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作者は私  作者: わた
8/17

5-1

今、ルーカスは子供用のスーツを着て馬車の前に立っている。


「何でこんな目に」


腹立たしげに腕を組み、足でリズムを取る。


事の始まりは、1週間前に行ったエリシアとエマとの買い物に遡る。

馬車の中で交わされたエリシアの約束、それが


「今度の精霊パーティのエスコートをお願いしたいの」


まだ3歳児で社交界デビューも終わっていないルーカスがエスコートなど出来るはずもないと反論したのだが


「あら、それは大丈夫よ。今年精霊契約を結ぶ子供たちの為のパーティで、精霊契約を結んでいれば誰でも参加可能なの。その点あなたにはヴァンがいるじゃない」

「いや、でもそれって貴族の人達しかこないんでしょ?さすがに僕みたいな、それこそデビュー前の子供が参加しちゃダメだって」

「大丈夫。公式のじゃないから」

「……」

「じゃあ決まりね!ルーの分のスーツ選ぶの楽しみねお母様!」


という母の援護射撃とエリシアのこれ以上反論を許さないという空気に閉口せざるえなかった。

そんな過去の自分を改めて何故もっと抗わなかったのかと思い出し、イライラしていると


「ルー!」


ぶんぶんと手を振りながら大凡公爵令嬢に見えない歩き方でやってくる姉エリシア。

その後ろから鬼の形相で追いかけ嗜めるメイド長のルーナ。


「いい加減直せばいいのに」

「本当にねぇ」


後ろからの突然の声に振り向くと優しく微笑む母のエマ。


「え、え?何で?いつの間に?」

「ふふふ。母も行くのよ。遠くから見守っているわ」

「いや、え?」

「しっかり人見知り直してきなさい」

「……いや、は?え?」

「そうね。最低2人くらいは友達を作っていらっしゃい」


開いた口が塞がらないルーカス。


「母が見守ってますからね」

「……それって見守ってるというか、監視」

「何か言ったかしら?ルーカス」

「いえ、何とも」


ルーナに怒られトボトボとした足取りでやってきたエリシア。


「どうしたの?ルー。何か怖いものでもいたの?」

「……」

「さぁさぁ、2人とも遅れますよ」

「あ、はーい」


乗り込む2人を虚ろな目で見つめるルーカス。


「ほら、ルー早く!」


ルーカスの手を引き馬車に乗せるエリシア。

無情にも走り出した馬車。

今まで極力外には出ず、家族やメイド、執事などの公爵家の限られた人としか接してこなかったルーカスは久々の知らない人との接触に胃がキリキリしていた。


「地獄だ」


さながら気分はドナドナだった。

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