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幸福偏差値  作者: greed green/見鳥望
五章 幸福の崩壊
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(4)

『アナタノコウフクドハ、60点、デス』


 創り上げ、築き上げるのは容易い事ではない。でもそれだけに充実は大きく深く、一段登る毎にその一歩が尊く大切に感じられ、その足場を大事にしていきたいと思う。

 だが逆に、崩し壊すのはあっけないほど簡単だ。


『アナタノコウフクドハ、50点、デス』


 ズキッ。また頭が痛む。

 裕の態度はあからさまに冷たいものとなった。これまであんなにも温かい家庭を築けてきたのに、そんなものは幻だったかのようにもうどこにもなかった。

 帰りは今まで以上に遅くなり、帰ってきても私の料理には一切手をつけようとしなかった。

 拒絶。いや、もはや存在すら認めないといった、無への扱いに近い。

 私達の変化は雅にも当然伝わり、娘の表情はいつも沈んだように暗いものになった。会話もほとんどしなくなっていた。


『アナタノコウフクドハ、40点、デス』


 下降する幸福を止められない。このままでは幸福どころか普通ですらなくなってしまう。

 

 ――私は、掴もうとしたのに。


 ちゃんと幸せを。真剣に幸せと向き合おうとしてきた。


 なのに、誰のせいだ。

 

 ――裕。


 彼のせいだ。彼が私の幸福を邪魔している。

 彼といると私は幸せになれない。

 邪魔。邪魔邪魔。幸せの邪魔虫。

 そもそも彼の最近の行動も気に食わない。ほとんど家で顔を合わすこともない彼は、本当に外で仕事だけをしているのだろうか。

 私の不幸の一方で、彼は自分の幸せを得ていやしないだろうか。前から抱き始めていた彼への不信。もしそんな事であれば見過ごす事など出来ない。そのせいで私の幸福にも影響しているのだから。

 

 このままでは気が治まらない。やるなら徹底的にやってやろう。

 やると決めたら行動だ。あなたはいつもそうだった。


「そうよね。裕」


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