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CAGE3
一秒一秒が凄まじく遅く、何より重く感じる。このまま押しつぶされてしまうのではないかと思うほどの重圧を感じる。
早く、解放されたい。この時が終わってほしい。
「倒れんじゃねえぞ」
横から冴木主任の声がした。いつからそこにいたのか、真横にいたのに私はまるで気付けなかった。相変わらず表情は遠い昔に笑顔を忘れたようなぶっきらぼうなものだったが、それでも私の事を本心から心配してくれている事は分かった。仕事において厳しい人間ではあるが、それ故に頼れる存在でもある。
「はい。大丈夫です」
「大丈夫そうには見えねえが」
「……私が、ちゃんと見届けないと」
「もちろんだ。何かあったらすぐ呼べ」
そう言い残し、すたすたと主任は奥の方へと去っていった。
祈りだけではどうにもならない。
私は大きく深呼吸をする。身体の空気を入れ替えると、少し、ほんの少しだけ落ち着いたように感じられた。
――何かあったら、ちゃんと助けるからね。