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CAGE6
「乱れてるな」
「……はい」
まるで自分の事を咎められているようで、私は思わず俯く。
全部私のせいだ。私のわがままが、否、私という存在が全てを巻き込んでしまった。
咎められているようではない。実際咎められているのだ。咎められて当然だ。
「冴木主任、どうしますか。まだ様子を見ます?」
八木君が私達の方を見る。事態は緊迫しているが、彼の態度は落ち着いたものだ
「どう思う?」
冴木さんも同じく私を見る。
「まだ……まだ、です」
「そうだな」
一度私に対応を確認したのは、なにも私の指示を仰ぐ為ではない。試験のように私がその場の判断を間違えていないかどうか、テストをしただけだ。未熟な私は間違えないように常に彼らに見守られながら、この場に臨んでいる。
そんな未熟な私が、一体何故ここにいるのか。
冴木さんや、八木君のような脳みそは私にはない。ただ、私でなければいけない理由があるのだ。
その理由を使う場面は、おそらくもうすぐだ。