第1話 長い付き合いから
幼馴染という特殊ステータスをどう使うか。夢中になることの恐ろしさなど、見どころ満載のキュンキュンとする作品となっています。
第1話 長い付き合いから
恋って、形がないから面倒だ。そんな事を思うのは、ごく一部の人だけだ。私、千川照史は高校1年生のちょっと変わってる人だ。
「おーい。アッキー」そう呼んでくるのは、幼馴染の阿部エリカ。
「エリ。そのあだ名で呼ぶのやめてよ〜。しかも、この廊下のど真ん中で、恥ずかしいじゃん」そう言っても、聞かないのがエリカだ。エリカは、いわゆる、不思議ちゃんだ。なにを考えているかが、わからない。その、ミステリアスさに惹かれる男子も多い。学年のもてランキングなら、間違いなく5本指にはいる。しかも、かわいいと評判。でも、近くにいると、よくわからなくなるのが幼馴染の特徴だとおもう。幼馴染とは、特殊ステータスのわりにはあまり、役に立たない。むしろ、毒だ。よく「エリカの事を俺に紹介して欲しい」という、相談を受けるからである。
本人は恋愛に興味がなさすぎる。そのためか、「ツンデレ」と思われる事もあるため、幅広い人たちに人気がある。
「アッキー。顔色悪いけど、どうしたの」
「そうかな?でも、まぁ、少し考え事をしてた」
「アッキーが、考え事なんて珍しいね。具体的にどんな事を考えてたの。恋愛?エッチ系?勉強系?それとも、ワ・タ・シ」最後の言葉だけ、冗談口調で言った。
だけど、もしもと、考えてしまう自分が、死ぬ程恥ずかしい。
「お前の事で悩んでるんだよ」試しにそう言うと・・・。
予想外の返答に、顔を赤くしていた。
間違いない、これがかわいいだ。やっと、気づいた。幼馴染という特殊ステータスが、なかったら・・・きっと、彼女に恋してしまうと。
「もう。そんな冗談よしてよ。自分から振ったけど、そんな返答なんて考えてなかったから・・・すごく・・・恥ずか・・・しい」
「そっちから、振ったんだからお互い様だろ。俺だって・・・恥ずかしいんだから・・・な」
なんか、いいムードになりつつあるが、1つだけ問題が・・・。
「今頃なんだけど、ここって、廊下のど真ん中だよね・・・」周りの反応を伺う。聞こえてくるのは、「リア充は、場をわきまえろ」とか、「幼馴染カップル熱々だね」などの、非リア共の罵声であった。
「ねぇ、私たちリア充にならない?私、昔から好きだったの。だから・・・」そう言うと、エリカはまた、予想外の事をし始めた。僕の襟を掴み、自分の唇へと僕を運んでいるではないか。
「チュッ」そして、こちらから「チュッ」
また、罵声が飛び交う。その中には、祝福の言葉もちらほらと、飛んでいた。
これは、僕とエリカとの関係の始まりである。これから、どんな事を乗り越えて行くのかは、まだわからない。だけど、今ある幸せを噛み締めて生きていきたい。
今回も読んでくださり、誠にありがとうございます。作者のるるるりりりというものです。今回、作品を書こうと思った理由がまた、面倒くさくて、個人的に幼馴染は恋愛対象?という疑問から生まれたものです。安定の思い立ったらすぐに行動をモットーにしているので、今回投稿させていただきました。