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OUT2
運が悪かった。ただもう今は、そう思うしかなかった。
確かに私は加害者の立場でもある。でもそれと同時に被害者でもあるのだ。
全ては不運な事故。あの日あの時、車など運転していなければこんな事にはならなかった。
避けようがなかった。全てが一瞬だった。気付いた時には、もうすでにその人の命はなかった。
嘘だ。嘘だ。現実じゃない。身体がぶるぶると震え、思考もままならなかった。
全てが終わりへと向かう始まりだった。
でも、私が思っているような終わりではなかった。
――なんで、あなたがそこにいるの?
夜の雨の中、運手席の私を見つめる激しい憎しみを持った、容赦のない視線。
少しでもタイミングがズレていれば、こうはならなかった。
誰かの命を奪ってしまう事も。
私があの女に追いつめられることも。
――これは、報いなの?
全くの偶然のはずだ。これが必然なわけがない。だが、己の今までの言動が全て自分に跳ね返ってきている、そう思えて仕方がなかった。
――もう、限界だ。
私はこれ以上、耐えられなそうにない。