3.黒と白の制服
とにかくなにもかもが違う 新しいクラス。
未だ誰もこないだだ広い空間。
二人はプンスカプンスカ憶測を駆り立て並べ、
何故かお互いに罪をなすりつけ喧嘩が始まる。
「だいたいなんであなたは真ん中で私は端っこのロッカーなの!」
しずねがそれを吹っ掛けた。
「知らないわよ!あなた年中の時先生の事馬鹿にしてたからのけものにされたんじゃないの?」
「だって馬鹿は馬鹿だもの。」
「まぁそれはわかるとしてもあんたのロッカーが端の理由なんて私に関係あるわけないじゃない。」
「そうだとしてもあの出べそメガネの自称ぽっちゃりよ?
あなたのことすっごいいやらしい目でみてたじゃない!」
「確かに…」
前任の担任は自分のしらないところでぬれぎぬを着せられた。
見た目が少し、変態そう。ただそれだけで。
「あっちゃん…しーちゃん…お靴ど、どうしたらいいの?」
プルプルと細い脚が震えている。
その足は白い靴でバレリイナのようにつま先立ちをして、
もう限界だと震える足の少女は倒れこんできた。
「あら、本物のおバカさんの登場ね。」
「靴置く場所がないからってそんなあるきかたで昇ってきたの?
脱げばいいじゃない」
「あははは…そっかぁ」
必死に両手を広げ、
態勢を保ちながら階段を昇ってきたその少女はももかちゃん。
彼女も見た目と雰囲気に違わず秀才の一人で、
年中時代は二人と同じクラスだった。
とは言っても、三人が在籍していたクラスは七百人いたわけなのだけれども。
倒れこんできたももかを二人は抱いて支える。
「重い…重いはももか…」
「早く…」
「えへへぇ~」
あけみちゃんしずねちゃんは背丈がおなじほど、ももかちゃんだけ頭一つ分大きかった。
三人は年中のTOP3
すべての成績で満点を収め続け、
美貌でも学園のパンフレットにこの3人が抜擢されるほど整っている。
あけみちゃんはツインテールがトレードマークの少女。
よく赤いワンピースを着ていてその色のように強気。
常に先頭に立とうとするタイプ。
しずねとは度々喧嘩もするが、なんだかんだで仲がいい。
知的なメガネを着こなしショートカットのしずねちゃん。
服装にはこだわりがあってボタンがおしゃれなものを着るようにしているらしい。
ただおしゃれかどうかはわからないが一時期落ちているどんぐりを集めてボタンにしていたなんてこともあった。
あけみのことはまぁ良くも悪くも悪くも悪くも友達だとは思っている。
たまにあけみが自分がたじろむところをずけずけと行ける姿を見てそこは見習いたいと思って真似もしている。
そして今登場したももかちゃん。
彼女は…特別、二人と一緒にいてもただついていくだけといった印象。
髪型が日替わりで、色違いのオーバーオールを着てくるのが特徴的。
発言はそこまでしないが、
怒ると暴力まではしなくても物を壊すので二人に出会う前は破壊神と呼ばれていた。
二人に出会ってからは目立って二人のほうがパワフルなので、
それがばれずに自然とその名は消えていった。
「下段のあとの二人は誰かしら?」
起き上がるももかを軽くはたくとしずねが話を戻す。
「あ…タイタンホテルグループの孫娘と製薬利権を買い占めてたあの人の娘さんじゃないかしら。」
「ももかさん詳しいですね。そういえばそんな子もいました。」
「ふ~ん。でも成績は私達以外いつも入れ替わりだったし、そこまで印象残ってないわよあたし」
結局上の5人は誰もわからないということで結論づいた。
このままでも仕方がないと3人は荷物と書類をロッカーにしまい、制服へと着替えることにする。
着てみた制服の感想はシルエットこそ特徴的だが、素朴なものだった。
イメージとしては純白のクビレのないチャイナドレス。
その背中に薄く見える金色でSと肩から太ももを越えて、
大きく足元までのびて刺繍がされている。
言っても、ちゃんとしたSの形にはなっていなく、
見る人から見ればただ背中にうねうねとした一本のデザインがされているだけだと思うだろう。
3人が着替え終わり、女の子らしく似合っているのかロッカーについている鏡で身だしなみを整えてると、天井から声がした。
「みなさん。お揃いでしょうか。現時刻10時。
Sクラスに在籍される皆様はすでにおこしになっているかと思います。
予定といたしましては外部生が5名、10時15分に到着の後。
初回講義を始めさせていただきます。
みなさん。エレベーター後方に設置された螺旋階段を昇降していただき、
制服に着替え、もうしばらくお待ちください。」
人の声ではなかった。文章化されたものを専用のソフトで読み上げられているものだろう。
3人は外部生という言葉と、まだ来ていない二人が誰なのかで話題はつきず、あっという間にその時刻は来た。
エレベーターの前で座ってまつ3人。
10時14分。 エレベーターが1階から昇りはじめる表示に3人は気付く。
10時15分。 天井よりアナウンスが流れ、エレベーターの扉が開く。
「ようこそ!世界最高のプリンセス達。
世界中から集まった君たちはまさに頭脳の頂点に位置している。
これから君たちはさらなる飛躍を目指し、見識をさらに広めていただきたい。
その準備はもうできている。ここにすべてある!。
あとは君たち次第。
最初の授業はこれから君たちが何を学ぶのか!
今来た外部生はすぐに制服に着替えてきてくれたまえ!。
時間が惜しい、君たちの時間は、無限の可能性を秘めている!」
アナウンスと同時に今到着した外部生の4人が整列して教室へと入場する。
4人は見るからに肌が白く金髪の子、黒い髪にドレッドをかけて肌の黒い子、外国人だ。
そしてその4人が左右に開けるとその後ろには黒く、腰よりも長い髪をした、
一見日本人のようないでたちの少女が笑顔で3人を見つめている。
「ごきげんよう。」
ひとことあいさつを済ませると少女たちは螺旋階段を昇っていった。
3人はやはり見たことがない彼女たちにどんなライバルが現れたのかと興味津々。
着替え終わって降りてきた彼女たちは、
黒い制服を着ていた。