそうだ。
ふむ、白金貨2枚もあったら鍛冶屋をするための土地を買ってもしばらくは困らなさそうだね。