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CAGE4
「どうだ?」
「はい。今のところは大丈夫そうです」
「しっかり見とけよ。いつ事態が変わるか分からねえ」
「はい」
冴木さんは助手である八木君と真剣な眼差しで目の前の装置を見つめている。八木君はトレードマークの丸眼鏡を落ち着いた様子でくいっと片手であげる。
「そっちもそろそろ準備をしておけ」
「はい」
緊張感がぐっと高まる。
何度もその場面が来た時の事はシミュレーションしてきた。それでも練習が出来るわけではない。ほとんどぶっつけ本番なのだ。
本当であれば、何度だってチャレンジしたい。それは皆も一緒のはずだ。だがそうはいかない。何故ならこの一度が一か八かだから。それは私にとっても、向こうにとっても。
失敗は許されない。
その一回に、私は全力を注がなければならない。
――掴んでみせる。必ず。
私がここにいる理由は、ただそれだけなのだから。